アンプ導入ガイド╱第4回
パワーアンプのA級、AB級、D級ってなんのこと?╱アンプの選び方入門
パワーアンプには、A級・AB級・D級などのクラス分けがある。値段が高いものがすべての面において優れているわけではなく、それぞれに特徴があるので、アンプ選びの知識として触れておこう。
A級アンプは小音量向きで音質重視。とても高価!
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パワーアンプには、A級アンプとかD級アンプなどといった呼び方もありますよね。
●レポーター:イルミちゃん
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ありますね。Dクラスアンプ、などと言ったりもしますが。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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アンプの階級制度みたいな? 王様、騎士、平民……。
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う〜ん、違いますね。アンプのクラス分けは、単純にどれが1番という話ではないんですよ。
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ふむ。
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パワーアンプの役割は、デッキやナビの再生部が出力する微弱な信号を、スピーカーを駆動できるレベルまで増幅させることです。
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で、パワーアンプのA級・AB級・D級とは、増幅の動作方式の違いみたいなものなんですよ。
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どれがイイんでしょうか?
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そこがね、一長一短あるのです。
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ふーむ。
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A級アンプは、熱に変わってしまう量が多い。電気をたくさん喰ってしまうので、W数(出力)の小さいアンプなんですが……
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ダメってこと?
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いやいや。A級アンプは大音量には向いていないけれど、小音量でクリアな音を出すのが可能。一言で言えば、音質重視のパワーアンプなのです。
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へぇ〜。
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だから、ツイーターに使うのがいいとか言われたりしますね。
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なるほど。
出力は小さくてイイ音だから、か。 -
そうです。例えばマルチで組む(※)とき、「ツイーターにはA級アンプを割り当てる」コダワリ派もいます。
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私は大音量というより音質重視なので、A級アンプが向いているかも。
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ただし、A級アンプはめちゃめちゃ高価です。40万円とかしますよ?
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次、いきます。
※「アンプをマルチで組む」の意味については、「アンプのチャンネルとは?」参照。
B級アンプはパワー重視。A級とB級のイイトコ取りがAB級
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B級アンプは、反対に大音量に向いているアンプですね。
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では、B級アンプは小音量が苦手ってことになるのでしょうか?
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う〜ん……A級アンプに比べると、そういうことになりますね。でも実際の差は、人によって感じ方がだいぶ異なります。
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まあ、そうでしょうね。
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B級アンプを小音量で鳴らしても、十分いいじゃないかって感じる人もいるでしょう。これは、あくまでも比較の問題ですね。
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クラス分けって、マニアックな差なんですね。
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そうですね。ただ、B級アンプはあまり見かけません。最近多いのは、AB級アンプですね。
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A級とB級の合体バージョン?
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まさに、A級アンプとB級アンプのいいところを組み合わせたアンプがAB級ですね。小音量ではA級アンプとして動作し、音が大きくなるとB級として動作するので、バランスよく音量アップできます。
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小音量でも大音量でもいいよ〜ってことですね。
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ハイ。
だから採用例も多いのです。 -
じゃあ、バランス重視でAB級アンプにするかなぁ?
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ちなみにA級アンプほどではないけれど、AB級アンプもいいやつは高いですね〜。高価なクラスです。
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安いAB級アンプはないのでしょうか?
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う〜ん。一般的にAB級アンプになると、最低でも6〜7万円とかはするでしょうね。
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AB級でも高級アンプには違いないのか〜。あのォ、一番値段が安いのはどれ?
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それはD級アンプですね。
D級アンプは効率が良くて大パワー。値段も安くて現実的な選択肢
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ホホウ。
つまり効率がいい。 -
特に、サブウーファーを鳴らすのには向いています。
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音色より、パワー重視ってことか。
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そうですね。普段、アンプ選びで迷っている人に、A級にしなよとかAB級にしなよ、っていう話はあまりしないんですけど……
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そうなんですね!?
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だって、A級アンプとかAB級アンプとか、高価なものをそうカンタンに薦められるものではないし、出しているメーカーも限られています。
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ふむふむ。
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しかし、例外として、サブウーファー専用のアンプを探しているということであれば、D級のモノラルアンプ(1チャンネルアンプ)をオススメしたりはしますね。
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サブウーファーには、A級やAB級だともったいない?
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まあ、音色うんぬんはあまり気にしなくていいかなと。その分の予算を、フロントスピーカーに振り分けたほうがいいかな、とは思います。
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予算はなるべくフロントスピーカーの質に回す、というのは佐伯研究員がいつも言っていることですね。
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そうですね。
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そう考えると、現実的にはD級アンプってことになりそうな気がします。
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D級アンプは値段が安いから、世間的にも売れ筋だと思います。1万円台の価格帯からあるので、手を出しやすい。
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なるほど。
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売れ筋だから製品数も多いし、D級アンプでも音質面で進化しているモデルがどんどん増えています。
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う〜ん、そうなると一概にA級だからD級だから、という側面では選べませんねぇ。
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そうなんです。そもそも各社がA級、B級、AB級、D級と全部を揃えてはいないし、メーカーの考え方によって決まってくる部分が大きいですしね。
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アンプのクラス分けの違いは、参考程度に聞いておけば良さそうですね。
D級アンプは、出力が大きいわりに発熱量も少ないです
✔ 国産メーカーの定番ブランドの例。カロッツェリアの超小型アンプ「GM-D1400」は1万5000円(税別)。200W×4chの「GM-D7400」でも2万5000円(税別)。いずれも使い勝手のよい4チャンネルのDクラスアンプ。※価格は執筆時点
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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