バッ直のやり方(バッテリー直の電源取り出し方法)
まず用意するものは「バッ直ケーブル」。ここでは用途が多い、室内への引き込み方を実践。バッテリーから直接取り出した常時電源を、ACC電源やイルミ電源に連動させるまでの方法を、初心者向けに解説している。作業手順の注意点やコツもわかる。
バッ直ケーブルを用意する
バッ直(バッチョク)のメリット(※)は、前回教わりましたが……
※「バッ直とは何か? 初心者向き〈バッ直電源取り出し〉入門」参照。
DIYラボ レポーター:イルミちゃん
今日は実際に、バッ直でACC連動の電源を取る方法について、解説していきましょう
アドバイザー:DIYライフ 藤本研究員
-
その前にまずは必要なアイテムから。
-
まずは、いわゆるバッ直ケーブルが必要ですね。
-
バッ直ケーブルの太さはモノによっていろいろ。太い配線ほど電気を流す許容が大きくなりますが、太すぎるとDIY用のハンドツールで加工するのが難しくなる。
-
というと?
-
例えばギボシ端子やクワ型端子をかしめられるのも、最大2スケアまでなんです。
-
あー。
-
だからDIYライフのバッ直ケーブルは、DIYで加工できる最大の太さ、ということで2スケアとしています。
-
でも、最初から端子付いているじゃないですか?
-
ハイ。普通に使うなら、自分で端子を付ける必要はないですよ。ただ、自由に延長できるなど、そういう余地も残したかったんです。
-
DIY用品のセレクトショップらしい考えですね。
-
2スケアの配線といえど、許容を超えた電気が流れたら危険なので、15アンペアのヒューズが入っています。
今回使うのはDIYライフの「バッ直電源セット 2m」。バッ直ケーブルの他、コルゲートチューブやタイラップがセットになっている。
これがバッ直ケーブル
バッテリーにつなぐのは最後に回す
-
では作業開始。まずはこのバッ直ケーブルを、バッテリーのプラス端子につなぐんですよね〜。
-
そうなんですけど、バッテリーにつなぐ作業は最後にしたほうがいいですね。
-
それはなぜ?
-
万が一の、作業中のショート防止のためです。片方をバッテリーにつなげた状態で、反対側の端子を車体金属に当てたらショートしますからね。
-
あー。
-
もっとも、そういうことが起きないように電源取り出しケーブルの先にはギボシ端子メスが使われており、スリーブで端子全体が覆われているんですけどね(↓)。
-
……そうはいっても、この配線を室内に引き込む作業中に、ショートさせる危険はゼロではない。バッテリーにつなぐのは、最後にするのが無難です。
-
なーるほど。
電源につながる線にギボシ端子メスを使うのは、ショート防止の意味がある。
バッ直ケーブルの長さについて
-
DIYライフのバッ直ケーブルの配線コードですが、長さは2メーター、3メーター、5メーターを用意しています。
-
3種類の長さから、どのように選べばいいんでしょう?
-
2メーターは、基本的にはエンジンルーム内で配線作業が完結するようなケースに向いています。
-
室内に電源を引き込みたいとすると?
-
2メーターで足りるケースもあるでしょうが、3メーターあれば無難ですね。
-
フムフム。
じゃあ5メーターは? -
車の前から後ろまで、取り回しできる長さ、ですね。
-
なるほど。どこまでバッ直電源を持っていきたいかで考えればいいんですね。
バッ直ケーブルの長さが選べる「バッ直電源セット」。2メーター版が980円〜。
配線を室内に引き込む場合
-
今回は、室内にバッ直電源を引き込みたいという想定で進めます。
-
ということは、バッ直ケーブルをエンジンルームから室内に通さないといけない。
-
そうですね。通り道は、エンジンルーム側の奥の壁から、室内に向けて通っている純正配線通し用の穴を狙います。
-
しかし、すでに純正配線でキチキチの印象ですが……、
-
配線ガイドなどで、防水ゴムキャップに穴を開けて通すんですよ。ただし、上側から下に向けて穴を開けると、配線を伝って水が入りやすい。
-
バッ直ケーブルは太さがあるから、余計に水が伝っていきそう……
-
コツとしては、下側からナナメ上方向に向かうイメージで、穴を開けるといいですよ。
-
この防水ゴムキャップに穴を開けて線を通すと、室内側へ引き込めます(↓)。
純正配線の通り道があるはず。
バッ直ケーブルとリレーキットを接続
-
これでバッテリー直の電源を、室内に引き込むことはできましたが、これはまだ単なる常時電源です。
-
これをACC電源やイルミ電源に連動させるために使うのが、「リレー」ですね。
-
DIYライフのリレーキットには、あらかじめ配線や端子が付いている。だからそのまま、バッ直ケーブルに直結できるんですね〜。
-
そうです。
ワンタッチ接続でこうなります(↓) -
DIYライフのバッ直方式は「バッテリーから直接、常時電源を取るための線」と、「リレーキット」を分離したのがポイントです。
-
そういえば、なぜ別々にしたんですか?
