チェスト&ワゴンの工具箱スタイルは、オススメ最終形態
チェスト(引出し)タイプの工具箱がワゴンに載ったスタイル。それは車好きにとっては憧れの、ガレージのイメージそのもの。ゴロゴロ転がせる工具入れを、車の前まで持っていく。いつか叶うかもしれないので、チェスト&ワゴンの組み合わせの知識も入れておこう。
工具箱(工具収納)におけるローラーキャビネットとワゴンの違い
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「工具箱を買うなら〈チェストタイプ〉か〈両開きケース〉か?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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前回、チェストタイプは工具箱として定番ではありますが、基本的には据え置き前提なので、移動には不向きだと言いましたよね。
●アドバイザー:KTC トリー研究員
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だからプロは、ローラーキャビネットの上にチェストタイプを載せる……でしょ?
●DIYラボ別館 ユキマちゃん
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ローラーキャビネットとは、チェストタイプのような引出しが付いていて、サイズが大きいのでキャスターで転がす……という工具箱です。
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動く工具箱みたいな感じですね。
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いっぽう、同じくキャスター付きのものに、ワゴンがあります。
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どう違うの?
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引出しで埋まっているローラーキャビネットに対して、ワゴンは引出しが付いていないか、付いていたとしても1段か2段程度なんです。
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その他の段は、トレイのような状態になってますね。
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そうです。ワゴンは、言ってしまえば柱に対してトレイが付いただけのシンプルな形態なんです。
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タンスと、棚の違いみたいなものね。
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だから工具類を細かく整頓することはできませんが、大きな部品や、かさばるものを置いておける利点があります。
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引出しだと、どうしても引出しの高さの制限がありますからね~。
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そうなんです。大きいモノをガサガサっと置くには、ワゴンのほうが便利。
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ナルホド。
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それと、見た目の通り、使われている鉄板が少ないため、ローラーキャビネットに比べて軽量なんです。
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大型のローラーキャビネットは、キャスターが付いているとはいっても、動かすのはなかなか大変です。
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引出しの中に工具が入っているから、なおさらですね。
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それに対して、ワゴンは軽い力でコロコロと押していけます。
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軽いほうが、普段の使い勝手は良さそう。
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それに、使われている鉄板が少ないので、比較的ワゴンのほうが価格も安いです。
ローラーキャビネット
ワゴン
KTCのワゴン(3段1引出し)
✔ ワゴン(4段1引出し)を例にすると、高さは1011mm・重量29kg。近い高さのローラーキャビネット(5段5引出し)に比べると、約半分の重量となっている。
小型のチェストタイプをワゴンに載せるのが、現実的な工具箱のスタイル
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そもそもローラーキャビネットとワゴンは、目的・使われ方が違います。
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ゴロゴロ移動する……という意味では同じだけど。
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とはいえ、大型チェストとローラーキャビネットの組み合わせは、工具や備品の収納・保管が主目的です。
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つまり、日常的に移動する前提ではない?
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そうですね。自動車整備工場などでは壁面に据え置きで設置され、作業する車からは離れていることが多いです。
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じゃあ、工具はけっきょく手持ちで持っていくってこと?
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でも手持ちだと持って行ける量が限られるし、台車だと運ぶモノの形状に制約がある。そこで活躍するのが、ワゴンなのです。
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あ~。
そういうことか。 -
工具や部品類をまとめて載せて車の近くまで移動し、そのまま作業台としても使える。ローラーキャビネットとワゴンは、住み分けができているのです。
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ナルホド。
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でもさ、両方を使い分けるのは、プロの作業環境の話でしょう?
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まあ、一般DIYユーザーの方だと、ローラーキャビネットの上にチェストタイプを載せるスタイルは、オーバースペックなケースも多いと思います。人にもよりますが。
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確かにちょっと本格的過ぎるっていうか……
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そんなに工具いる?
……っていう。 -
一般的にはそうですよね。それで、「チェスト&ワゴン」の組み合わせがオススメなんですよ。
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このスタイル、実は一般ユーザーの最終形態としては定番的なのです。
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ホホウ。
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これなら、チェストタイプの工具箱でもラクに移動できるし、収納力もさらに一段アップして、ワゴンを作業台としても使えます。
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見栄え的にもプロっぽい!
キャスター付きスタイルになるし。 -
KTCとしても、このスタイルは推しのひとつ。ワゴン&チェストのカラーを同色コーディネイトできるように、5色展開しています。
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なるほどね!
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そして、チェスト&ワゴンを組み合わせた工具セットもあります。
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最初から、理想をカタチにしたセットなんだ。
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一般ユーザー向けとしては、ハイエンド工具セットの位置付けですね。
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そういえば、自動車整備用の工具セットでは、チェストタイプをイチオシに挙げていたトリー研究員ですが……
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それの上位版みたいなものね。
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チェストケースに加えて、ワゴンには引出しが1段だけ付いているので、その分だけチェストタイプ単独より入組点数が増えています。
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内張りはがしや、差込角6.3ミリ(1/4インチ)のソケットも含まれてきますね。
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差込角? そんな難しいこと言われてもよく分からないけどさ……
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う~ん。
「猫に小判」感がハンパない。 -
でも、とりあえずキャスターでゴロゴロ~って車の前に転がしていくの、憧れるわぁ♪カタチから入るのは、基本よね。
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あなた、「オシャレな両開きケースを手持ちで運びたい」って言ってなかったっけ?
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一般家庭のガレージで、ワゴンを据え置きで使うのもアリですね。ワゴンの棚はかさばるものが収納できるので、園芸用品やサッカーボールなどの物置にも使えますし。
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普通にいろいろ、使いやすそうです。
チェスト&ローラーキャビネットタイプの工具セット「SK94519EER」
✔ なお、チェストやローラーキャビネットの引出しを複数同時に開けるのは、工具箱の使い方としてはNG!(転倒する可能性があるため) ※上記のような写真は、あくまでも工具セットの工具が見えるように撮影された商品イメージです(以下、同様の写真は全て同じ)
ワゴンも5色から選べる
ちなみにワゴンは、KTCが現在行っているSKセール(工具セットのセール)の対象アイテム。詳しくはSKセール公式サイトの、「SKX2613&SKX2704シリーズ」参照。
チェスト&ワゴン工具セット「SK59419XX」
「SK59419XX」の入組内容。
DIY Laboアドバイザー:トリー研究員
KTC・ブランド戦略部に所属。『なるほど!工具ノート』でおなじみの「朝津かな」さんの先輩にあたり、工具のイロハを教えた師匠のひとり。多忙な中でも、工具のことについて質問されるとトークが止まらなくなる生粋の先生気質。
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