圧着端子の正しい付け方と、使い方のルール
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圧着端子はギボシ端子のように脱着はできないが、1個の端子で配線をつなげて結線部分もコンパクト。「脱着しない」場所ならば、ギボシ端子よりも圧着端子のほうがメリットが多い。「ハンダを使わずに配線をつなぐ」という本来の目的をシンプルに果たす端子だ。
圧着端子の使い方。ギボシ端子とどう違う?
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「圧着端子」はギボシ端子と、どう違うのでしょうか?
●レポーター:イルミちゃん
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まず大きな違いとしては、ギボシ端子は脱着できますが、圧着端子は脱着はできません。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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一度つなげたら外せないんだ。
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下の写真を見てください。圧着端子は土管のような形状をしておりまして、ひとつの端子の左右から配線コードを入れる仕組みになっています。
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ギボシ端子のように、オスとメスを組み合わせるわけではないんですね。
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そうです。1個の端子でシンプルにつなげます。脱着はできないぶん、端子を付ける作業はスムーズと言えます。
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確かにオス端子をかしめて、メス端子をかしめて、やっとつなげるって面倒ですねぇ。考えてみると。
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さらにギボシ端子は1個につきツメを2箇所かしめるますが、圧着端子は片側につき1回圧着するだけなのでラクですね。
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なるほど。脱着はできないけれど、配線コードをつなぐという目的だけならシンプルに達成できるのが圧着端子なんですね。
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そうですね。
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ギボシ端子は使い方を間違えると接触不良の原因になるという話は「ギボシ端子の正しい使い方」で教わりましたが、圧着端子は地雷も少なそうです。
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とはいえ、付け方を間違えたら接触不良の原因になるのはどんな端子でも同じです。正しい付け方をマスターしておきましょう。
ひとつの端子に両方から配線を差し込む
ギボシ端子はツメが2箇所
圧着端子は点でつぶすだけ
圧着端子の付け方(かしめ方)
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今回は圧着端子の中でも登場頻度が一番高い、エーモンの「圧着接続端子」(ITEM NO.3326)を使って説明していきます。
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圧着端子を付けるときの工具は、ギボシ端子と同じく電工ペンチを使います。
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ここでもやっぱり電工ペンチの出番なんですね。
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まずは配線コードの被覆をむきます。
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被覆をむく作業は、ワイヤーストリッパーがあると便利ですが……、
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ない場合、電工ペンチのワイヤーストリッパー部でもできます。配線コードの太さによって、使う穴が違いますよ。
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ここでは0.5スケアの配線を使っているので、「0.5」と書かれた穴(↓)を使っていますね。
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AWG表記だと「AWG20」と書かれていますが、同じことです。
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次に内部の芯線(銅線)を指でくるくるっとよじってまとめます。端子を付けやすくするためです。
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端子を付ける前に絶縁用の収縮チューブを先に配線コードに通しておきます。
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配線をつないでしまったあとでは、入れられませんからね〜。トーゼンですが。
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次は端子に芯線を差し込みますが、このときに芯線が1本もハミ出さないように注意しましょう。
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そのために芯線をよじる必要があったんですね。
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端子の中に入っているのは芯線(銅線)のみです。
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被覆部分までは、入らないんですね。
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そして端子の圧着には、ギボシ端子のときとは違う穴を使うのがポイントです。
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ココ、重要なシーンです(↓)
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ギボシ端子をかしめるときは断面がハート形になるように圧着しますが、圧着端子は点でつぶすので、使う穴が違うのです。
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ギボシ端子のように複数の穴を使って2段階でかしめる必要もない?
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そうですね。0.5の穴だけでぐ〜っと圧着すればそれでOKですよ!
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これで配線の片方がつながったので、反対側にも配線を差し込んで……
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これで配線がつながりました。引っ張っても抜けないかどうか確認しておきましょう。
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おお〜! もう終わった。素晴らしい。
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まだ終わってません。圧着接続端子は端子部分がムキ出しになっているので、このままだったらショートします…。
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そういえば、最初になんかチューブみたいの通しましたね。忘れてた。
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端子を付け終わったら、収縮チューブを端子の上にかぶせて、ドライヤーなどで熱をかけて収縮させます。
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それにしても、1点だけ圧着すればいいというのはラクでいいですね。
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圧着端子を使うメリットは他にありますので、それは次ページで解説しましょう
定番の圧着端子はコレ
Amazonでも販売されているエーモン 圧着接続端子(3326)
電工ペンチが必要
ここで使用しているのは、【Amazon.co.jp限定】エーモン 電工ペンチ(1452)
ワイヤーストリッパーの穴で挟んで…
スライドさせて、5ミリほど被覆をむき取る
こんな感じにまとまればOK
収縮チューブを通す
圧着前のセット完了
0.5と書かれた圧着用の穴を使う
圧着できた!
反対側も同じように圧着
絶縁完了!
配線コードを選ぶときは「太さ」を間違えるとリスクが生じる、という話については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。配線コードの選び方のおさらいにも最適。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。