-
単に常時電源を取り出して、この先は延長していって自分で手動スイッチ付ける、という人はリレーなんていらないからですよ。
-
ほー。
なるほど。 -
その場合は、バッテリーにつなぐ「バッ直ケーブル」だけでいい。最初に言った通り、2スケア線だから、DIYで延長するのも簡単です。
-
けっこう、考えられたアイテムだな〜。
いわゆるバッ直リレー
ここではDIYライフの「リレーキット端子付き」を使用。
ACC(アクセサリー)連動のバッ直電源にするには?
-
さて、室内に引き込んだバッ直電源を、何と連動させたいかは人それぞれだと思いますが……
-
定番はやはりACC電源ですかね。ACC電源が必要な電装品って、たくさんあるから。
-
であれば、リレーキットから出ている「青」の線を、ACC電源につなげればOKです。
-
ちなみに。この青だけ配線が切りっぱなしになっているのは、意味があります。
-
藤本研究員が付け忘れたんじゃないの?
-
違いますっ! この青は、連動させたい電源によって、付ける端子が変わってくるからですよ。
-
今回はACC電源狙いですが……?
-
例えばACC電源をヒューズから取るとすれば、ヒューズ電源を使いますよね。
-
ヒューズ電源側にはギボシ端子メスが付いているから、リレーキットの青にはギボシ端子オスを付けておきます。
-
そういうことか〜。
-
ヒューズではなく、ナビ裏からACC電源を取るのであれば、この青の先にエレクトロタップを付けておいて、ACC電源線につないでもOK。
-
それで、リレーキットの青は切りっぱなしになっているんだ! 納得。
リアル配線図
ヒューズ電源は別途用意する必要あり。DIYライフでも「エーモン製ヒューズ電源」を販売しているので、必要ならいっしょに揃えておく。
ヒューズからACC電源を取り出す
具体的なやり方は、「ヒューズからACC電源を取り出す方法」参照。
そうすればヒューズ電源とつながる!
具体的な取り方は、「ナビ裏からACC電源を取り出す方法」参照。ナビ裏なら同じやり方でイルミ電源も取れる。
リレーキットのボディアース接続
-
最後に、リレーキットのクワ型端子付きの配線を、ボディアース接続します。
-
これはアース線だから、あらかじめクワ型端子が付いているんですね。
-
そういうことです。
車体金属部のネジに共締めしましょう。 -
これで、室内にバッ直のACC電源が誕生した、ということになります。
-
あの〜、藤本研究員?
-
なんでしょうか〜。
-
後回しにしていた、バッテリーへの接続を忘れてますけど?
-
あぁッッ!!
そ、そうでした〜。 -
(そこは、わざとじゃないのか、この人の場合……。)
どのネジでもアースポイントになるわけではない。動作しない場合は「ボディアースは〈場所〉に注意」参照。
バッテリープラスにつないで完成!
-
これでフレッシュな
ACC電源が取り放題! -
正確には取り放題ではなく、最大15アンペアです (バッ直ケーブルのヒューズのアンペア数ね♪)
-
わかっとるっちゅうに!!
(;^_^A
バッ直にはメリットだけでなくデメリット(リスク)もある。そのあたりはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:藤本壮啓
某カー用品メーカーに長年勤務し、車業界にDIYを広めた伝説の広報マン。現在は独立して、DIY用品を扱うセレクトショップ「DIYライフ」を設立。単なる製品の宣伝トークではない、DIYユーザー側に立ったアドバイスが持ち味。通称「フジモン」。
関連記事
- バッ直とは何か? 初心者向き「バッ直電源取り出し」入門
- ACC電源とイルミ電源、2種類のバッ直を引くには?
- ホーン用と室内用(ACC電源)、2本のバッ直電源を引くには?
- LEDテープの電源を、リレーを使ってバッテリー直結で取るには?
- ACC電源をヒューズから取り出す方法
- ACC電源をナビ/オーディオ裏から取る方法
- ヒューズ電源の種類と選び方
- エレクトロタップ(配線コネクター)の正しい使い方
- イルミ電源をスイッチ裏から取り出す方法
- ボディアースは「場所」に注意
- クワ型端子でボディアースするための知識
- リレーの使い方入門╱回路のしくみ
- 車の電装品にスイッチを取り付けるには?
- エーモンスイッチの種類と選び方
- 社外ホーンの電源取り出しは、バッ直(バッテリー直)が安心
- バッテリーのマイナス端子を外すメリットと、デメリット
- バッテリー交換時のメモリーバックアップとは?