アクリルヘッドライト加工方法(第2回)
マスキングテープで型取りする方法(車の加工向け)
ヘッドライトのインナーにアクリルを埋め込む方法。その下準備の型取りに便利なのが、マスキングテープだ。本来の用途ではないが、狭い場所や曲面にも対応可能で非常に使い勝手がよい。マスキングテープを活用した型取りは、車のDIYにいろいろ使えそう。
ヘッドライトインナー形状を型取り
-
今日はヘッドライトのインナーにアクリルを埋め込む準備として、インナー形状の型取りをします。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
-
どうやって型取りするんですか?
●レポーター:イルミちゃん
-
球屋では、マスキングテープを使って型取りしています。
-
ほー。
-
マスキングテープを連続的に貼っていって、インナー形状をペンでかたどって、剥がします。狭い場所にも対応しやすくて便利ですよ。
-
なるほど。
曲面のインナーでも作業しやすいし。 -
ただ前回説明した通り、インナーのメッキはモロいので、マスキングテープを服に付けたり剥がしたりして、粘着力は極限まで落とします。
-
そうしないと、はがす時にメッキが取れちゃうんですよね。
-
ここで使っているのは1センチ幅のマスキングテープですが、この作業だけで見ると、もう少し太い幅のほうがラクでいいとは思います。
-
どんどん連続的に貼っていくんですね。
-
このとき、少しずつ重ねるように貼っていくのがポイント。そうすれば型を取り終わってはがすときには、「面」として剥がせます。
-
マスキングテープを重ねて貼ることで、「面」にしているのか。
-
それと、フチ(カド)のラインが浮いた状態だとしっかりした型が取れませんので、指の爪を使って、きっちり貼ります。
-
全体に貼り終わりました〜。
-
なお、アクリルを埋め込むつもりがない場所まで、マスキングテープを貼る必要はないです。
-
今回の例でいうと、インナーの一番下のほうまでは貼ってません。
-
下にいくほど面が細くなって、さすがにアクリルを埋め込みようがない。そこまで貼るのはムダですね。
粘着力を落としたマスキングテープを貼る
どんどん貼り重ねていく
カドのラインをしっかり出しておく
インナー全体に貼った
インナー形状を型取りする
-
次にインナーの形をペン(細いマジック)でなぞって、型取りします。
-
これは、インナーの面の端っこのラインをなぞればいいんですね?
-
普通そうなんですけど、今回の86のライトのインナー形状だと、端までアクリルを埋め込みできそうにないので……、
-
インナーの端でラインを描かずに、内側に入れたのはナゼ?
-
これは、今回のヘッドライトのインナー形状の都合です。
-
と言うと?
-
このインナーの裏面を見ると、段差があって、ナナメに壁が切り立っている。この部分までアクリルを埋めようとしたら干渉してしまいます。
-
そっか。表から見て端までアクリルを入れたいよ〜とか思っても、裏面を見たら無理かも知れないんだ。
-
なので今回は、最初から少し内側に入れたところでケガキ線を入れておきました。
インナー形状をなぞるケガキ線
6ミリのマスキングテープで横ラインを足し、ケガキ線を内側に
裏面にジャマな段差がある
だからアクリルの限度ラインはここまで
純正のプレスラインも考慮に入れる
-
というわけで、上下2本の線が引けました。
-
ココで改めて86のインナーをよく見ると、インナー自体にラインみたいのが入っています。
-
これは……ライトのデザインの一環なんでしょうねぇ。
-
こんなラインが入る場合、それを無視した角度でアクリルを埋め込むと不自然に見えたり、アクリルが曲がっているように見えてしまったりするので注意が必要なんです。
-
ああ、なるほど。
視覚的なモンダイか。 -
プレスラインを考慮に入れた上で、水平にアクリルを埋め込むようなラインを決めるほうがキレイにいきますね。
-
フムフム。
-
ただ、この86のプレスライン。よく見ると全部が水平なわけではない。だんだん向きが変わっていく。大げさにいうと水平ではなくハの字に並んでいるんです。
-
ムムム……。
やっかい。 -
少しずつ、アクリルの角度も変えていったほうがいいでしょうね。
-
そんなところまで見ながら、埋め込み位置を決めているのか〜。
-
そのほうがキレイに見えます。とりあえずは、この純正ラインもマスキングテープ側になぞっておきます。
-
このプレスラインは全部なぞる必要はなくて、何本かなぞっていく程度でOK。アクリルを埋める角度を決めるときに、考慮するための目印線に過ぎませんので。
-
これでインナーの型取りができました〜。
-
次にマスキングテープを剥がします。最初に貼り始めたほうが下側になっているので、最初に貼った側からはがせば「面」としてはがせます。
-
このマスキングテープを使った型取り、ライト加工に限らず、いろいろな場面で使えそうです。
こんなラインが入っている
純正ラインをなぞっておく
最初に貼ったほうから剥がす
一体化したまま型が取れる!
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
関連記事
- LED加工のプロが明かす! アクリルヘッドライト加工方法 .1
- 3. アクリル埋め込み加工╱デザインのコツ
- 4. アクリル板のきれいな切り方。曲線も切れる!
- 5. アクリル板をDIYでブラスト加工風に処理する方法
- 6. アクリル板の種類。LEDで光らせるならどれ?
- 7. アクリル板のきれいな曲げ方
- 8. ヘッドライトへのアクリル埋め込み準備
- 9. ヘッドライトインナー加工方法╱切り方のコツ
- 10. 乳白色アクリル板を裏に使う! プロ加工者の拡散テク
- 11. アクリル板の固定・接着にコーキング剤が向きな理由
- 12. アクリル面発光の光源は、どんなLEDがよい?
- 13. LEDテープでアクリル板をキレイに光らせるコツ
- 14. アクリル板をLEDでグラデーション発光させる方法
- 15. ヘッドライト加工の具材固定にはコーキングが大活躍
- 16. アクリル製イカリングはCCFL管とどう違う?
- 17. イカリングヘッドライト自作方法(アクリル編)
- 18. 今後は「流れるウインカーリレーキット」の選び方が変わる!?
- 19. シーケンシャルウインカー(純正風の流れるウインカー)の作り方
- 20. 殻割りしたヘッドライトの戻し方(殻閉じ)╱シーリング編
- 21. 後付けした光モノの配線をどうやってヘッドライトの外に出すのか!?
- 22. LEDの静電気対策、「バリスタ」の使い方
- 23. 殻割りしたヘッドライトの戻し方(殻閉じ)/ 組み立て編
- 24. ヘッドライトのレンズをハウジングに戻す(殻閉じ)方法
- 25. イカリングやLEDの電源は車のどこから取り出すの?
- 26. ハイフラ防止抵抗の付け方。「取り付け場所」に注意!
- 27. 加工ライトの車体取り付け方法
- ヘッドライトを殻割りする前に知っておくべきこと
- ヘッドライトの殻割り方法 序盤のコツ
- 流れるウインカー導入ガイド(シーケンシャル点灯のきほん)