電工ペンチの正しい使い方(メーカー直伝)
電工ペンチとは、配線コードを切断する・被覆をむく・端子をかしめるという一連のアクションを1本でこなせる多機能工具のこと。ギボシ端子のように大小のツメで配線にガッチリ食い込ませる端子の取り付けには、特に電工ペンチが必須となる。
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私、電工ペンチについて、ずっと不思議に思っていることがあるんですよね。
●レポーター:イルミちゃん
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なんですか? なんでも聞いてください。
電工ペンチのことならエーモンにオマカセを●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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電工ペンチって本当にいるのかな、って……
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えっ……な、なにを言い出すんですか! 電装系のDIYをやるなら、電工ペンチは必須の工具ですよ。
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……とかってよく言いますけど、それって電工ペンチが売れないと困る人達の思惑に過ぎないんじゃないかなって思えてきて。私なりに根拠もあるしぃ
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いやいやいや、違います! 電工ペンチの機能について理解すれば必要性が分かります。
電工ペンチの機能をおさらい
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エーモンの電工ペンチの機能を順番に説明しますと、まず先端の部分はカッターになっていて、配線コードの切断ができます。
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でも配線コードを切るだけなら、ニッパーでもできますよねぇ。
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まあそうですが、ニッパーは切ることしかできませんので。
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電工ペンチだと?
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そのまま切った配線コードの被覆(ひふく)をむき取ることもできます。
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でもなぁ、配線コードの被覆はワイヤーストリッパーがあればむけますよ?
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まあ、ここまでのアクションは単体工具でもできますが、電工ペンチなら1本でできますので。
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まあね。でもそれだけのためにわざわざ買うのはなぁ……
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電工ペンチが真価を発揮するのはここからです!
電工ペンチはカッター部分で配線がカットできる
ここで使っているのは、【Amazon.co.jp限定】エーモン 電工ペンチ(4960)
電工ペンチは被覆をむき取ることができる
電工ペンチがないとギボシ端子は付けられない!?
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電工ペンチはギボシ端子をかしめることができます。ここが必須工具といわれるゆえんですね。
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どうですか? この作業は電工ペンチがないと出来ませんよ。
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いいえ。
それが…… -
……あれ?
また何か言いたそうですね。 -
この間やってみたんですけど、ラジオペンチでもギボシ端子を付けることはできたんです!!
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ホラ! 電工ペンチがなくても出来るじゃないですか。
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……フッフッフ。
なにかと思えば、そんな話でしたか。 -
え、なんで急に強気?
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そのギボシ端子、引っ張ったらすぐ抜けますよ。ホラ!
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あー! ヒドイ。せっかく私が付けたのにッ!!
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え?
そういう話じゃないでしょ? -
か弱い女の子の力では圧着が足りなかっただけなのに、そんな挙げ足を取るなんて。
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ち、違いますよ。ラジオペンチでは誰が付けてもこうなります。
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む?
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ラジオペンチはただ挟んでいるだけなので、ギボシ端子のツメが平べったくつぶれるだけなんですよー。
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ほお。
電工ペンチだと何が違うんですか? -
ギボシ端子のツメがハート形につぶれていくのです。
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ハート形って……。そんな乙女チックな演出が、ギボシ端子に必要でしょうか?
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そうじゃなくて、それによってツメが芯線に食い込むのですよ。
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あ、ほんとだ。
引っ張っても抜けない! -
ギボシ端子にはツメが2カ所ありますが、1つを配線コードの被覆に、1つを芯線にガチっと食い込ませることで抜けなくなるし、接触不良も防げるのです。
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電工ペンチはつぶしているだけじゃないのか。
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このように専用工具を使ってつぶし、固く密着させることを「かしめる」と言うのです。単に「付ける」とは違うんですよ〜。
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かしめるって、そういうことなのね。
電工ペンチはギボシ端子を付けることができる
ラジオペンチでギボシ端子を付けてみると…
付けることができた!
引っ張るとキュポン!
ラジオペンチだと端子のツメをつぶしているだけ
電工ペンチだと断面がハート形になる
配線に端子のツメが食い込む
圧着端子を付けることもできる
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電工ペンチをよく見ると、ギボシ端子を付ける穴とは別に、違う形の穴もありますよね。
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ホントだ。
ハート形ではない穴もありますね。 -
ここは圧着端子を付けるときに使う穴です。サイズが複数あるのはギボシ端子の穴と同じですので、サイズは端子に合わせます。
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上で使ったのはエーモンの「圧着接続端子」という端子ですが、ギボシ端子と並んでよく登場する接続端子です。
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こっちの端子は、点で押しつぶすカンジですね。
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そうです。だからギボシ端子とは使う穴が異なるんです。
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アースでよく使うクワ型端子は?
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クワ型端子や丸型端子はギボシ端子と同じ穴を使います。同じ付け方なので。
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なるほど。
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他には、丸型圧着端子というのを付ける穴もあります。
土管状の圧着端子も付けられる
圧着端子用の穴は点でつぶして圧着する
丸型圧着端子用の穴
こんなふうに圧着する
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へぇ〜。
それぞれの穴に、専用の用途があるんですね。 -
そうですね。電工ペンチ1本で、いろいろな端子を付けることができるようになってるわけです。
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真ん中あたりに、まだ使っていない穴がありますね? M4とかM5って書いてあるやつ。
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それは端子ではなく、ボルト切断用の穴です。
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ボルトを切断!? そんなことまでできるんですか!
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ネジが長すぎるといった場合に使えます……まあ、この機能はあんまり使わないかも知れませんが。
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決定的に電工ペンチが必要になる用途はやはり、「ギボシ端子をかしめる」「圧着端子を付ける」が挙げられるということですね。
ボルト径の合う穴に入れて閉じる
ボルトのネジ部分を切断できる
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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