純正風の流れるウインカーを作る
シーケンシャルウインカー自作教室(第1回)
2千円を切る低価格で、シーケンシャルウインカー専用リレーユニットが新発売というニュースは既報の通りだが、このユニットを使って低予算でシーケンシャルウインカーを自作する連載がスタート。今こそ純正風の流れるウインカーを作ろう!
シーケンシャルウインカーを自作するのに必要な材料は?
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C-HR・ハリアー・レクサスなどで純正採用が進み、関心を持つ人が増えたシーケンシャルウインカー。
●レポーター:イルミちゃん
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「どうやって作るのか?」「自分の車でもできるのか?」という問い合わせが非常に多いので、ゼロから作り方を公開していきたいと思います。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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これは、プロのLED加工者のやり方そのものです。「自作教室」とうたってはいるものの、完成度の高いシーケンシャルウインカーが作れますよ〜。
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今回は初回ですので、必要な材料を紹介しておきます。
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フムフム。
材料を揃えるところからですね、先生。 -
まず普通のLEDルームランプ自作などと決定的に違うのは、シーケンシャルウインカーユニットが必要なこと。
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「シーケンシャルウインカーリレー」「シーケンシャルウインカーキット」など、いろいろな呼び方がありますが、同じものを指しています。
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シーケンシャルウインカーを作るのなら、従来の「流れるウインカーユニット」ではなく、上のような専用モデルを使うほうが、自作の難易度が大きく下がります。
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流れるウインカーユニットとシーケンシャルウインカーユニットの違いは、下記記事で詳しく解説済みです。
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2000円を切る低価格で、シーケンシャルウインカーユニットが入手できる時代になったので、まさしく自作に追い風となっています。
エルパラで販売開始した、新型のシーケンシャルウインカーユニット
シーケンシャルウインカーに向いているLEDはどれ?
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次は、LEDにどれを使うか、という問題なんですけどね。
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橙色やアンバー色(※橙色と黄色の中間)のあるLEDですよね。
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そうなんですが、橙色のLEDといっても、実にたくさんありますので……
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そっか。
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ウインカー用のLEDの選び方については、次回詳しく解説しますが、定番というか自作にオススメできるのは帽子型LEDです。
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今回の連載でも、この帽子型LEDを使って製作を進めていきます。
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なぜ、帽子型なのでしょう?
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普通の砲弾型LEDに比べると、あたまの高さが抑えられているのがポイントです。
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もちろん砲弾型で自作してもいいのですが、車種によっては基板からレンズ面までの距離が短く、干渉してしまう恐れがあります。
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あ〜。
そういうことか。 -
それと砲弾型LEDは(モノによりますが)照射角度が狭いです。上で紹介した「4.8ミリ帽子型LED」は、照射角度が120度もあるのに対して、オーソドックスな5ミリ砲弾型LEDは15度しかありません。
※砲弾型でも広角モデルを選べば話は別。
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ずいぶん違うな。
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照射角度が狭い分だけ、直線的に飛ぶ光の強さは上ですが、ウインカーをナナメ方向から見たときの視認性を考えると、照射角度がワイドなLEDを使うほうがオススメなんですよ。
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なるほどね。……それでいうと、チップLEDも照射角度はワイドなのでは?
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そうなんですが、チップLEDは自作では扱いにくいんですよね。
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扱いやすさは、とても大事ですね。シーケンシャルウインカーは、自作としては大作ですし。
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それと砲弾型や帽子型のような2本足LEDは、敷き詰めて配置できるので、きれいに流れるシーケンシャルウインカーを作りやすいという利点もあります。
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そういうことも考えて、LEDを選ぶんですねぇ。
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反対に、少ないLED数でもシーケンシャルウインカーを作れるのがパワーLEDのメリットということになりますが、放熱対策なども必要になります。
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なるほど、なるほど。
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パワーLEDを使うシーケンシャルウインカー自作方法も、連載後半でやりますが、まずは難易度がやさしめの自作から解説したほうがいいのかなと思いまして……。
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それなら帽子型LEDがイチオシなんですね。
4.8mm帽子型イエローオレンジ。「黄色では黄色っぽい、橙色LEDでは赤っぽい……。中間はないの?」という人向けに作られた、ど真ん中ウインカー用アンバーLED。
オーソドックスな砲弾型LED
抵抗計算しなくてもシーケンシャルウインカーは作れる
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LEDを光らせるための部品として、「抵抗」または「CRD」も必要です。今回は、よりローコストで作れる抵抗を使います。
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ここで通常なら、使うLEDに合わせて「抵抗計算」をするのですが……
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さっき紹介した「4.8ミリ帽子型LED」を4個直列で組むという想定で答えを言ってしまえば、「1/4Wカーボン抵抗の390Ω」をチョイスすればOKです。
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今回は、できるだけ面倒な手間をはぶいてシーケンシャルウインカーが作れるように……という趣旨なので、抵抗計算はスルー。野本研究員が計算した答えそのものが、上の抵抗です。
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ただ、同じLEDでも直列に並べる数で抵抗値が変わってしまいますので、「帽子型LEDを4個直列で組む」のが大前提です。
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ところで抵抗は何個用意すればいいのでしょう?
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今回は、LED4個に1個の割合で付けていきます。だから40LEDのウインカーなら抵抗は10本必要ですね。あとはLEDの総数次第です。
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なお、1/4Wカーボン抵抗は、エルパラだと10本セットが50円で販売されています。部品だけだと非常に安いっ!
LED通販エルパラで、10本単位で販売されている1/4Wカーボン抵抗。プルダウンメニューから390Ωを選べばOK。
整流ダイオードは1アンペアでほとんどの自作に対応可能
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あとは、電気の逆流が起きたときにLEDが切れないよう、逆流防止の整流ダイオードを用意します。
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これも、アンペア数の違いで種類がいろいろありますが……
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2本足LEDでシーケンシャルウインカーを自作する用途なら、1アンペアの「1N4007」で十分です。
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LEDルームランプやLEDウインカーを作る時の、超定番モデルですね。
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これは何個用意しますか?
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LEDウインカー基板ひとつに対して1個あればいいので、フロントだけの自作だとすれば2本で足ります。
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エルパラだと1本15円で売っているので、30円でいいわけですね。
LED自作の定番、整流ダイオード1N4007。これは1本単位で買える。
基板は、曲がる基板の大きめサイズを使う
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LEDや抵抗をのせる土台として、基板が必要ですね。
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基板にもいろいろありますよねぇ。ガラスコンポジットがどうしたこうしたとか……
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あまり話を難しくしなくていいです。そんな知識はなくても、自作はできますので。
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そうでした。
野本研究員だったらどれを使うの? -
ウインカースペースが真っ平らな車種など、ほとんどありません。ですから、ウインカーを作るときは、けっきょく普通の固い基板はほぼ使わないんですよ。
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フムフム。
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たいていの場合は、曲がる基板を使います。
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この基板なら、湾曲したウインカースペースに合わせ、反らせて付けることができます。
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こういうことですね(↓)
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曲がるということは、すなわち薄い。なので普通の固い基板よりも、ハンダ付けの難易度は上がってしまいますが……
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ムムム。
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しかし、ウインカー製作では、現実的には曲がる基板を使うことが多いので、今回もコレで頑張りましょう。
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これで、シーケンシャルウインカーを自作する材料は揃いました。
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あとは配線(電線)や、ハイフラキャンセラー抵抗などの細かい部材が出てきますが、そのときにまた解説します。
ピタリ
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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