アクリルヘッドライト加工方法(第14回)
アクリル板をLEDでグラデーション発光させる方法
- 1
- 2
青と白のLEDテープ2本を使えば、アクリル板をグラデーション発光させることが可能。ただし、普通にLEDでサンドイッチにするだけでは「白」優勢でキレイなグラデーションにはならない。「青」を強くするコツがある。
青と白のLEDテープを用意する
-
アクリル板をグラデーション発光させる方法を解説したいと思います。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
-
それって、球屋がヘッドライト加工で使う得意技じゃないですか!
●レポーター:イルミちゃん
-
こんなワンオフ加工(↑)の秘密を教えてもらえるとは! ムフ♪
-
そのためにはまず、LEDテープの「白」と「青」の2色を用意します。
-
ほほ〜。
-
前回の記事で、まず白いLEDテープをヘッドライトに仕込みましたよね。
-
それで、今日は反対側に青いLEDテープを仕込むんですよ。
-
なるほどォ! 白と青のLEDでサンドイッチすれば、グラデーションになる!
-
……というほど、簡単ではないですけどね。
-
え、なんで?
-
「青」LEDを反対側から設置するだけでは、ほとんど青は光って見えませんよ。まずやってみましょう。
-
そして、前回の白いLEDテープを仕込んだ反対側(ヘッドライトの外側方向)に青を設置します。
-
普通に設置すると、LEDテープが(アクリル方向ではなく)上方向を照らしてしまっていますね。
-
それはインナー形状的にそうなっているからか……
-
そうなんですよ。少し角度を起こしたいので、ひとまず両面テープなどを細く切り出して、段差を作ります。
-
こうすると少しだけLEDテープを起こせますよね。
-
……はあ。
両面テープに段差ですか。 -
何か言いたそうですね?
-
いや、あの、どうせ角度を起こすなら、もっと直角に立てたほうがアクリル板に光がしっかり当たりませんかね? 前回の白LEDを仕込むときはホラ、壁を立てたじゃないですか。
-
……これって、車のヘッドライトなんですよね。
-
はい。
知ってますけど? -
ヘッドライトって、横方向(グリル側ではなくサイド側)に行けばいくほど、裏のハウジングとの距離がなくなっていく(薄くなっていく)。
-
あー、ウンウン、そういえばそうですね。それが何か?
-
この青いLEDテープを仕込む部分が、最も外側のフチのラインなんです。※今回のは86のヘッドライト
-
つまり一番薄くて狭い場所だ。
-
LEDテープを起こして出っ張らせたら、閉める時点でグシャってなるでしょうね。
-
ウッ。
そんなに狭いの? -
そういう制限の中で、いかにキレイに面発光させるか、という話なんですよ。
-
な、なるほど。アクリル加工って、つくづくドMな人にピッタリの作業ですね。
-
ひとまず青と白のLEDテープを仮付けした状態で、テスト点灯してみましょう。
-
おお〜、なんとなくグラデーション発光している!
-
そう。
なんとなく、ね。オモテ側から見てみてください。 -
微妙にグラデですが、主に白に光ってますね……。
-
普通にやったら、ほとんどのケースではこうなります。
86のヘッドライト加工例
サイドに埋め込んだアクリルフィンが…
グラデーションカラーで発光する
白と青の光源(LEDテープ)を用意する
白LEDを先に仕込んだ
※LEDの仕込み方の基本は、「LEDテープでアクリル板をキレイに光らせるコツ」参照
青いLEDテープに配線を付けてテスト点灯する
※配線を付けるときのコツも、「LEDテープでアクリル板をキレイに光らせるコツ」参照
細く切り出した両面テープを裏面の上側にだけ貼り……
LEDテープの背面にわざと段差を作る
微妙に外側の角度を起こした
まずは裏面の状態
……アレ?
青のLED発光を強くするには?
-
白に負けている、青いLEDの光を強めたいところ。試しにこんな風に、厚紙などを当ててみましょう。
-
青いLEDテープを仕込んだ側にだけ、裏から厚紙を当てています。
-
なんですか!?
その技は。 -
ようはウラ側に飛んでしまった光を反射させて、アクリル板の方向に戻すんですよ。すると……
-
なんと!!
いきなりキレイなグラデーション発光に変貌! -
白い紙に反射させて光を戻せば、アクリル板の発光は強まります。それを青LED側にだけやっているのが今の状態。
-
……これはスゴイ。
-
青だけじゃなくて白側にも同じように厚紙をセットすれば、白側も明るくなりますよ♪(だから白単色でもやることが多い)
-
それではまた、青が負けませんか?
