六角ボルトを回す（外す）工具の基礎知識。覚えておきたい「二重六角」

六角ボルトとは、アタマが六角形のねじ。この六角ボルトを外す（回す）ための工具の口径部は、十二角が主流だという。六角のボルトにピタッとはまる六角形を差し置いて、なぜ十二角なのか。知らなくても外せるが、知ると「ナルホド」と思う話。

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  六角ボルトを回す（外す）ための工具について、勉強していきます。

  ●アドバイザー：KTC トリー研究員

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  六角ボルト。
  ……どこかで聞いたことあるわね。

  ●DIYラボ別館 ユキマちゃん

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  ボケてるんじゃないわよ。車のねじはだいたい六角ボルトじゃないのよ。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  そうですね。ねじ講習のおさらいですが、アタマが六角形のねじが六角ボルトです。



✔ ねじの基本は「車で使われている〈ねじの種類〉と〈サイズの謎〉」参照。

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  この六角ボルトを回す（外す）工具としては、口径部が十二角の工具が主流です。

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  え……十二角？

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  そうですよ。代表的なところではめがねレンチやコンビネーションレンチなどは、ほとんどが十二角ですね。

めがねレンチの口径部


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  めがねレンチって、十二角だったんだ！

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  一般的にはそうです。全てではありませんが。

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  てっきり、ただのギザギザだと思ってた。

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  ……なるほど。でもこれはギザギザではなく、12個のカドを持つ十二角、なんですよ。

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  十二角形だったとはね～。

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  いいえ、十二角形とは違います。

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  ？？？
  自分が十二角って言ったんじゃないのよッ!!

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  いわゆる図形の十二角形と、めがねレンチやソケットレンチの十二角はカタチが違うのです。

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  なんだ、なんだ？？？

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  めがねレンチやソケットレンチの十二角は、六角形を2つ重ねた上で、ひとつを30度ズラしてできる形のことなんです。


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  これを、二重六角と言います。今日、覚えて帰ってほしい用語がこれです。

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  にじゅうろっかく……。

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  ……なんだって、わざわざそんなややこしい形状にするの？

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  それは、だから、六角ボルトを回す（外す）ための工具だからですよ。

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  ああ、なるほど。

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  二重六角はあくまでも六角形がベースですから、六角ボルトにはまるんです。


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  図形の十二角形だったら、六角ボルトにはまらない。

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  そうです。ですから二重六角の工具は、あくまでも六角ボルト用なのです。

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  納得♪

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  ……ぜんぜんナットクできないんだけど。

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  なんでよ？

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  六角ボルト用の工具なら、六角の穴にしておけばいいじゃないのよ。めがねレンチ、分かりにくい！

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  「ねじに合わせるなら、六角ボルトは六角のレンチでいいはず」という意見ですね。

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  そうそう。

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  確かに、なんで十二角なんだろう？

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  実はちゃんと、六角のめがねレンチやソケットレンチもあるんです。



KTCのヘックスめがねレンチ

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  本当だ、六角形のめがねレンチってあるんだ！ はじめて見た。

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  これなら誰が見ても、六角ボルト用の工具って感じね。

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  でも、六角めがねレンチはレアな存在で、主流は十二角のめがねレンチです。



KTCの標準的な十二角めがねレンチ、「45°×6°ロングめがねレンチ」

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  KTCのめがねレンチも、標準的なモデルは十二角です。

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  ……ナゼだ？

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  なんでかな？

二重六角が主流になっている理由は、使い勝手の面からです



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  ふむふむ。

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  六角ボルトに対して六角形の口径部を持つレンチだと、60度ごとにしかハマりません。



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  あ、そういえばそうだ。

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  工具を当てにいったポイントがその中間ではまらないときは、どちらか近い方向に最大30度回す必要があります。

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  そうなりますね。

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  しかし、二重六角のレンチなら、30度ごとにはまるんですよ。




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  六角形の1/2の角度ではまるんだ。

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  そうなんです。ということは、はまらなかったときに回す角度も最大15度と小さくなります。

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  ナルホド！

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  六角のレンチより十二角のレンチのほうが、はめ込みやすいってことか。

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  はまる確率も高いし、はまらなくても少しの移動ではまる、ということです。

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  なるほど。
  考えたな。

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  特にめがねレンチの場合は、上からかぶせる→回す→抜く→またかぶせる……という作業を繰り返すので、使い勝手に圧倒的な差がつきます。

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  十二角のめがねレンチのほうがスピーディ。

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  それに「30度ごとにはまる」と、30度の振り角度でねじを回転させることが可能です。

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  なんのこと？

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  ようするに工具を30度回転させる幅があれば、ねじを回せるのです。


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  そっか。六角のレンチだと、60度回転させる幅がないとねじを回せないんだ。

✔ ただし、KTCのヘックスめがねレンチには角度の工夫があって、十二角めがねレンチ同等の作業（30度の振り角度でねじを回す）ができるが、応用的な話なのでここでは省略する。

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※詳しくは、今後この連載で解説予定。

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  ちなみにスパナも、60度ごとにしかはまらないんですよ。



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  あ、スパナがやっと出てきた。

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  そういえば、スパナのことを忘れていた！

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  一般的には六角ボルトを回す（外す）工具というと、まっさきにスパナを思い浮かべる人も多いかも知れませんが……

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  そう言えばそうですね。

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  なんでスパナを後回しにして、「二重六角の十二角めがねレンチ」なんて難しい話が先なのよ？

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  お。
  「二重六角」を覚えてもらえたようですね。良かった。

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  その前に初心者はまず、スパナでしょう!?

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  ……しかし、スパナとめがねレンチ、どちらも使える状況ならば、優先して使うべきはめがねレンチのほうです。

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  ……え？

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  そんな決まり、あるの？？？