アクリルヘッドライト加工方法(第19回)
シーケンシャルウインカー(純正風の流れるウインカー)の作り方╱必要な材料は?
純正風シーケンシャルウインカーを作るために必要な材料について。C-HRやレクサスのような「流れるウインカー化」するためには、何を買えばいいのか。ここでのモデル車はトヨタ86だが、違う車種でも参考になる話だ。
純正風に加工するためのコツ
LEDが自然に横に配列できる場所を探す
-
お待たせしました。シーケンシャルウインカーの作り方編スタートです。
●レポーター:イルミちゃん
-
まずは、流れるウインカー化できそうなスペースを探すところから始まります。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
-
どんなスペースでもいいわけではなくて……。
-
純正風のシーケンシャルウインカーにするなら、LEDを横に並べる必要がありますよね。タテ長とかは無理がある。
-
で、今回は86前期のヘッドライトがモデル。
-
86前期の場合は、そもそもウインカーがヘッドライト内にないです(バンパー側にある)。
-
つまりは移設が必要なパターンか。
-
その場合、ヘッドライト内のポジション(スモール)ランプ部が、流れるウインカー化するのに都合がいい。
-
6個のLEDが横に配置されていて、リフレクター(反射板)で光らせる仕組みになっています。
-
なんとも都合のいい横並びのLED配置ですねぇ。シーケンシャル化しろ、と言っているように見えます。
-
こんなに都合のいい例は珍しいですけどね。
86前期のヘッドライト
ヘッドライト殻割りについては、「ヘッドライトを殻割りする前に知っておくべきこと」から読むのがオススメ。
ポジションランプ部分
加工方法は車種によってケースバイケース
-
ヘッドライトのハウジング(土台)から、ポジションランプユニットだけ外したのが下の状態。
-
ええっと、純正LEDはどこですかね〜???
-
もっとバラす(↓)と、構造がよく分かりますヨ。
-
リフレクター部分と取り付けプレートの間に、LED基板がサンドイッチされていました。
-
この基板に、LEDが付いているんだ〜。
-
この純正LEDは、生かせるのでしょうか?
-
今回は、この純正LEDはポジションランプ用の白色ですから、LED自体は使えません。
-
あ、そっか。
ポジションでしたねコレは。 -
そうです。だからウインカー用のアンバー色LEDに交換していきます。
-
……ということはLED打ち替え?
-
いや、今回のパターンだと純正LEDの基板は、どっちにしても使えません。そもそもポジションLED用の基板の作りになっているので。
-
基板の作りが違うというのは……、
-
流れるウインカー化するには、LEDを独立させた回路にしないといけません。
-
なるほど、だから純正リフレクターは利用するけど基板は作り直す、みたいな。
-
これがもし純正でLEDウインカーだとしたら、純正基板と純正LEDを使いながら加工することもあります。そのへんはケースバイケースです。
-
流れるウインカーの作り方は、車種によっていろいろってことですね。
ポジションランプのユニット一式
同じ86でも後期なら純正LEDを生かして作る
86後期は、最初からLEDウインカー(流れない)
シーケンシャルウインカー製作の材料
基板はごく一般的なものでOK
-
今回は純正のリフレクターを生かします。その場合「純正LEDと同じ位置に、アンバーLEDを付け直す」必要があります。
-
光源がズレたら……。
うまく反射しない? -
ですね。こういう時は純正基板をトレースしながら基板を作り、「純正LED位置と同じ位置にLEDを付け直す」のがコツ。それなら純正リフレクターにキレイに反射します。
-
基板はどんなのを用意しますか?
-
それはごく普通の基板(↓)でOKですよ。
通常のLED工作でもよく使われるユニバーサル基板。
LEDの種類はケースバイケース
-
LEDは、チップ・砲弾型・帽子型のどれを使う場合もありますが、 今回は4本足のフラックスLEDを使います。
-
ちなみに、フラックスにした理由は?
-
まず砲弾型や帽子型LEDよりワイドに強く照射するので、今回のように純正リフレクターに光を当てたい時には有利です。
-
なるほど。
-
チップ型LEDもワイド照射ですが、フラックスLEDなら普通の基板が使えるので、チップLEDより扱いやすい。
-
なるほどね〜。
-
そこで、6個のフラックスLED(↓)を用意。
-
え?
