工具箱を買うなら「チェストタイプ」か「両開きケース」か?
工具箱の選び方。工具箱(ケース)の代表格でいうと「チェスト(引出し)」と「両開きケース」の2つがあるが、両者の特長を知ればどちらが自分に合っているのかが見えてくる。
工具箱を選ぶときの分かれ道。「据え置き」か「移動する」のか?
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「車の整備・DIYにおすすめの工具セットはどれ?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、工具箱の選び方という視点で、工具セットを見ていきます。
●アドバイザー:KTC トリー研究員
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工具セットを選ぶことは、工具箱を選ぶことでもある。
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まずは工具箱の種類なんですけど……
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いっぱいありそう。
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使い勝手の面から工具箱(ケース)を分類すると、大きく2つに分かれるんですよ。
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え、2つ?
そんなにシンプルか???●DIYラボ別館 ユキマちゃん
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それは「据え置きで置いたまま使う」のか、それとも「工具箱を動かす(移動する)」のか、という分かれ道です。
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あ~、なるほど。
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どっちにしようかな~???
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そこは普通、あまり考え込むところでないような……。
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まあ、作業環境によって決まってくる要素だと思います。
頻繁に工具箱を持ち運びするなら「両開きケース」が向いている
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持ち運びできる工具箱の代表格は、両開きケースです。
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携帯性(持ち運び)を重視したタイプと言えます。
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両開きは見た目がカッコいい!
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両側のフタを開けた状態だと、工具が一望できますので、アクセス性もいいですね。
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……でも、両開きと携帯性って、なんの関係が?
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たいていの両開きケースは、閉じた状態だと真ん中に取っ手が付いていて、片手で持てるのです。
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ナルホド。
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そして、そもそも持ち運ぶという目的があるため、両開きケースはあまり大型のものは作られないんですよ
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そうなんだ。
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片手で持てるぐらいのサイズなので、その意味でも携帯性重視と言えます。
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フムフム。
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出張整備をするようなプロの人達にも、よく使われる工具箱ですね。
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DIYユーザーの場合にも、使い勝手が良さそう。
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青空駐車している駐車場などに持っていって作業する人は、両開きケースが向いていますね。
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ガレージまで持っている人は少ないもんね。
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移動するときに片手が空く。これも、けっこう重要なポイントです。
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スマホが持てる。
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そうだけど、それとは違う話だと思う。
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たいていの場合、整備するときに持っていくのは工具だけではないんですよ。
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確かに。
部品とか材料とかも、持ってるはず。 -
移動時に両手が塞がってしまう工具箱だと、家と駐車場の間を2往復しないといけません。
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そっか。
駐車場が離れている人は、両開きケースに決定。 -
デメリットとしては収納量が少なめということですね。
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携帯性と収納力は、当然ながら反比例しますね。
両開きメタルケースの工具セット「SK35719WZR」
ケース単体としては「EK-10Aシリーズ」参照。
自動車整備向けの工具箱といえば、王道はチェストタイプ
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チェストってなに?
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「チェスト」とはフタのついた大きな箱のことです。チェストタイプの工具箱は、天面にフタがつき、タンスのように複数の引出しを備えています。
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本格的な工具箱っていう感じがしますね。
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チェストタイプは、基本的な使い方としては据え置き前提となります。
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動かさないで使うってことか。
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とはいえ、横にハンドルが付いているので、両手で両サイドのハンドルを持って動かすことはできますよ。
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なるほど。
移動できないわけじゃない。 -
ただ、重いし、両手が塞がるので、毎回そこそこ移動させるとすればチェストタイプは向きません。
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それはそうですね。
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メリットは、大きくて収納量が多いものが選べること。チェストタイプはサイズがいろいろありますので。
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工具をいっぱい持っている人向きか。
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だから、プロの方は、チェストタイプのほうが主流ですね。
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そういえばショップで見かけるのはチェストタイプね。
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チェストタイプに関しては大型のものもあります。大型になると、移動はほぼ不可能ですね。
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まったく動かないのも困らない?
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大型のチェストを動かしたい場合、キャスターのついたローラーキャビネットと呼ばれるタイプの工具箱の上に乗せることになります。
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ローラーキャビネットはチェストと同じく引出しがついたタンスのような形状の工具箱で、上部がフラットになっているため、チェストを乗せたり作業台としても使えたりします。
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ナルホド。
上部を便利に使えるわけか。 -
プロの方だと、ローラーキャビネットの上にチェストタイプを重ねる、というのが定番的になっていますね。
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あ~、そのスタイルはプロっぽい。
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これができるように、同じシリーズで組み合わせられるように設定されていることが多いのです。
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だからみんな、上下が揃っているんだ。
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大型チェストとローラーキャビネットを組み合わせた、自動車整備のプロ向け工具セットもあります。
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工具の量に合わせてサイズを選択できたり、ローラーキャビネットと組み合わせて機動力や収納力を高めることができるのが、チェストタイプのメリットですね。
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だから工具箱のスタンダードはチェストタイプなんだ。
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確かにチェストタイプのプロっぽい感じもいいけど、私はやっぱりパカっと開く両開きケースのほうが、オシャレでいいな♪
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……けっきょく、視点はそこなのね。
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まあ、デザイン的な好みも重要ですので、そこから選ぶのもアリですよ。
一番オーソドックスな工具箱の形状は、チェストタイプです
チェストタイプの定番工具セット「SK36719X」
✔ なお、チェストやローラーキャビネットの引出しを複数同時に開けるのは、工具箱の使い方としてはNG!(転倒する可能性があるため) ※上記のような写真は、あくまでも工具セットの工具が見えるように撮影された商品イメージです(以下、同様の写真は全て同じ)
ケース単体としては、「チェスト(3段3引出し)」参照。
ローラーキャビネットの工具セット「SK36819RX」
工具箱単体は、「ローラーキャビネット(5段5引出し)」参照。
チェスト&ローラーキャビネットタイプの工具セット「SK94519EER」
DIY Laboアドバイザー:トリー研究員
KTC・ブランド戦略部に所属。『なるほど!工具ノート』でおなじみの「朝津かな」さんの先輩にあたり、工具のイロハを教えた師匠のひとり。多忙な中でも、工具のことについて質問されるとトークが止まらなくなる生粋の先生気質。
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