-
そうですね。だから青が優勢になるようにしつつ、白にも光を入れて……全体が明るく、かつキレイにグラデーション発光する反射板の入れ方を模索するんです。
-
な、なるほど。
1枚板を入れればいい、という話ではないのか。 -
単に四角い板を1枚入れて、全体をグラデーション発光させるのは無理ですね。
-
上の状態でも、いちおうグラーション発光ではある。でもできれば、長い板から短い板まで、1本ずつ全部グラデーション発光しているほうがいいと思うんですよ。
-
言われてみれば。
-
だから実際にはもっと紙を細かく切り出して、1本ずつ微調整していきます。
-
球屋はウラでこんなことをやっていたのか!
-
今回でいうと、難しいのは一番短いアクリルフィンです。短いからどうしても白い光が勝ちやすい。
-
どうしましょ?
-
だからこの場面ではできるだけ青が有利になるように、白を抑えたりもします。
-
抑えるって?
-
簡単に言うと、板で遮光してしまえばいい。
-
そして、この試行錯誤の成果……
-
グラデーション発光が完成しましたぁ〜!
-
完成じゃないですよ。
-
え?
-
これ、紙でテストしているだけなんで。まさか車のヘッドライト内に、紙は使えませんよね。万が一、ショートしたら燃えますし。
-
え〜!!
それなら、なんでわざわざ「紙」でこんなの作ったのォ? -
これは型取り作業に過ぎません。つまり「型紙」です。
-
……というわけで、後編の「LEDをキレイに面発光させる秘訣」に続く!
青LEDのウラあたりを覆ってみる
青味がアップ!
よく見ると、短いほうがグラデになってない
試行錯誤の結果……
こんな立体構造になった!
✔ ひとくちメモ
向かって右の板の組み方に注目。青LEDを反射させている板を立体的にし、光を囲って集光。さらに白LEDの方向に伸ばしながら、白LEDの光がアクリルに当たるのを遮光している。かなり「青LEDに有利」な仕組みを作ることが、短いアクリルをグラデーション発光させるコツ。1本単位でキレイにグラデーション発光
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
関連記事
- LED加工のプロが明かす! アクリルヘッドライト加工方法 .1
- 2. マスキングテープで型取りする方法
- 3. アクリル埋め込み加工╱デザインのコツ
- 4. アクリル板のきれいな切り方。曲線も切れる!
- 5. アクリル板をDIYでブラスト加工風に処理する方法
- 6. アクリル板の種類。LEDで光らせるならどれ?
- 7. アクリル板のきれいな曲げ方
- 8. ヘッドライトへのアクリル埋め込み準備
- 9. ヘッドライトインナー加工方法╱切り方のコツ
- 10. 乳白色アクリル板を裏に使う! プロ加工者の拡散テク
- 11. アクリル板の固定・接着にコーキング剤が向きな理由
- 12. アクリル面発光の光源は、どんなLEDがよい?
- 13. LEDテープでアクリル板をキレイに光らせるコツ
- 15. ヘッドライト加工の具材固定にはコーキングが大活躍
- 16. アクリル製イカリングはCCFL管とどう違う?
- 17. イカリングヘッドライト自作方法(アクリル編)
- 18. 今後は「流れるウインカーリレーキット」の選び方が変わる!?
- 19. シーケンシャルウインカー(純正風の流れるウインカー)の作り方
- 20. 殻割りしたヘッドライトの戻し方(殻閉じ)╱シーリング編
- 21. 後付けした光モノの配線をどうやってヘッドライトの外に出すのか!?
- 22. LEDの静電気対策、「バリスタ」の使い方
- 23. 殻割りしたヘッドライトの戻し方(殻閉じ)/ 組み立て編
- 24. ヘッドライトのレンズをハウジングに戻す(殻閉じ)方法
- 25. イカリングやLEDの電源は車のどこから取り出すの?
- 26. ハイフラ防止抵抗の付け方。「取り付け場所」に注意!
- 27. 加工ライトの車体取り付け方法
- アクリル板の「押出し」と「キャスト」。LED加工に使うならどっち?
- ヘッドライトを殻割りする前に知っておくべきこと
- ヘッドライトの殻割り方法 序盤のコツ
- 流れるウインカー導入ガイド(シーケンシャル点灯のきほん)