アンプ導入ガイド╱第5回
スピーカーの「インピーダンス」とは? アンプとの関係性は?
オーディオ初心者にやさしくないオーディオ用語・インピーダンス。スピーカーの背面などに「IMP. 4 OHMS」(インピーダンス. 4 オーム)などと書かれている数値がそれであり、アンプとも関わりがある。そんなインピーダンスを、初心者向きにやさしく解説する。
インピーダンスとは?
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よく分からないオーディオ用語のひとつ、スピーカーの「インピーダンス」とは何か?
●レポーター:イルミちゃん
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インピーダンスは電気抵抗のことですね。抵抗が少ないほうが、電気が流れやすい。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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フムフム。
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抵抗の大きさをΩ(オーム)で表しますが、一般的なスピーカーのインピーダンスは4Ωです。
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決まってるんだ。
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中には2Ωのスピーカーもあったりしますけどね。
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インピーダンスを知らないと、困る場面ってなんだろう?
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まあ、要するにこれはアンプとの兼ね合いですね。アンプの出力にも推奨のインピーダンスが決まっているのです。
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アンプ側のスペックでもある、ということか。
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同じアンプでも、スピーカーのインピーダンスによって、流れる電流が変わるからですよ。
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抵抗が小さいほうが、電気がいっぱい流れる。
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そうです。
抵抗が大きければ電流は減ります。 -
スピーカーによって出力が変わってしまう?
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ハイ。だから「このアンプは、このインピーダンスのスピーカーと組み合わせて使ってくださいね」という推奨値のようなスペックがあるのです。
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なるほど。
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アンプには定格出力がありますが、それもスピーカー側のインピーダンスによって変わる話です。
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例えば、「このアンプは100W×4チャンネルだよ~」とうたっているとして……
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それは、4Ωのスピーカーをつなげる前提で言っていたりするわけです。
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上のアンプの例でいうと、4Ωでも2Ωでも使えるけど、2Ωのときのほうが出力が大きくなっています。
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では逆に、4Ωより大きいスピーカーをつなげたら?
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アンプの推奨値よりも大きいインピーダンスのスピーカーをつなげた場合には、スピーカーの抵抗が大きいから、流せる電流が減ります。
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アンプから見ると、思ったより電気が流れない?
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ですね。アンプの出力が減ります。定格出力通りのパワーが得られません。
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なるほど。
✔ 例:カロッツェリアのGM-D7400。定格出力は、100W×4ch(4Ω)、150W×4ch(2Ω)となっている。
一般的なカーオーディオは4Ω同士なので互換性がある
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注意が必要なのは、例えば4Ωのスピーカーしかつなげないアンプに、インピーダンスの低いスピーカーをつなげた場合。
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4Ω用のアンプに、2Ωのスピーカーをつなげちゃったとか。
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この場合はそのアンプが想定しているよりも電気が流れすぎてしまうので、アンプにも負担がかかるしスピーカーが壊れる可能性があります。
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なんと!
出力が上がったって、喜んでいる場合じゃない!! -
そうなんです。一般的なカーオーディオシステム……純正ナビにしても社外ナビにしても、内蔵アンプは4Ω仕様であることがほとんどなので……
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2Ωのスピーカーをつなぐと、電気が流れすぎて問題が起こる可能性があるので、避けた方がいいですね。
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スピーカーを買うときに、注意しなくては!
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とはいっても、一般的なカー用品店で売られているスピーカーの大半は4Ωです。特に国産オーディオメーカーのスピーカーはほぼ4Ωで統一されています。
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みんなが4Ωだから、問題は起こらないのか。
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そうなんです。しかし、海外メーカーのスピーカーだと2Ωも出てくるので、たまたまそういうスピーカーを入手した場合は、アンプ側の対応に注意が必要ですね。
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なるほど。
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そういう場合もパワーアンプなら対応しているケースが多いと思いますが、ナビの内蔵アンプでそのまま鳴らそうとしているなら注意です。
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……まあ、わざわざ2Ωのスピーカーを買わなくてもいい気もしますね。
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そうなんですが、反対の話で、最初から2Ωの純正スピーカーが付いている車もありますよ。
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……なぬ?
一般的なナビの内蔵アンプは4Ω仕様
純正で2Ωのスピーカーが付いている車もある
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純正オーディオの中には、スーパーライブサウンドシステムとかJBLサウンドシステムのような、特殊なオーディオシステムを組んでいるグレードもあります。
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フムフム。
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海外のオーディオメーカーには2Ωのスピーカーもあるっていう話は、純正スピーカーにも言えるのか。
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そうなんです。しかし、一般的なヘッドユニットやナビの内蔵アンプは4Ωなわけですから……
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この場合は、ナビやデッキを社外品に交換すると、問題が起こるってこと?
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そうなんです。ビートソニックのサウンドアダプターのような、特殊なアダプター無しでは、デッキ交換できない理由のひとつですね。
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ビートソニックのサウンドアダプターにもいろいろな種類がありますが、品番がSL系のハーネスは、そのあたりの電気抵抗の差も含めて変換しているのです。
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な~るほど。サウンドアダプターって、そんなことまでやっているんですね~。
純正JBL仕様などでは、2Ωのスピーカーが出てきたりするんですよ
スピーカーを増設するときは単純な配線分岐ではNG!…その理由についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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