アクリルヘッドライト加工方法(第18回)
今後は「流れるウインカーリレーキット」の選び方が変わる!?
今、ウインカー部分を加工するなら、やはり光が流れる「シーケンシャルウインカー」にしたいところ。流すために必要なのは、今も昔も「流れるウインカーリレーキット(ユニット)」だが、今後は選び方の基準が変わるかも知れない。
流れるウインカー製作にはリレーキットが必要
純正風シーケンシャルウインカーにする場合
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さて、プロに教わるヘッドライトのDIY加工方法もいよいよ大詰め!
●レポーター:イルミちゃん
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アクリル埋め込み、イカリング取り付けは前回の工程までで終了。今日から「流れるウインカー作り」に入ります。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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流れるウインカー、というのは昔からある技ですが、ここで紹介する方法は一味違いますね。
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今回は、レクサスRX、LX、それからトヨタC-HRが純正採用して話題になっている「シーケンシャルウインカー」を取り入れます。
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『それって、既存の流れるウインカーとどう違うの?』……と思う人が多いはずなので、初心者向きに解説を。
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「シーケンシャルウインカー」は、「流れる点灯パターンの中のひとつ」と思ってもらえればいいですね。
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おさらいですが、純正のシーケンシャルウインカー(↓)。こんな感じの動きです。
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内側から外側にだんだん光が伸びていって、全部のLEDがいっぺんに消灯する。これが純正の流れるウインカーパターンですね。
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「シーケンシャル点灯」(※連鎖式点灯)とも呼ばれる、この光り方(↑)は……、
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保安基準適合となる、唯一の点灯パターンです。
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アウディ、レクサスLX、RX、C-HRなどの流れるウインカーは、全部コレと同じってことですね〜。
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そうです。純正風にやりたい! という人は、「このシーケンシャル点灯パターンだけあればいい」ということになります。
純正のシーケンシャル点灯パターン
内から
外側へ
全点灯
全消灯
従来の流れるウインカーリレーキットは不要?
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「純正風の流れるパターンだけ」やりたい人は、従来式の本格的な「流れるウインカーリレーキット(ユニット)」を選ぶ必要はありません。
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え〜っと、「従来式」というのは、球屋も従来から販売しているタイプのことですね。
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コレ(↑)は、純正風シーケンシャルウインカーにはできない?
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いや、できますよ。球屋のユニットの場合は、点灯パターン切り替えの一番先頭に、純正風シーケンシャル点灯を入れてあります。
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???
できるんじゃん。 -
でも、純正風の流れるウインカーを求めている人にとっては、それ以外の点灯パターンっていらなくないですかね?
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それ以外の点灯パターン……?
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例えば。
「LEDが消えながら流れる」(↓)とか……、 -
あるいはLEDが1ブロックずつ点灯していく(増えていかない)パターンとか、逆方向に流れるとか、往復するような動きとか……
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流れるウインカーには、いろんな流れ方があるんだ。
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球屋の「流れるウインカーユニット 10ブロック(10連)」を例にすると、流れるモードは45パターン。それを自動で変化させるオートモードもあるし、スピードも無段階で調整可能です。
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へぇ〜。
組み合わせると無限大のパターンになりそう♪ -
ドレスアップカーコンテストとかショーカー製作に使うなら、当然こっち(従来型)のほうが向いています。
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なるほど、なるほど。
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でも、最近のレクサスLX、RX、それからC-HRなどの影響で、「ああいう流れるウインカーを取り入れたいな」って思っている人にとっては……
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純正風シーケンシャル点灯以外、いらないかも!?
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そうなんですよ。合法の点灯パターンはそれひとつだけ。それ以外はコンテスト・ショーカー用ですしね。
従来型の流れるウインカーユニット
球屋の「流れるウインカーユニット 10ブロック(10連) 」。スペック詳細は球屋HP参照。
同じ「流れる」でも純正とは違う
内から
外だが
最も外側が光っている時(↑)、内側はすでに消えている。消えながら流れるパターン。
「内蔵型」の流れるウインカーリレーキットとは?
点灯パターンはひとつしかない!?
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純正風のシーケンシャル点灯パターンのみに絞っているのが、「流れるウインカーユニット(内蔵型)」です。
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要するに、純正風のパターンしか入ってない?
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そうなんです。
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……ウーム。
でもなぁ、森田研究員? -
なんでしょう?
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「従来型」にも、純正風シーケンシャル点灯パターンは入っているわけじゃないですか。
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もちろん、ちゃんと入れてますよ。
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だったら、純正風の流れるウインカーがやりたい人だって、「従来型」ユニットを選んでおけば、いいんじゃないでしょうか?
