スピーカー交換╱第11回
スピーカーのアウターバッフル(アウター加工)とは? その効果は?
スピーカーのアウターバッフル加工とはどういうものか。インナーバッフルとの違いや、アウター加工の効果をわかりやすく解説。アウター加工でワンオフした、フロント3wayの実例も見てみよう。
アウターバッフルは、インナーバッフルとどう違う?
-
以前に「バッフルボード(インナーバッフル)とは?」を解説しましたが、カーオーディオの世界には、アウターバッフルという言葉もありますね。
●レポーター:イルミちゃん
-
アウター加工などと言ったりもしますね。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
-
なんなんですか。
アウターって? -
インナー(内側)に対して、アウター(外側)という意味ですね。
-
なにが外側なの?
-
スピーカー交換をするときの土台がバッフルボードですが、これは基本的に、ドア内張りの内部に取り付けしますよね。
-
だから、インナーバッフルと言うのです。
-
内側の土台、ということですね。
-
対してアウターバッフルは、ドア内張り自体も加工して外側にまで土台を重ね、スピーカーも外側にオフセットさせて取り付けます。
-
そんなことをしたら、ビミョウに室内が狭くなってしまうのでは!
-
……まあ、そうですけど、そういう話ではないんですよね。
-
なぜ、わざわざスピーカーを内張りよりも外側に、ハミ出させて取り付けるんだろう?
-
アウターバッフル(アウター加工)のメリットは、まず、通常では付かないサイズのドアスピーカーが、取り付けできる点。
-
フムフム。
-
市販のインナーバッフルを使った通常の取り付けでは、「この車にはこのサイズしか入りません」というのが決まってきます。
-
物理的に16センチしか付かない車に18センチのスピーカーを付けようとしても、普通は無理ですよね。
-
そりゃそうですね。
-
しかもスピーカーサイズが大きくなるということは、マグネットも大きくなる。無理矢理付けたとしても「窓ガラスを降ろすときに干渉する」といった問題もある。
-
背面の奥行きの問題もあるんですねぇ。
-
つまり、スピーカーが大きくなると、前にオフセットさせて取り付けないといけなくなるのです。
-
しかしそんなことをしたら、ドア内張りが閉まらなくなりますね……。
-
だからドア内張りも加工して、外側まで土台(バッフル)を重ねて取り付けたりするのです。
-
外側まで巻き込んで加工していくから、アウターバッフル加工なんだ。
-
例えばこのプリウス(↓)。アウター加工によって、18センチのフロントスピーカーが取り付けできています。
-
なるほど。
-
それとインナー(内側)に取り付けたスピーカーは、ヌケはどうしても良くありません。グリルでマスクしているような状態だから。
-
確かに内側に大きいスピーカーを付けても、グリル(穴のアミ)の大きさは純正のままだしなぁ。
-
アウター加工してスピーカーを外側に出してくることで、ヌケも良くなりますよ。
-
奥まった純正位置より、音にも有利ってことか〜。
-
さらに、アウター加工までするなら、もっと大胆にスピーカー位置を変更することもあります。
-
ん?
インナーバッフルボードによる、スピーカー取り付け。
アフターバッフルボードによる、スピーカー取り付け。
✔ 市販スピーカーは立派なマグネットが付いているので、基本的にお尻が大きい。
アウター加工で実現する本格的なフロント3way
-
例えばこの車の例。純正のドアスピーカー位置は無視して、ドア下部のアウターバッフルの加工によって、大きなフロントスピーカーを入れています。
-
というのも、純正位置だと13センチ位のスピーカーしか入らないのです。
-
アウター加工するなら、そういう制限もなくなる。
-
このように大きめのドアスピーカーを入れた上で、それをミッドバスとして使っています。
-
大きい方が低音が鳴らせるのは、スピーカーの基本特性でしたね。
-
そうです。だからミッドバス用に、できるだけ大きいスピーカーを入れたかったのです。
-
フムフム。
-
そして、中音域を鳴らすミッドレンジ(スコーカー)を、ピラー加工で埋め込んで……
-
ツイーターがデカイ!
-
これはツイーターではなく、この車ではミッドレンジの役割なのです。ツイーターは、ドアミラー裏を加工して付けていますよ(↓)
-
……ということは、フロントだけで、3つもスピーカーが付いている?
