プロに教わるデッドニング講習③-7

---

ドア内側の鉄板（インナーパネル）のデッドニング方法

• ←
• 6
• 7
• →

ドアのデッドニング方法をプロに教わる連載。今回はインナーパネルに制振材を貼って、サービスホールを埋める。まずは「作った型紙を元に制振材を切り出す」が、ここで地味に重大な注意点あり。デッドニングで失敗しないためのプロの工夫は、非常に参考になる。

• 

  「ドア外側の鉄板（アウターパネル）のデッドニング方法」の続き。

  ●レポーター：イルミちゃん

• 

  今回はドア内側の鉄板（インナーパネル）のデッドニング作業です。

  ●アドバイザー：カーデン 佐伯研究員

• 

  室内側の鉄板のほうですね。

• 

  インナーパネル用の制振材は、大きめのシート状になっています。


• 

  この大きいシートを、サービスホールのカタチに切り出して塞ぎます。

• 

  ここで、前々回にサービスホールの型取りをしておいた、プチプチ（梱包材）の出番です。


• 

  制振材の裏面にプチプチで作った型紙をあてて、そのカタチを制振材になぞるのですが……


• 

  ここで地味に重要な注意点があります。

• 

  ふむ。
  なんでしょうか？

• 

  制振材にはオモテ・ウラがあるということです。

• 

  裏面は剥離紙が付いているほうでしょ。

• 

  そうです。裏面はブチルゴムが付いていて、ドア鉄板に接着できるようになっています。

• 

  それの何が注意点なの？

• 

  サービスホールの型紙を、何も考えずにポンっと置いてカットすると、表裏が逆になったカタチで切り出してしまうかもしれません……

• 

  あうっ！

• 

  サービスホールにフタをしようとしたら、あれ？　貼り付け面が逆だ！なんてことになりかねない。

• 

  き、切ってしまったあとでは大惨事だ。気をつけないと。

• 

  この事故を防止するには、サービスホールの型取りをしたビニール（プチプチ梱包材など）のほうにも、マジックで「表」などと書いておくことです。

• 

  なるほど。それは有効。……でも佐伯研究員はそんなことやってなかったぞ？

• 

  僕の場合は、サービスホールの型取りに使ったプチプチ梱包材の、「プチプチ側（凸側）」を裏面にして型取りをするという自分ルールがあります。



プチプチ側だとうまくマジックで書けないので、プチプチ側を裏面として使い、ツルっとしたほうを表として扱っていた。

---

• 

  ホホウ。いつもそういう自分ルールでやっていれば、事故も起きない。

• 

  そうですね。裏表が分からないビニールなどを使う場合なら、裏・表などと書いておきましょう。

• 

  ちなみに、そんな大ミスをしてしまって制振材が足りなくなったらどうなるの？

• 

  単品で同じ制振材をもう1枚買うこともできますよ。オーディオテクニカの場合は、単品でも一通りのものを販売しているので。

• 

  そっか。
  ……それなら良かった。

• 

  ちなみに、中にはキットの制振材だけでは足りない車種も出てくると思います。今回もギリギリでしたから。

• 

  そういう場合も単品で買い足す、ということか。

• 

  あるいは助手席側のデッドニングでは、1枚モノでサービスホールを塞ぐのを諦めて、切れ端の2枚を重ねる。そのような対処法もありますが、あまりやりたい方法ではないですね。

• 

  なるほどね。

• 

  とはいえ、車種によっては一番大きいサービスホールのサイズ的に、付属の制振材を1枚ばりできないケースはあり得ます。

• 

  そういえば今回も一番大きいサービスホールについては、制振材のサイズギリギリです。


• 

  なので、どのみち制振材2枚を貼り合わせるしかない、というケースもありますよ。

• 

  制振材を切り出せたら、これを貼ってサービスホールを塞ぎます。

• 

  まずは一番大きなサービスホールを塞ぎましょう。ここで思い出してほしいのは、ヘコませないといけない点。



今回の車種は、ドア内張りが鉄板奥側に出っ張っているため、平面的に塞いだら干渉して内張りを戻せなくなる。

---

• 

  制振材の剥離紙を剥がしてしまう前に、サービスホールにあてがって「ヘコませる形状」を作りましょう。

• 

  カタチができてから剥離紙を剥がして……


• 

  あとは貼り付けていくだけですね。


• 

  真ん中をヘコませながら、フチの部分で貼り付けて、塞いでいきます。


• 

  サービスホールが塞がった！

• 

  アウターパネルの制振と同じで、制振材はヘラまたはローラーなどを使って、しっかり圧着させていきます。


• 

  制振材は「のりしろ」を確保するために大きめに切り出しているので、ドア内張りピンがささる箇所などにもかかってしまったりします。


• 

  そういう箇所は、カッターで制振材に切れ込みを入れて、かわしていきます。


• 

  よっしゃー、サービスホールが塞がった！


• 

  あとは同じ要領で全ての穴を塞げばいいのね。

• 

  いやいや、同じ要領では塞げませんよ。こんなふうに中央から配線が出ているサービスホールもあるし。


• 

  う～ん、これはフタするのはムリっぽくない？ どーするの？