エレクトロタップ(配線コネクター)の正しい使い方
エレクトロタップとは配線の分岐や、純正配線からの電源取り出しに使われる「配線分岐用のコネクター」のこと。定番のエーモン製は、製品名称でいうと「配線コネクター」。配線の被覆を剥いたりハンダ付けしたりする手間なしで、手軽に配線分岐が行えるので便利だが、使い方を間違えると接触不良を起こしやすい。いくつか種類があるので、まずは正しい選び方をするのが大切。
エレクトロタップで接触不良を起こさないために知っておくべきこと
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今回はエレクトタップ(エーモン製品名は配線コネクター)の正しい使い方について学びます。
●レポーター:イルミちゃん
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配線コネクターは、配線コードの太さに合ったものを選ぶのがポイントです。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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定番のエーモン製のエレクトロタップには、色が何種類かありますね。
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赤、白、青があります。
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ピンクはないんですか?
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そういう話ではありません。色の違いにはちゃんと意味があります。
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……と言いますと?
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対応している配線コードの太さが違うんですよ。
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色分けって、そういう意味があるんですね。
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まず一番よく出てくる「赤い配線コネクター」。これは0.5〜0.85スケアの配線コードに対応しています。
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0.5スケア線はギボシ端子も使えるし、よく使うタイプの配線コードですよね。
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そうですね。ただ最近はもっと細線を使う機会も増えています。LEDなどは消費電力も小さいから、電気的にはもっと細線でいいのです。
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細線って具体的には何スケアのことですか?
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エーモンの配線コードだと、0.2スケアの配線コードなどが細線の扱いです。
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その細線に対して、赤いエレクトロタップは使ってはダメだということ?
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それをやってしまうと芯線にしっかり噛まず、接触不良の原因になります。
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一見するとちゃんとミゾにはまっているから、問題なさそうですが?
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しかし金属が内部の芯線までしっかり食い込まず、接触不良が起こります。
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このダメパターンはしっかり覚えておきましょう〜!
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細線の場合は「白い配線コネクター」を使います。適合する配線コードの太さは0.2〜0.3スケアとなります。
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ところで逆にこの「白い配線コネクター」を太線に使うとどうなりますか?
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その場合は、配線に深く食い込み過ぎるので、内部の芯線を断線させてしまう可能性が高いです。
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「青い配線コネクター」は太線用。1.25〜2スケアの配線コードに対応しています。
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通常の電装DIYだと、そんな太い配線ってあまり使わないですよね?
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そうですね。だから配線コネクターも青に比べると、赤と白のほうが登場頻度が高いですね。
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青をあまり見かけないのは、そういう理由か〜。
内部のミゾの太さ(径)が異なる
いずれもエーモン製のエレクトロタップ(配線コネクター)
定番の0.5スケア線に対応するのは赤
Amazonでも販売されているエーモン 配線コネクター 赤(3336)
細線に赤を使うのはダメパターン
細線の分岐には白を使う
詳細はAmazonのエーモン 配線コネクター 白(3334)
太線に細線用を使うと断線の危険あり!
太線には青を使うべし
詳細はAmazonのエーモン 配線コネクター 青(3338)
純正配線からの電源取り出し時も太さに注意
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配線コネクターは「純正配線からの電源取り出し」にもよく使いますが、この場合も「純正配線の太さに合ったモノを使う」視点が大切。
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手元にたまたまあったエレクトロタップで、漠然と分岐するのは止めましょうね。
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例えばイルミ電源の線などは、細線が多いです。こういう場合は「白い配線コネクター」を使って電源を取り出すのが正解です。
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これは実際によくあるシーンですね〜。
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ちなみに、もしも純正配線が細線ではなかった場合……
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白だと断線してしまうから、赤を使えばいいんでしょ?
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それでもいいんですが、それだと分岐させる線も0.5スケアを使う必要が出てきますよね。
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太さを合わせないといけないから当然ですよね。
さっきそう言ったんじゃん、中塚研究員。 -
そんな場面では「異線径配線コネクター」というのを使うと、通常線から細線で分岐させることができます。
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異星人……ですか?
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異線径ですよ、イセンケイ。「異なる線の径に使える」のです。これを使うと「0.5〜0.85スケア線から0.2スケア線で電源を取り出す」ことができます。
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なんでこんなややこしいことするんだろう?
異星人だから? -
LED用の電源を取り出す場合、本来は延長コード側は0.2スケアの細線で十分なわけですからね。
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そっか! ところが普通の赤いエレクトロタップだと、強制的に0.5スケア以上を使わざるを得ない。
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そういうことです。この「異線径配線コネクター」はまだ新しめのアイテムなので知らない人も多いと思いますが、使い分けると便利なんです。
細線からの電源取り出しは白
太線から細線を分岐できる「異線径タイプ」
Amazonでも販売されているエーモン 異線径配線コネクター(3332)。電源側の線の太さは0.5スケア〜0.85スケアまで対応。
エレクトロタップの使い方
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それではエレクトロタップを使った「正しい分岐方法」についてもおさらいしておきましょう。
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まず分岐用の配線コードを用意して、配線コネクターの「ストッパーのある側のミゾ」にはめ込みます。
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ストッパーなんてあるんですね。
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そうです。反対側のミゾはストッパーがないので、貫通してしまいます。下のパターンはNGです。
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貫通しているミゾは「分岐元の線を入れる」ので、残しておきましょう。
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つまり正しくは下のようになりますね。
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次に配線コネクターのフタを片側だけ閉じます。ここは、ラジオペンチではなくプライヤーを使うのが正解です。
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このフタを閉じることで配線の被覆を破って金属が食い込む仕掛けですね。
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あとは残った貫通タイプのミゾに、分岐元の線(純正配線など)をはめ込みます。
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このとき純正配線の太さが合っていなかったら、無理に閉じるのは厳禁ですよ〜。
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これで配線を分岐させることができました。
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正しく使えば、エレクトロタップ(配線コネクター)はやはり便利な存在です。
ストッパーの有無に注目
これはNGパターン
ストッパーで配線が止まるのが正解
フタをパチンと閉じる
分岐元の線にかませる
フタを閉じて分岐完了!
エレクトロタップを使うときは接触不良に注意。この問題については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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