アクリルヘッドライト加工方法(第15回)
ヘッドライト加工の具材固定にはコーキングが大活躍
ヘッドライト加工では、インナーの具材の固定が非常に重要。今回の工程では、光源になるLEDテープや反射板として使う基板などを固定するのだが、接着にはコーキングを使う。プロの加工者の具体的なやり方をここで解説。
LEDテープや基板の固定にはコーキングを使う
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前回、アクリルをキレイに面発光させるための反射板(基板)の配置が決まったので、次は固定方法を解説します。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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そういえば光源として仕込んだLEDテープも、まだ仮付けの状態でしたね。
●レポーター:イルミちゃん
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LEDテープの裏面についている両面テープ接着は、そんなに強いものではないので、これだけでは剥がれてしまう可能性があります。
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ヘッドライト内で使っている具材ですから……剥がれたらタイヘン。
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そうなんです。熱にさらされるし、LED自体も熱を持つし、両面テープだけでは頼りない。
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じゃあ、どうしましょう?
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ココでもコーキングが大活躍するんです。
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アクリル板の固定にも使いましたが、LEDテープの固定にも使うんだ。
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まずは基板で作った反射板はいったん外して、光源を先にコーキングで固定させます。
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下にも付けると、コーキングがアクリルに付きそうですが……、
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クリアのコーキングを使っているし、べつに少しぐらいアクリル板に付いても問題ないですよ。ベチャっと上から載せるようなマネはしませんが。
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へぇ〜。こうやって仮組みしたLEDテープと反射板を、固定していくんだ。
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なお、コーキングは大量に盛らなくても強度は出せます。要所要所をポイントで押さえに行く、で十分です。
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もっと盛ればより頑丈になるのでは? ヘッドライト内でポロリンってなったらタイヘンなんでしょ?
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いや。山と盛ったコーキングが固まっても、それで強度が出るわけじゃないです。実際に接着に役立っている量は、下の部分だけなんで。
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なるほど。
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それと、盛りすぎると乾くのに時間がかかる。要所要所を押さえるような塗り方でも、十分、引っ張らないと取れない位の強度は出せます。
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ヘッドライト加工においては、コーキングって便利なんですね〜。
前回までの状態
コーキング
奥に見えるのは白のLEDテープと反射板。手前の青LED用に貼った反射板は、外してある状態。
コーキングを盛る
ヘラで伸ばす
下側にもチョンチョン打つ
こんな感じでOK!
固定が目的なので、全面に盛る必要もない
コーキングは乾燥するまでに時間がかかる
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というわけでまずは、光源のLEDテープを固定しました。
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そしてここで、半日程度は時間を置いて、コーキングを硬化させます。
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ほ〜。
どんどん作業を進めてはダメな場面なんだ。 -
そうなんです。まず、光源(LEDテープ)が絶対に動かない状態にしたい。そうしないと反射板の固定作業をしているうちに、光源が動いてしまったりするので。
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せっかく前回整えた、キレイなグラデーション発光が、崩れてしまう!
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半日〜1日経過したら、例の反射板(基板)をコーキングで固定します。
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今度はコーキングを使って、前回、マスキングテープで仮固定していたのと同じ状態に戻していきます。
反対側のLEDテープも固定
コーキングを付けたあとの状態
配線は収縮チューブでまとめるとよい
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アクリル用のLEDテープは切り分けて使っているので、配線数が多くなりますよね。
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1本あたりにプラス、マイナスの2本ずつありますからね。
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配線がゴチャゴチャしているのはイヤなので、収縮チューブを使ってまとめます。
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各LEDのプラスとマイナスを1本化するだけでも、ずいぶんスッキリしました。
ヘッドライトインナーのフチから光漏れするのを防ぐ対策
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最後にカッティングシートを上から貼ります。アクリル加工部分全体を覆うような感じですね。
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これは、なんのため?
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外に光が漏れるのを防ぐためです。なにも処理しないと、インナーの外側のラインから光が出て、見えてしまったりするので。
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意図しない光漏れ……ですね。
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あくまでもアクリルだけが光っている状態にするため、漏れはガードしたいわけですね。
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フチの線に沿って、コーキングを塗って固定するんだ。
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全部をコーキングで覆うような付け方をすると、仮にあとでリメイクのためにバラす、なんて時に大変なことになります。フチだけで十分。
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ここでいったん、LED光源を仮点灯させてみます。すると、まだスジ状に光が漏れている(↓)のが見えます。
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実際にライトに組み込んだ時、この光がレンズ側に反射したら写り込む可能性もある。だからこういう部分は、コーキングで塞いでおくほうが無難かなと思います。
これも固定はコーキング
余分なコーキングを除去
フチのラインからの漏れをなくしておく
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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