スピーカー交換╱第15回
プロが使っているデッドニングシートはいろいろ。おすすめは?
デッドニングについてオーディオ専門店に取材。プロが使っているおすすめのデッドニングシートについても解説。DIYでも可能なデッドニングだが、プロに頼んだ場合の費用の目安も聞いてみた。
デッドニングの目的のひとつはサービスホールを塞ぐこと
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プロショップに教わるオーディオ連載。今回のテーマは、デッドニングです。
※連載のもくじは、「カーオーディオ入門╱スピーカー交換編」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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デッドニングは優先順位の高いおすすめメニューですね。例え6万円位の良いスピーカーを付けても、性能を発揮できているかどうかは別問題ですので。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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「スピーカーはボックスに組んでこそ、性能を出し切れる」というのが、前回のお話でしたね。
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そうですね。デモボードのスピーカーが、箱に組んであるのと同じように……
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ドアの鉄板のサービスホール(穴)を塞いで、擬似的にスピーカーボックス化するのがデッドニングの目的のひとつです。
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この時に使うのがデッドニングシートですが、これを貼ることでドア鉄板のビビリ(共振)も抑え込んでいます。
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一石二鳥ですね。
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デッドニングの目的は他にもありますが、サービスホールを塞ぐだけでも音は変わります。
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上の写真では、穴だけではなく、ずいぶん大きなデッドニングシートを使って、ドア鉄板に全面貼りしてますね〜。贅沢だなぁ。
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まあ、これは一例で、貼り方にはいろいろなやり方がありますよ。貼ればいいというものではなかったりするので……。
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と言いますと?
この穴がサービスホール
デッドニングシートで塞ぐ
ドア鉄板の制振材の貼り方は、いろいろな手法がある
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単にサービスホールを塞ぐだけではなく、ドア鉄板のビビリを抑えるために、奥(内部)の鉄板にもデッドニングシートを貼ったりもします。
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ただ、オーディオショップが行うデッドニングは、実際のところは店によってやり方がいろいろです。
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フムフム。
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奥の鉄板にもビッシリ制振材(デッドニングシートのこと)を貼るやり方もあれば、奥の鉄板にはあまり制振材を貼らない、というお店もある。
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えー、貼らないのは手抜きでは?
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いえいえ、そういうことじゃないんです。例えば「補強」をイメージしてみましょう。
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貼れば貼るほど、頑丈になりそうなイメージですが……。
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そう単純でもありません。補強すればその部分は頑丈になりますが、力は弱いところに逃げていきます。
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骨折したところは丈夫になるけど、他のところが折れるみたいな話?
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まあ、そうですね。だから車のボディにしても、単にスポット溶接で補強するだけではなく“逃がし”も必要です。
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ホホウ。
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同じような考え方を、デッドニングに取り入れているお店もあります。そういうお店は、必要以上には制振材を貼らない。
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なんだかプロのデッドニングは深そうですねぇ。
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そもそも、制振に使う素材自体が、いろいろですしね。
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デッドニングシートにも種類があるのか……。
サービスホール奥の鉄板(アウターパネル)
デッドニングシート、プロのおすすめは?
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デッドニングシートの種類はいろいろです。単価の安いシートもあれば高いシートもある。厚みも全然違うし、ゴムのような素材のシートもある。
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カーデンは、どんなのを使っていますか?
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この中で、一番よく使ってきたのがStPというメーカーのデッドニングシート。
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ムム……このデッドニングシート、ずいぶん重みがありますね。
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これは最近モデルチェンジした新しいシートなんですが、前モデルより分厚くなりましたね。
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ハサミでチョキチョキってわけにはいかなそうな、分厚くて丈夫なシートだ。
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確かに新型は切り貼りが大変そうですが……StPのデッドニングシートは、コスパが高いのです。だからカーデンのデッドニングのスタンダードコースには、これを採用しています。
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ナルホドね。
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そして、それよりは単価が上がりますが、レアルシルトも有名ですね。
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予算があるなら、レアルシルトを使うのもいいですね。
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なるほど、なるほど。
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ちなみにカーデンでは、奥の鉄板の制振だけレアルシルトを組み合わせたりとか、そういうことも時々やります。
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フーム。つまりそれだけ、制振材としての性能を買っているんですね。
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そして、さっき言っていたゴム素材のデッドニングシートが、フェリソニです。
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デッドニングシートといっても、いろいろあるんですねぇ。
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ちなみに、カーデンにはたまに「デッドニングの材料だけ売ってほしい」というDIYの人も来ます。
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……さすがDIYユーザーは、勇気あるなぁ〜。佐伯研究員はコワモテなのに。
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でも、そういう素材売りも、頼まれればやってますよ。
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DIYユーザーにも優しいプロショップ・カーデン♪
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あるいはその逆もあります。スピーカーの取り付けや配線は全部自分でやってあって、その状態から「デッドニングだけやってほしい」と頼んでくる人とか。
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なるほど。できるところは自分でやりつつ、重要なところはプロに任せるのも賢い。
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どっちのパターンでも対応しますよ。
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特にプロが使うような本格的なデッドニングシートの中には、ハサミでチョキチョキっと切れそうにないものがあるので、佐伯研究員に頼んでラクしたい♪
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……そういう理由ね。
ま、いいでしょう。
カーデンでは、3種類のデッドニングシートを使い分けています
StP Aero
✔ StPはロシアの素材メーカー。防振材、吸音材などを開発、輸出している。
レアルシルト(REAL SCHILD)
✔ プロインストーラーに定番的に選ばれているのが、レアルシルト。カーオーディオの世界で有名な「イース・コーポレーション」と、素材メーカーの「積水化学工業」が共同開発したデッドニングシート……と聞けば、その性能の高さも納得だ。
フェリソニ
✔ 一般的なデッドニングシートの素材はブチル。それとは一線を画す、合成ゴム素材のデッドニングシートがフェリソニ。
※怒っていない
デッドニングをプロに頼んだら費用はどの位なのか?
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プロにデッドニングをお願いするとしたら、いくら位かかるのでしょうか?
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カーデンの場合、費用は4万円位〜とは言っていますが、使うシートの種類や量、車種によっても変わってきます。
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では、4万円位〜というのはどのシート?
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基本コースは、先ほどのStPというメーカーのデッドニングシートでやっています。
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もっと高価なシートを使えば、6〜7万円位〜になってくるケースもあります。
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ナルホド。
素材の価格差もけっこうあるんだ。 -
それと基本コースは、ドア鉄板の防振・スピーカー背面の音を吸音する・サービスホールを塞ぐ……といった作業のトータル一式での料金です。
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フムフム。
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しかし、最初に言ったように、デッドニングは全部やらなくても……例えばサービスホールを塞ぐだけでも音は変わります。
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「ホールだけ塞いでほしい」というリクエストもアリ?
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ウチは対応しています。それなら通常より手間はかからないので、そのぶんは多少値引きして対応したりはしていますよ。
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なるほどね。ところで基本料金の4万円位〜は、フロントドア左右のことですよね。
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そうです。
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リアドアまでやるとしたら?
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う〜ん。リアドアまでデッドニングする人は、ほとんどいないし、オススメもしていません。
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そうなんだ。
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リアスピーカーはほとんど鳴らさないモノなので、だとしたらデッドニングする効果も薄いんです。
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スピーカーは、あくまでもフロント重視が基本でしたね。
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ハイ。だからデッドニングも、基本的にはフロントドアだけでいいと思いますよ。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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