たったの6個……? -
今回は純正光源位置を生かすので、純正ポジションLEDの数に合わせました。
-
しかしポジションではなくてウインカーにするのに、それで光量足りますかね?
-
リフレクターがあるので大丈夫です。リフレクターって、構造的に、かなり光量をアップする効果があります。
-
この場合は、基板に帽子型LEDをたくさん配置するやり方とは違うんだ。
-
そうですね。加工するにしても、こういう純正の機能が生かせるときは生かしたい。
-
まさしく最近の球屋流のヘッドライト加工ってカンジですね〜。
-
ただ、もともとが電球のウインカーの場合は、リフレクターなしの加工なのでもっとたくさんLEDを使います。
フラックスLED
もともと純正光源が6発だった
リフレクター効果で明るくなる!
LED以外の電子部品は?
ユニバーサル基板とフラックスLEDの他に、以下のアイテムも用意
LEDに合わせた「抵抗」
今回はフラックスLEDを使っているので、抵抗もごく普通のカーボン抵抗。抵抗値はLEDの種類に合わせて選ぶ。
電気の逆流防止「整流ダイオード」
これも通常のLED工作でも使うアイテム。付けておけば、何かの弾みで電気が逆流してLEDが壊れてしまうのを防げる。
流れるウインカーリレーキットは必須
-
流れるウインカーリレーキットは、最新モデルの「内蔵型」(↓)を使います。
-
純正風のシーケンシャルウインカーを作るときは、従来型の本格的なユニットを使う必要はありません。
-
流れるウインカーリレーキットの選び方は、前回の記事で詳しく解説していますよ。
球屋のワンオフ加工で使われている「純正シーケンシャルパターン 内蔵型流れるウインカーユニット」。球屋の通販サイトでも販売開始!
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
関連記事
- LED加工のプロが明かす! アクリルヘッドライト加工方法 .1
- 2. マスキングテープで型取りする方法
- 3. アクリル埋め込み加工╱デザインのコツ
- 4. アクリル板のきれいな切り方。曲線も切れる!
- 5. アクリル板をDIYでブラスト加工風に処理する方法
- 6. アクリル板の種類。LEDで光らせるならどれ?
- 7. アクリル板のきれいな曲げ方
- 8. ヘッドライトへのアクリル埋め込み準備
- 9. ヘッドライトインナー加工方法╱切り方のコツ
- 10. 乳白色アクリル板を裏に使う! プロ加工者の拡散テク
- 11. アクリル板の固定・接着にコーキング剤が向きな理由
- 12. アクリル面発光の光源は、どんなLEDがよい?
- 13. LEDテープでアクリル板をキレイに光らせるコツ
- 14. アクリル板をLEDでグラデーション発光させる方法
- 15. ヘッドライト加工の具材固定にはコーキングが大活躍
- 16. アクリル製イカリングはCCFL管とどう違う?
- 17. イカリングヘッドライト自作方法(アクリル編)
- 18. 今後は「流れるウインカーリレーキット」の選び方が変わる!?
- 20. 殻割りしたヘッドライトの戻し方(殻閉じ)╱シーリング編
- 21. 後付けした光モノの配線をどうやってヘッドライトの外に出すのか!?
- 22. LEDの静電気対策、「バリスタ」の使い方
- 23. 殻割りしたヘッドライトの戻し方(殻閉じ)╱組み立て編
- 24. ヘッドライトのレンズをハウジングに戻す(殻閉じ)方法
- 25. イカリングやLEDの電源は車のどこから取り出すの?
- 26. ハイフラ防止抵抗の付け方。「取り付け場所」に注意!
- 27. 加工ライトの車体取り付け方法
- ヘッドライトを殻割りする前に知っておくべきこと
- ヘッドライトの殻割り方法 序盤のコツ
- 流れるウインカー導入ガイド(シーケンシャル点灯のきほん)
- シーケンシャルウインカー専用リレーユニットの大本命登場か!?