めがねレンチとスパナのサイズ選び╱車の整備をする人は?
めがねレンチとスパナのサイズの選び方。車の整備用で揃えるなら、どのサイズが必要なのか? 予算が限られている人向けに、使用頻度が高く、作業効率のいい「使える」組み合わせを考える。
自動車整備用の、めがねレンチの定番サイズラインナップとは?
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●レポーター:イルミちゃん
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前回は、スパナとめがねレンチの口径サイズについて、基本的な選び方を解説しました。
●アドバイザー:KTC トリー研究員
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思った以上にサイズバリエーションが多くて、考えれば考えるほど、口径サイズの組み合わせ方に悩むわ~。
●DIYラボ別館 ユキマちゃん
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まあね〜。
KTCは特にサイズの種類が多いしね。 -
そうはいっても「自分が行う作業内容では、このサイズのねじの頻度が高い」というのを理解している人は、どの組み合わせの効率が良いのかが、分かってきますが……
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……。
(←理解していない人) -
そのへんがまだ分かっていない、自動車整備初心者の人はけっこう迷うところでしょうねぇ。
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迷ったら、ひとつのヒントになるのが、工具セットの入組内容ですね。
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ほう?
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そういえば! 車向けの工具セットには、何ミリのスパナやめがねレンチが入っているんだろう?
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工具セットの入組点数によって多少変わりますが、自動車向け工具セットの、めがねレンチのサイズラインナップは、これ(↓)が定番です。
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ある程度の入組点数が揃ったスタンダードセットの場合、「8×10」の次は「10×12」「12×14」と続きます。
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車に出てくるねじサイズ「8/10/12/14/17/19ミリ……」の口径サイズを、重ねながらカバーしていくんだ。
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そうですね。
作業性の面などを考えて、そうなっています。 -
自動車向けサイズなら、これだけ揃っていればOKってことね。
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一番大きいサイズで24ミリ。
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「22×24」は足回り用ですね。ホイールナットには21ミリも使われていますが、めがねレンチではゆるめられないので、はぶいています。
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なるほど。
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あとはこれに「11×13」が入ってくると、総合的に使えるサイズラインナップになりますね。
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あれ?
13ミリは、いらないんじゃなかったっけ?
✔ KTCの標準的なめがねレンチのサイズラインナップは、「45°×6°ロングめがねレンチ」参照。
めがねレンチの定番サイズ
13ミリを含める場合のサイズラインナップ
「13ミリ」サイズは、車では使わないが、総合的には使用頻度は高い
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13ミリアタマのねじ(ボルト)は、車では出てこないんでしょう?
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それはそうなんですが、本来は「車の12ミリ」のほうが特殊であって、自転車や一般的な機械モノをいじるときは、13ミリは非常に高い頻度で登場します。
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13ミリのねじの方が、多数派なんだ。
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「車の整備しかしない」のであれば、13ミリはいらないことになりますが、総合的に考えるなら必要かと。
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……なるほど。
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それと、社外品では一般部材を流用することもあるので、13ミリが出てくる可能性はゼロではない。
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では自動車&バイク関連は、絶対13ミリが出てこないとは言い切れないのね。
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ですから、KTCが自動車向けの工具セットに位置づけているチェストタイプ(↓)にも、実は13ミリが入っているんですよ。
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そうだったんだ。
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ただ、11ミリはあまり見ないサイズ。ねじの規格はM7になりますが、小さい部品でよく使われるねじと言うと、M6・M8・M10あたり。M7は、ほぼ登場しません。
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では、バラ買いでめがねレンチを揃える人は「11×13」じゃなくて「10×13」とかでもいいかもね。
車に使われているねじの定番サイズ
自動車整備にあまり大きなサイズのスパナはいらない!?
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スパナに関しても、めがねレンチと同じ口径サイズを揃えておくのが理想でしょうか?
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う~ん、とはいえスパナの場合は、主要サイズは17ミリぐらいまで、ですね。
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もっと大きいスパナはないの?
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ありますよ。
KTCには最大で「41×46」もあります。 -
へー。
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しかし自動車整備においては、スパナは特殊用途の扱い。大きいサイズのねじなら、なおさらめがねレンチを使ってほしいのです。
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自動車でもスパナしか使えない箇所はありますが、通常は17ミリまで。19ミリ以上のスパナが必要なケースは頻度が低い。
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だから基本的には、スパナは17ミリまで持っていれば十分なんですね。
スパナの定番サイズ
✔ KTCの標準的なスパナのサイズラインナップは、「スパナ」参照。
車の内装・電装しかいじらないなら、ひとまず「8ミリ・10ミリ・12ミリ」をカバー
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自動車向けのサイズラインナップを紹介しましたが、作業内容によってもベストな組み合わせは変わる。そこを考えるのが、工具選びの楽しみのひとつではありますよ。
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そういえば……ユキマちゃんは、なぜ最初に10ミリを買おうとしていたのよ?
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だって、車の電装DIYで出くわすねじ(ボルト)って、10ミリが多いでしょう?
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まあ、内装の分解作業だと、8ミリ、10ミリ、12ミリあたりの小さいネジがほとんどね。
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だとすると「8×10」「10×12」を買っておけば、ひとまず対応できる。
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それならスパナとめがねレンチ、それぞれ「8×10」「10×12」を買うとしても合計4本で済むんだ。
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……というのもいいんじゃないでしょうか。それなら、3本で済みますね。
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コンビネーションレンチ……?
なんだか、また話がややこしくなってきたぞ。
あるいは、「8ミリ」「10ミリ」「12ミリ」それぞれのサイズのコンビネーションレンチを買っておく
DIY Laboアドバイザー:トリー研究員
KTC・ブランド戦略部に所属。『なるほど!工具ノート』でおなじみの「朝津かな」さんの先輩にあたり、工具のイロハを教えた師匠のひとり。多忙な中でも、工具のことについて質問されるとトークが止まらなくなる生粋の先生気質。
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