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フムフム。
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もしかしたら他の点灯パターンを使いたい場面もあるかも、だし。
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なるほど。つまり「大は小を兼ねる」みたいな選び方ですね。
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そうそう♪ 「どうせヘッドライト加工して付ける」という手間は同じなんですからぁ〜。
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ところが、同じではないんです。その「付ける手間」というのが。
流れるウインカーユニット(内蔵型)
「純正シーケンシャルパターン 内蔵型流れるウインカーユニット」。球屋のワンオフ加工でも使われている。
従来型の流れるウインカー加工は配線数が膨大
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「従来型」の流れるウインカーリレーキットの場合、本体は室内などに設置します。
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フムフム。
「内蔵型」に対して「外部型」ってことですね。 -
そうですね。加工手順は、ヘッドライトを殻割りして、流れるウインカー用にLEDを増設して、それぞれのLEDの配線(マイナス線)を独立させて外に出します。
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パワーLEDを1発ずつ並べる場合もあるし、複数個ずつのセットでブロック分けして仕込む場合もありますが、とにかくLEDをグループ分けした独立回路を作ります。
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で、1発ずつ、あるいは、1ブロックずつ光らせていけば流れるってことですよね〜。
※流れる仕組みは「C-HRやレクサス風〈流れるウインカー〉後付けガイド」参照。
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そうなんですが、配線を細かく分けているだけに、「ヘッドライトから外に出てくる配線の数」が多くなります。
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それって何本位でしょうか?
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球屋の従来型のユニットを例にすると、10ブロックまで対応しているんですね。LEDを10ブロックに分けて光らせることができる。
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つまり、きめ細かく流れる。なめらかに♪
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その代わり、左右のヘッドライト合計で、最大28本の配線作業が必要になる。
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ええええ〜!!
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……って叫ぶ人には、向いてない作業となります。
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うぐぐ。
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しかもその膨大な配線を、ヘッドライト裏からエンジンルームを通って、室内に引き込まないといけません。
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そんなに通る?
1本でも大変なのに。 -
DIYでやっている人もいますけど、難易度はかなり高いですよね。
流れるウインカー加工では、各LEDの配線を独立させる。
「内蔵型」は配線作業が劇的に少ない
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内蔵型の流れるウインカーリレーキットの場合は、その名の通り、ヘッドライトの中にユニットを入れます。
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小さいから、ヘッドライト内に隠せるんだ。
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そうですね。だからボックス型にもしてません。見た目よりコンパクトさを重視して作っています。
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内蔵型でも従来型でも、LEDをブロック分けして仕込むという手順は同じですが。
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じゃあ、配線の数は結局多いのでは……、
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しかし、内蔵型の場合は、大部分の配線をヘッドライトの外に出す必要がない。だってヘッドライト内にユニット本体があるわけですから。
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ヘッドライトの外に出る線は、「ウインカー線につなぐ線」と「アース」、それから純正復帰させるためのスイッチ用の線(2本)があるだけです。
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つまり、4本出てくるだけ?
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ハイ。ウインカープラス線やアースは、純正ウインカー電球のところからすぐ取れるので(※一部車種除く)、配線作業は劇的にラク。
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なるほどォ。
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それを、左右それぞれのヘッドライトで行います。
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両側のヘッドライトをつなぐ必要すらないんだ。
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そうなんです。従来型は、「1個のユニットで左右ヘッドライトを制御」しますが、内蔵型は「1個のユニットで1個ずつヘッドライトを制御」しますので……、
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ヘッドライト裏で、全部の配線作業ができるってこと?
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そういうことですね! その代わり、今までのような複雑な流れるパターンはできないのです。
ヘッドライト内でLED基板と直結する
配線が楽になるので、工賃も安くなるはず!?
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従来型の流れるウインカー製作は、手間がかかります。ショップで加工してもらうにしても、配線作業だけで数万円はしていたはず。
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「内蔵型」にすれば、その分のコストがなくなりますよね。
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ウインカーの電源を取る位の作業なので、全然違ってくると思いますよ。工賃はお店それぞれとは言っても。
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配線のラクさは、DIYに限らず、メリットがありそう。
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「派手な点灯パターンがいらない人」や、「全部DIYで付けようとしている人」は、「内蔵型」の流れるウインカーリレーキットのほうが、圧倒的にオススメです。
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流れるウインカーを付けるにあたって必須のユニット選びですが、今後は選択の仕方が変わってきそうです。
一般的なヘッドライト加工の配線より遥かにラク
※車体への配線方法は、今後の記事で詳細に解説予定あり。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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