プロに教わるデッドニング講習⑦
天井デッドニングの材料(制振材・吸音材・断熱材)はどれを使う?
天井デッドニングの材料のオススメを、オーディオのプロに聞いた。天井をデッドニングする場合は、一式揃ったキットではなく、単品で制振材・断熱材・吸音材を買うのが普通なので、必要なものを揃えるところからガイドする。
天井デッドニングの材料は単品で買う
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「天井デッドニングとフロアデッドニングの違い。どっちを先にやるべきか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は天井デッドニングに使う材料(部材)について解説しましょう。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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天井デッドニング・フロアデッドニングなどは、使う材料(部材)はドアとはまた違うのでしょうか?
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まずは大きな違いとして、天井やフロア用の材料はいわゆる「キット」ではないんですよ。
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これを買えば一式入っているよ的なセットはない。
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ネットで探せばそういう売り方をしているお店もあるでしょうけど、一般的なメーカー製デッドニングキットではあまり聞きませんね。
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となると、最初にデッドニングに必要な材料を揃えるのも難しそうな…。
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…まあ、素材がいろいろありすぎて、僕らでも迷いますからね。
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ドアデッドニングのときは「オーディオテクニカの制振材のコスパが高い」という話でしたが、ここから先はどうしましょう?
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今回は天井やフロアのデッドニングでも、オーディオテクニカ製の部材を使っていこうと思います。
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そっか。同じオーディオテクニカの、バラ売りされている材料を使うんだ。
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そういうことですね。それでもカタログを見るといろいろ種類があって迷うと思いますが……
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ふむ。
どれを買えばいいのか? -
まず、天井でもフロアでも、鉄板のビビリ(共振)を抑えるために必要なのが制振材です。
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フムフム。
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オーディオテクニカの制振材にはスタンダードな「青」と、上位グレードの「赤」がありますが……
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ドアに貼ったのは「青」でしたね。
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ドアデッドニングキットの場合は「青」しか選択肢がありませんでしたが、単品売りなら「赤」も選べます。
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なるほど。
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こだわるなら「赤」もいいですが、今回は天井デッドニングにもコスパの高い「青」を使っていきましょう。
オーディオテクニカ公式サイトの「AquieT(アクワイエ)シリーズ」参照。
天井デッドニングに使う制振材と吸音材
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オーディオテクニカの中にも単体の材料はいろいろ用意されていますが、天井デッドニング用としてはまず、この制振材を貼ります。
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あ。どこかで見たことのある、丸い制振材。
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ドアのアウターパネル(外側の鉄板)に貼ったのと同じ、円形の制振材です。
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アレの単品バージョンだ!
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普通の制振材は四角いシート状が定番ですが、オーディオテクニカには丸くカットされた制振材がありまして、これが天井デッドニングにはオススメなのです。
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丸のなにがいいの?
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要所要所をピンポイントで制振していく貼り方ができて、圧倒的に作業性がよいです。
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通常の大きいシート状の制振材を使って全面貼りするやり方もありますが、材料費はかなり高くつきます。
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天井は広いしなァ。
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しかも天井デッドニングは上を向いての作業。重力で垂れてきたりしますので、全面貼りは大変だと思います。
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制振材って重たいしな。
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その点、円形制振材は、コストを抑えつつ作業効率も良いと言えます。
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なるほど。
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コストで比較すると「青」の円形は8枚で定価1980円なのに対して、「赤」の円形は4枚で定価2420円します(※価格は執筆時点)
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1枚あたりの価格が倍以上も違うんだ!
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天井やフロアのデッドニングには大量の制振材を貼りますから、制振材のメーカーやグレードによって費用はかなり変わってきます。
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貼り方によっても使う量が変わりそうだし。
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もしも同じオーディオテクニカの制振材で天井に全面貼りしたいとしたら、その場合に使うのはこちら。
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大きいシート状の制振材ですね。
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より材料費をかけられる人向けの話ですが。
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しかし天井デッドニングに必要な材料は、制振材だけじゃないし。
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そうなんです。デッドニングでは制振材を貼った上から吸音材を貼りますが、せっかくですから断熱効果などもある材料を使いたいところ。
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それは……どれ?
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今回天井に使うのはヒートシールドラグです。
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このヒートシールドラグには、遮熱・断熱・吸音などの効果があります。
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ホホウ。
断熱材でもあるのか。 -
1種類で吸音材と断熱材の両方を兼ね備えているので、作業性も良いですね。
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これを貼れば冷暖房効率も良くなる!
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夏場の遮熱効果も期待できます。だから天井デッドニング向きの材料なんですよ。
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これらの材料は、それぞれ何枚買えばよいのでしょうか?
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……それは、天井の内張りを外して鉄板の状況を見ないと、僕にも分かりませんね。
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そういうことか。DIYでやるとしたら、材料を揃えるよりも内装をバラすほうが先にするべき作業なんですね。
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車種によって使用量がぜんぜん違いますからね。
詳細はAmazonのオーディオテクニカ バイブレーションコントローラー AT-AQ456参照。
天井に貼りやすい!
✔ ちなみに四角形だと「カド方向の延長線上の制振効果が弱まる」が、円形は「周辺に同じように制振効果がおよぶ」メリットがあるようだ。
✔ 今回の解説で使うのは500×750mm×8枚入りの「AT-AQ451P8」だが、これは完全に業務用ボリューム。一般DIYユーザーには「AT-AQ450」のほうがよさそう。
詳細はAmazonのオーディオテクニカ バイブレーションコントローラー AT-AQ450参照。
✔ 今回〈実践編〉で使ったのは500×750mm×10枚入りの「AT-AQ491P10」だが、こちらは完全に業務用ボリューム。一般DIYユーザーには「AT-AQ490」のほうがよさそう。
※詳細はAmazonのオーディオテクニカ ヒートシールドラグ AT-AQ490参照。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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