車の整備・DIYにおすすめの工具セットはどれ?
車の整備におすすめの工具セットがある。バイク整備と自転車整備に加えて、ちょっとした組み立て家具などにも対応するので、DIY派にも好適。工具のプロのセレクトなので、初心者にとっては心強い。
工具セットにも膨大な種類があるので、何も知らずに選ぶのは難しい!?
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「工具セットの狙い目価格帯は? バラで買うよりどの位安くなるのか?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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前回は価格面での工具セットのメリットをお話しましたが、ここからは工具セットの選び方を解説していきます。
●アドバイザー:KTC トリー研究員
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ちなみに現在行われているKTCのSKセール(※工具セットの恒例セール)のページの全製品ラインナップを見ると分かりますが……
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KTCの工具セットを例にしても、何十種類とありますからね〜。
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うひゃー、そんなにあるの!?
●DIYラボ別館 ユキマちゃん
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そうですね。ケース(工具箱)の違い、入組(いれくみ)点数の違い、ケースのカラーバリエーションの違いなどがあるので、全部合わせると膨大な数になります。
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工具セットは、まだ工具を全然持ってない初心者(私みたいなの)にオススメと言ってたけど。
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それは事実ですよ。
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でも、その工具セットに何十種類もあったら、工具初心者には選べないじゃない!
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ユキマちゃんは、一番安くて小さいやつでいいんじゃないのかな?
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……そういう選び方じゃないことは確かね。
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では、自動車整備をメインに考えたときの工具セットに絞り込んで解説していきましょう。
SKセール特設サイトの、全製品ラインナップを見ると、延々とスクロールする。
自動車整備+バイク整備+自転車整備まで対応・おすすめ工具セット
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車の整備・車のDIY作業が目的なら、KTCで一番おすすめの工具セットはこのチェストタイプです。
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いきなりイチオシが出てきた。
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色は今シーズン登場した「黄色」や「深い緑」のほかに、定番の「赤」「黒」「シルバー」もあります。
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何十種類もある中で、なぜこのシリーズが一番おすすめなのでしょうか?
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工具をバラではなく工具セットで買うメリットの一つは、「いつかは使う可能性の高いサイズや品種が入っている」安心感にあります。
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ふむ。
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「何ミリのソケットは持ってないから、このねじが外せない!」などという事態を防げる。
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そういう事態が起こると、作業がそこでストップしてしまいますからね。
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でも工具セットだって、全ての工具が入っているわけじゃないでしょ?
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それはそうですが、この工具セットのシリーズは「自動車整備に合わせて、KTCがほぼほぼ完成させた工具構成」と言っても過言ではない内容になっているのですよ。
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ホホウ。
それは心強いですね。 -
KTCに限らず他メーカーの工具セットでも、入組内容は(多少の違いはあるものの)ほぼ近い内容であることが多いです。
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そうなんだ。
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いろいろ考えながら構成する工具を吟味していくと、結局ほぼこの内容になるのです。
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「工具のプロが車向けに必要なモノを揃えたら、こうなる」という答えなんだ。
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なお、KTCの場合は、自動車をメインに考えつつ、組み立て家具などで使われている六角穴付きボルト(キャップボルト)用の六角棒レンチ等も入ってます。
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家庭で使う工具も入っているってことですね。
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ハイ。このシリーズは、自動車に加えて、バイク・自転車、その他一般家庭で使う家具・機械類をほとんど整備できる工具内容になっています。
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そういえば前に、車によく出てくるねじ(ボルト)のサイズなどを勉強しましたが……
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自動車のねじの定番サイズはもちろん入っているし、自動車では出てこないけど自転車や機械類に使われている13ミリなども入っています。
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自転車も整備できるって、そういうコトか。
自動車やバイク整備に対応したスタンダードモデル。写真は黄色ケースのSK36719XY
SK36719Xシリーズの入組内容。
「専用トレイ」と「ガサ入れ」の違い。両方ミックスする手も!
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それにしても工具セットって、工具がキレイに収納されているのね~。
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それも、工具セットのメリットと言えます。ケースにもよりますが、専用トレイで工具が姿置きされていることが多いです。
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この見た目には、かなり所有欲をくすぐられます。
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見栄えだけでなく、機能面でもメリットは多いです。取り出しやすい、戻しやすい、使っている工具が分かる、紛失防止になる……などなど。
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確かに、しまい忘れは防げるね。
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いっぽうで専用トレイはどうしても収納力では劣ります。収納力に不足を感じる人はトレイを抜いて使ったりもしますね。
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なるほど。
そういう使い方もあるのか。 -
トレー無しにして、ガサ入れ(※)すれば収納力が増えますので。
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ガサ入れって……。
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でも、せっかく姿置きされているのに、ガサ入れするのはもったいない気もするな~。
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その気持ちも分かります。……ですから、おすすめで挙げたチェストタイプの工具セットは、最下段のチェストだけが「ガサ入れタイプ」になっています。
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このスペースには空きがあるので、追加で購入した工具もしまえるのです。
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なるほど。
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そういうところも、工具セットによって違うってこと?
