配線コードの太さ(スケア)の選び方
スケア(sq)とは配線コードの太さのこと。例えば0.2スケアや0.5スケアなどいろいろあるが、どうやって選べばいいのか分からない人が多いはず。付けようとしている電装品に合わせて正しく選ぶ方法を、初心者向きに解説する。
スケア(sq)ってなんのこと?
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電装DIYで使われる配線コードはエーモン製が定番ですが、種類が膨大にありますよねぇ(冒頭の写真参照)。
●レポーター:イルミちゃん
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太さ、色の違い、それとシングルコードとダブルコードの組み合わせで、これだけの種類になっているんですよね。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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でもこんなにあったら、私には絶対選べません。
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実際によく使う配線だけにしぼり込むと、選びやすくなりますよ。
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おお〜! だいぶスッキリしましたね。でも、いったい何を基準に減らしたんですか?
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太さでいうと、0.2スケアと0.5スケアの2種類が定番なんです。それより太いのはあまり使わないので、その2種類の赤と黒のコードだけに絞りました。
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そこですよ! 中塚研究員。
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はい?
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その、スケアっていうのがまず意味不明なんですよねー。
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スケアはカンタンに言えば「配線コードの太さ」のことですね。正確に言えば断面積のことですけど。
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あ、ホントだ。0.2スケア、0.5スケア、0.75スケア、1.25スケアとだんだん太くなりますね。
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そして太くなるほど「流せる電気の量」が増えていきます。
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そういうことかー。
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ちなみに0.2スケアは0.2sqと表記していますが、AWG24とも表記されます。
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そういえばAWG(エーダブリュージー)って言い方も聞きますね。イメージ的には、電気詳しい人がその言い方を使う傾向があるような気がする。
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AWGは米国のUL規格の言い方なんです。日本のJIS規格の言い方になおすとsq……つまりスケアなんです。
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なるほど。で、AWG24と0.2sqはけっきょく同じ配線コードを指しているんですねー。
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そうです。0.5スケア線の場合は、AWG20と0.5sqという言い方がありますが、同じことです。
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なんか一段賢くなった気がする。
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それで、本題に戻りますが、自動車関連の電装DIYでよく使うのが細線と呼ばれる0.2スケア線と、定番的な太さの0.5スケア線なんですね。
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確かに0.2スケアと0.5スケアってよく聞きますね。
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最近は特に0.2スケアが主流です。たとえば定番のLED取り付けで使う配線コードとしては、0.2スケアの細線で十分ですから。
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LEDが細線でいいというのは、電気が流れる量が少ないから?
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そういうことです。
定番の配線コードにしぼった結果
スケアの違いを比較
AWG表記に注目
電装品に応じて正しいスケアを選ぶ方法
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あの〜中塚研究員、LEDは低消費電力だから細線でいいと言っても、「付けるLEDの数が増えたら話は別」ですよね? だって電気が増えるんだから。
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それはまあ、そうなんですが、相当な数を付けても0.2スケアで十分ですよ。
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そのへんは、どう判断したらいい?
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きちんと計算する方法があります。エーモンの配線コードのスペックを見ると、「使用可能電力」というのが書かれています。
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あ、ホントだ。0.2スケア線だと「DC12V 30W以下」、「DC24V 60W以下」って書いてありますが……
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これは12V車なら30Wまで対応していますよ〜、という意味です。トラックのような24V車なら、60Wまで対応します。
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30Wまでの電装品なら、付けていいよってことか。
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そうですね。ただLEDなどは消費電力ではなくアンペア数(電流値)で書かれていたりします。
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エーモンLEDの中では小さいワンポイントLEDで、20mA(ミリアンペア)です。
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しかしこのままだと、30Wの配線に何個つなげていいか分かりにくいです。
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こういう場合は、配線コードに書かれていた「DC12V 30W以下」を元に電流値を割り出すのです。
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なんか難しそうだなぁ。
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カンタンですよ。30W÷12Vと、割り算すればいいだけです。消費電力÷電圧=電流ですので。
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30÷12=2.5ですね。
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エーモン0.2スケアの配線コードは、2.5アンペアまで流せますよ〜ということです。
※エーモン製の配線コードはマージンも取った上でのスペック。だから計算通りに流せるが、一般的にはマージンを取る。
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さっきのLEDは、20ミリアンペアだったから……
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20ミリアンペアは単位をアンペアに戻すと、0.02アンペアです。
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てことは、2.5÷0.02=125個分?
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そういうことです。
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125個はさすがに付けすぎだな〜。
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LEDには細線で十分というのは、そういう意味なんです。
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この計算は使うLEDによって変わります。サイドビューテープLED(1m)だと180ミリアンペア……つまり0.18アンペアまで増えますので……
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2.5÷0.18=13.8……つまり13本までOKってことか。
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そうやって計算すれば、配線コードのスケアを正しく選ぶことができますよ!
LEDのアンペア数を確認する
✔ 太くなると電流の容量(キャパ)がどう変化するかは、「配線に流せる電流の〈限界容量〉は知っておかないと恐い」の早見表参照。
テープLEDなら電流はもっと大きくなる
スケア(太さ)によって端子選びが制限を受ける
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LEDは電気的には細線で十分だと言いましたが、実際にスケアを選ぶときは、使う端子の種類にも注意しておく必要があります。
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端子側から見ると、細線に対応していなかったりする……。
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そうなんですよ。LEDは細線でよくても、ギボシ端子を使いたい場面では0.5スケア以上必要です。
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ギボシ端子を使わなければいい。
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そうですね。0.2スケアだけでつないでいくなら「接続コネクター」や「細線対応の圧着端子」を使えばいいんですが……
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なにか問題でも?
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ただ、例えばヒューズ電源とつなぐ場面などでは、ヒューズ電源側にギボシ端子メスが付いているので……
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そっか。
そこはどうやってつなぐ? -
途中で0.2スケア線を0.5スケア線に変換して、その上でギボシ端子を付けてつないだりするのです。
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0.2スケアから0.5スケア線を変換するのに、どっちにも対応している接続コネクターが便利です。
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0.2スケアと0.5スケアが混在している中では、端子選びに注意ですね〜。
こうやってスケアを変換する
配線コードの選び方や、配線分岐に使うエレクトロタップの正しい選び方についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しているので、ぜひ見てね。どちらも「知らないと車にリスクが生じる重要な話」です。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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