クワ型端子を電工ペンチでかしめる方法
クワ型端子をかしめる(付ける)ときのポイントはまず、電工ペンチを使うこと。ラジオペンチなどで挟んでつぶすだけでは、ちょっと引っ張っただけですぐに抜けてしまう。そしてツメを配線にかける位置も重要。クワ型端子はボディアースに使う定番端子なだけに、正しい取り付け方をマスターしておかないとアース不良の原因になる。
クワ型端子のかしめには電工ペンチが必須
-
クワ型端子のサイズ選び等については「クワ型端子でボディアースするための知識」を読んでくださいね。
●レポーター:イルミちゃん
-
今日はクワ型端子のかしめ方をマスターしましょう。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
-
クワ型端子もギボシ端子みたいに、「かしめる」という表現を使うんですね。
-
端子のツメの部分を、電工ペンチを使って折り曲げて接合部を固く止めること「かしめる」と言います。
-
「かしめる」、ということは電工ペンチがいるってことですね。
-
そうですね。電工ペンチが必須です。ラジオペンチやプライヤーでは代用はできません。
-
配線コードは細線(0.2スケア)は装着不可なので、0.5〜2スケアを用意します。普通は0.5スケアを使います。
-
ここではマイナス線のボディアースを想定して、黒い0.5スケア線を使います。
電工ペンチを用意する
ここで使用しているのは、【Amazon.co.jp限定】エーモン 電工ペンチ(1452)
0.5スケア線を用意する
ここで使っているのはエーモンのダブルコードE537
クワ型端子のかしめ方
配線コードの被覆をむく
-
まずは配線コードの末端部の被覆をむきます。
-
被覆むきには、ワイヤーストリッパーがあると便利ですが……
-
ない場合は、電工ペンチのワイヤーストリッパー部分でできます。
-
しかし、穴がたくさんあって迷います。
-
これは配線コードの太さに合わせた穴に入れます。今回は0.5スケアなので、sq表記の0.5の穴を使います。
-
被覆がむけたら、内部の芯線を指でクルクルよじってまとめておきます。
-
端子を付けやすくする基本ですね。
配線の太さに合った穴で挟む
穴のサイズが合っていれば被覆だけをむける
芯線をよじってまとめる
正しい位置に端子をセットする
-
端子を付ける前に注意! 絶縁用のスリーブを、先に通しておきます。
-
端子を付けてしまったあとでは通りませんからね。
-
重要なのが、クワ型端子と配線コードの位置関係。クワ型端子には大小の2つのツメがあります。
-
端子の根元のところに2つありますね。
-
大きいツメを配線の被覆にかけ、小さいツメを芯線にかけるポジションが正解です。
-
ツメが両方とも芯線にかかっていたりすると、引っ張ったときにちぎれてしまいます。
-
あるいは両方とも被覆にかけたら接触不良が起きますね。つまり正解は、ここしかありません。
先にスリーブを通しておく
ツメの位置に要注目!
小さいツメを芯線にかしめる
-
まずは小さいほうのツメを、芯線に対してかしめます。
-
このときの電工ペンチの穴が重要。断面がハート形っぽいかしめ用の穴のうち、「1.25-2.0」と書かれた穴でツメを軽くつぶします。
-
軽くでいいんですか?
-
この段階はツメの形と位置を整えるための仮かしめです。芯線をホールドすれば十分。
-
なるほど。
1発でかしめるわけじゃないんだ。 -
本かしめは1段階小さい穴の「0.5-0.75」に移してから。ここは本番ですのでぎゅっと圧着します。
芯線にかけたツメが先
芯線への仮かしめ
芯線への本かしめ
大きいツメを被覆にかける
-
被覆にかけた大きいほうのツメは、使う穴が異なります。まず「3.0」と書かれた大きめの穴で軽くつぶします。
-
大きめの穴で仮かしめすることで、断面がキレイにハート形につぶれていますね。
-
そして1段階小さい「1.25-2.0」の穴で、本かしめを行います。
-
仮かしめ・本かしめ共に、1段階ずつ大きな穴を使っているわけですね。
-
こうして2段階でかしめると、芯線・被覆ともに端子のツメがしっかり食い込みます。
-
これなら抜けないし、接触不良も起こらない。
-
注意点は、被覆部にしろ芯線部にしろ、本かしめを2回行うのはNG。ツメや配線を痛める可能性があります。
-
1発で決めたい。
-
そうです。そのためにも、仮かしめで形と位置を整えておくことが重要なんですよ〜。
-
なるほど〜。
-
最後に、先に通しておいた絶縁用スリーブを引き上げて端子の根元にかぶせます。
-
完璧なクワ型端子のかしめができました〜。
被覆への仮かしめ
被覆への本かしめ
2箇所のかしめが完了
スリーブを根元まで引き上げる
電装品を取り付けたときにアース不良で動かない!というのは超定番。アース不良をなくすための方法論については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。ボディアースの基礎知識のおさらいにも最適な動画です!
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
関連記事
- ボディアースは「場所」に注意
- クワ型端子でボディアースするための知識
- エーモンのクワ型端子ラインナップ4種類の違いと選び方
- 車のボディアースとは? 家電のアースとどう違う?
- 電工ペンチの正しい使い方
- ワイヤーストリッパーの使い方と選び方。おすすめは?
- ギボシ端子の正しいかしめ方(付け方)
- ギボシ端子の正しい使い方ルール
- 配線コードの太さ(スケア)の選び方
- 丸型端子の種類と、正しい使い方
- 検電テスターでマイナス線を調べる方法
- アース不良とは? アース線の接触不良が起こる原因
- アース不良対策として、アースポイントを「増設」「延長」する
- ボディアースが原因で純正機器にノイズがのることもある
- エーモンの配線コードは種類がいろいろあるけれど、売れているのは?
- 配線に流せる電流の「限界容量」は知っておかないと恐い