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そうですね。例えば、両開きのケースを使った工具セットなども見た目が良くて人気がありますが……
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わ~、これはオシャレ♪
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こっちにしようかな~。
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ただ、この工具セットは「オール専用トレイの姿置き」となっています。だから見た目がいいのですが……
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ということは?
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追加工具が入らないんですよね。
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なるほどね。
両開きメタルケースのSK35619WZPRを、片方だけ開けたところ。
※ ガサガサっと工具をしまうこと。業界用語のひとつ。
KTCの工具セット・SK35619WZDGR
KTC工具セットの中身の違いを比較したいときは…
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でもなあ。「両開きケースのオール姿置き」も、見た目のインパクトからは捨てがたいなァ。
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そのあたりは好みがありますよね。ただし、最初に自動車用として挙げたチェストタイプの工具セットに比べると、入組点数が少し減ります。
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そうか。こっちの両開きケースのセットは、車いじり最適化セットではないから。
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なにが無くなったの?
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そういう違いを調べるときは、KTCの「工具セット比較シミュレーション」が便利です。
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比較したい2種類の工具セットを選ぶと、その中身の違いが表示されます。
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どっちが勝ったの?
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この工具の一覧の中で、共通で入っている工具は黒文字で、片方の工具セットにしか入っていない工具は、赤文字で表示されます。
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ナルホド。
赤文字をチェックすればいいんだ。 -
今回の比較例でも、こうして見ると、ソケットの数がチェストタイプのほうが若干多いんです。
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フムフム。
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工具の種類の構成はだいたい同じでも、サイズがちょっとずつ少ない。
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例えば?
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両開きケースの工具セットは19ミリまでしか入ってないけど、チェストタイプは21ミリ・22ミリまで入っているとか。
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そうやって間引いてあるんだ。
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両開きケースの工具セットは、もともと持ち運ぶことを重視したセットなんですよ。プロの方は出張整備などで使います。だから軽量化のため工具数を減らしたい。
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コンセプトが違うんですね。
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そうですね。だからチェストタイプとの大きな違いとして、モンキーレンチが入っています。
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モンキーレンチは二面幅さえ合えばどんなねじでも回せるので、エマージェンシーツールとしてはけっこう有効。
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現場でサイズが合わないねじが出てきても、対応できるようになってるんだ。
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もちろん本来は、サイズの一致するレンチを使う方がガタがない。チェストタイプではサイズを充実させている分、モンキーレンチは入ってません。
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いろいろ考えて、工具の構成が決まっているんだな~。
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その意味でも、車いじり用途なら最初のチェストタイプがベストな選択肢と言えそうです。
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でも私的にはやっぱり、両開きケースのほうが見た目が好きなんだけど?
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なに言ってるのよ。工具なんだから「箱」じゃなくて、「中身」で選びなさいよ。
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え~〜。
両開きじゃないとテンションが上がらない〜!! -
ワガママ言うな!
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いや。ケース(工具箱)は工具セットの重要なポイントですから、「ケースで決める」のもアリだと思いますよ。
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え?
中身じゃなくて、工具箱で選んでいいんですか??? -
工具セットは見た目も大切です。入組点数はそんなに気にしなくてもいい。必要なら後から追加すればいいし。
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やっぱりね!
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満足感 → いい気分 → いい整備 → さらなる満足。そんな〈幸せのスパイラル〉を呼び込むための工具セットでもありますから。
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……な、なんか、らしくないこと言ってるけど。
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……ただし工具箱にも、それぞれ一長一短あります。その違いは知った上で、判断したほうがいいかも知れません。
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言われてみれば、工具セット選びは、工具箱選びでもあるんだ。
✔ KTC公式サイトの「工具セット比較シミュレーション
対決結果!
両開きメタルケースの工具セット「SK35619Wシリーズ」の入組内容。
DIY Laboアドバイザー:トリー研究員
KTC・ブランド戦略部に所属。『なるほど!工具ノート』でおなじみの「朝津かな」さんの先輩にあたり、工具のイロハを教えた師匠のひとり。多忙な中でも、工具のことについて質問されるとトークが止まらなくなる生粋の先生気質。
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