-
高音・中音・低音という分け方ではなくて……
-
高音・中高音・中低音・低音と、音を4段階に細かく分けて、それぞれ専用スピーカーに仕事をさせるのです。
-
贅沢なオーディオシステム。
-
コンテスト車両とかになると、フロント3ウェイの車は多いですよ。
-
なるほど。
-
でもこういう仕様を作ろうとすると、純正スピーカー位置で純正サイズのままで……では無理がある。そこで、アウター加工などが必要になってきます。
-
この車の場合は、ツイーターやミッドレンジも、全部アウター加工みたいなノリでしたね。
✔ ミッドバス
通常のミッドレンジと違って、低音寄りの音域を担当するスピーカー。つまりミッドレンジとサブウーハーの中間を補う存在。
これが、フロント3way(スリーウェイ)ですね。後ろに積んだサブウーファーと合わせて、4つのスピーカーに音を分けるシステムです
純正位置を生かしながら、アウター加工も併用する3wayシステム
-
こんなケースもあります。もともとの純正スピーカー位置には、ミッドレンジを入れて……
-
ドア下部をアウター加工して、ミッドバスを取り付け。
-
ツイーターはドアミラー裏に土台を作って、純正位置より手前に出してインストールしました。
-
これは純正位置を生かしつつ、アウター加工も組み合わせてのフロント3ウェイですね〜。ウマイ。
-
そうですね。ここではツイーターも、外側まで土台を作り込んでいます。それによって、オーナーの音の好みに合わせて角度を付けられる。
-
加工するメリットは、位置・角度・サイズの自由度が広がるってことなんですね〜。
-
とはいえ、このように外側を加工してまで付けたいサイズのスピーカーを付けるのは、ごく一部のお客さんに限られますが。
-
しかしカーオーディオって、深みにハマるとこうなるんですよね〜。
フロント3Wayシステム
スピーカーを増設するときは単純な配線分岐ではNG!…その理由についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
関連記事
- プロローグ:カーオーディオプロショップは敷居が高い、という誤解
- カーオーディオの順番。どこから手を付けるのがよいか?
- 車の「スピーカー交換」入門
- ツイーターの取り付け位置・固定方法はどうすればいいの?
- バッフルボード(インナーバッフル)とは?
- パッシブネットワークとは?
- 車のスピーカーケーブルを交換する効果は? 引き直しの注意点
- スピーカーケーブルに使う端子の種類とつなぎ方。処理の注意点
- 車のスピーカー交換方法①純正スピーカー(リベット)の外し方
- 車のスピーカー交換方法②バッフルボードの取り付け方
- 車のスピーカー交換方法③ツイーターの取り付け方
- 車のスピーカーから音が出ない! 原因は?
- スピーカーを持ち込み取り付けしてもらう前に、知っておくべき話
- 車のスピーカー交換でノイズがのることはあるの? 対策は…
- 車のスピーカーの選び方で、一番重要なこと
- スピーカー交換の次はデッドニングか、アンプか?
- プロが使っているデッドニングシートはいろいろ。おすすめは?
- パワーアンプ(外部アンプ)を追加する必要性は? その効果は?
- アンプのチャンネルとは?╱アンプの選び方入門
- RCAとハイレベルインプットの違いは重要╱アンプの選び方入門
- パワーアンプのA級、AB級、D級とは?╱アンプの選び方入門
- スピーカーやアンプの「インピーダンス」とは?
- パワーアンプの設置場所(置き場所)は、車内のどこがいいのか?
- チューンナップウーファーとは? サブウーファーとの違いは?
- チューンナップウーファーのおすすめはどんなタイプ?
- サブウーファー取り付け時の、配線方法の知識
- サブウーファー取り付け時の、「電源」の知識
- サブウーファー取り付け方法①車内の設置場所を決める
- サブウーファー取り付け方法②純正ナビとの配線接続
- サブウーファー取り付け方法③床下に配線を通すための準備
- サブウーファー取り付け方法④スピーカーラインとACC電源を取る
- サブウーファー取り付け方法⑤バッテリー直結(バッ直)で電源を取る
- サブウーファーはリアスピーカーの配線を分岐して付けたらダメなの?
- ツイーターとサブウーファーを、純正配線「無加工」で増設できる小技
- 純正ナビに外部アンプを取り付け(接続)する方法
- 外部アンプ追加だけ(純正ナビ&純正スピーカー)で音は良くなる?
- 純正ナビに外部アンプ(パワーアンプ)をつなげたい時は?
カーオーディオ入門╱スピーカー交換編
カーオーディオ入門╱アンプ導入編
カーオーディオ入門╱ウーファー導入編
その他