アクリルヘッドライト加工方法(第3回)
アクリル埋め込み加工╱デザインのコツ
ヘッドライトにアクリルを仕込む方法の続き。最も目を引くポイントになるアクリルは、ただ埋め込めばいいのではなく、完成度が肝心。今回は前回作ったマスキングテープ活用の型紙を元に、アクリルを配置するデザインを考察していく。
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前回、モデルヘッドライト・86(ハチロク)のインナーの型取りの元ができました。
●レポーター:イルミちゃん
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次は、型取りに使ったマスキングテープをボール紙に貼ります。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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そしてインナーのフチの線に沿って、ハサミを入れます。
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これでインナーの型取りができましたが……
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今回はヘッドライトインナー側面に、フィン状のアクリルを数本並べて埋め込もうと思います。なのでこの「面」のまま、アクリルを切り出すわけではありません。
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球屋・得意のアクリルフィン埋め込みですね。
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そこで、アクリルフィンの「幅」と「間隔」を決めます。
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何本のフィンをどの位の幅と間隔で入れるかは、デザインの好みですが……
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フムフム。
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ただ、少なくともアクリルとアクリルの間隔は、均等になっていないと美しくないと思います。
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パッと見のバランスで、上の図のようにアクリルフィンを5本入れます。前回、印しておいた純正のプラスラインと角度も揃えながらね。
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サクっと決めましたが、ナゼ5本!?
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そこは好みとスペースの問題で。今回の場所だと、3本位では太くなりすぎてボテっとしそう。反対に7本も入れようとすると、1本あたりが細くなりすぎるかな、と。
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なるほど。
わかる気がします。 -
とはいえ、何が正解というのはないですよね。球屋のワンオフ加工では、このへんは基本的にオーナーさんの好みに沿って作ります。
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そういえば球屋にアクリルLED加工を頼む人は、どういう風に決めているんだろう?
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それは、もう……。
メールで何度もやりとりしたりしますよ。 -
やっぱりそうなんだ!
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例えば「ライト横にアクリルフィンを何本入れたい」と、要望があったとします。それを僕らが、こんな風に型取りの段階で試してみる。
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まだ、仮の段階ですもんね。
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狭いスペースに本数を多く入れようして、あまりにも1本1本が細くなりすぎるようなら、もうちょっと本数を減らしたほうがいいかも知れません、という風にこちらからも打診したり。
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そうやって細かくデザインを決めていくのか。大変だな〜。
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そうなんですが、ワンオフ加工だからこそ、こういうところにこだわらないと……と思うんですよ。
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うん。
悩ましいながらも楽しい作業ですね。
ペタリ
まずはザックリ切り出してから……
厳密なラインでカットするとよい
こんな風にフィン状のアクリルを埋め込むイメージ
定規を使って、アクリルの幅と間隔を決める
今回はこんな風に5本配置してみた!
ボール紙を切る
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アクリルの太さと形が決まったので、ボール紙をカッター等で切ります。
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ここでいったん、バラバラにしてしまう。
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今回はアクリルの縦幅が12ミリ。下にいくほど狭くなるので、横幅(長さ)はどんどん短くなります。
アクリル部を切り出すが、間のボール紙もまだ捨てない
最終的なデザインを決める
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この段階では、まだ厳密なアクリル形状を決めていない。最終的には型紙をインナーに当てて、微調整します。
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バラバラにしたのを、また戻している?
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型紙の上では、アクリルフィンの縦幅は12ミリ。そしてアクリル同士の間隔は、7.5ミリになっていますが……
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定規で均等に測っていましたよね。
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そうなんですけど、本当にそれでカッコいいのか? っていうのは別問題。
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ほぉー。
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そのあたりは、実際に型紙をライトのインナーに置きながら目で見て確認していくんです。
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インナーに置いてみて、あらためてアクリル同士の間隔などを微調整します。
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つまり最初に測定した数字には、こだわらなくていい?
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そうですね。計算は単なる目安です。最終的なデザインはここで決めます。
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この段階で、やっぱりもうちょっとアクリルフィンを細くしようかな〜とか?
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よくありますね。アクリルを切るまでは、いくらでも変更できますからね。今回も実は最初に紙に起こした段階より、アクリルの間隔は詰めました。
再びインナーに貼る
隙間ピースも含めて、元通り並べ直す
本当にこれでいいのか、考える
デザインを決めたら型紙を取る
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デザインが決まったら型紙を外すんですが、このとき「元の位置」が分かるようにしておくのがポイント。
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微調整して、動かしたりしましたしね。
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そうなんです。
最初の紙の配置とはもう別モノです。 -
どうすればいいんでしょう?
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「アクリル位置の周囲」にマスキングテープを貼っておくんです。あ、テープの粘着力を限界まで落とした上で貼るという注意点は忘れずに。
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これがガイドになるんですね。
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アクリルとアクリルの間もマスキングテープを重ねながら貼って、厳密に位置が分かるようにしておきます。
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こうしておけば型紙を外しても、アクリル位置が分かる。アクリルを切り出した後に置く、目安になります。
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あとは、この型紙をスキャンしてデータを取って、実際にアクリルを切り出します。
準備できたので型紙を外す
型紙をスキャンする
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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