アクリルヘッドライト加工方法(第1回)
LED加工のプロが明かす! アクリルヘッドライト加工方法
アクリルとLEDを使った、最先端のヘッドライト加工。その第一人者の〈球屋〉が、今、持てる技術のすべてを語る。常に進化し続ける気まんまんの〈球屋〉には、企業秘密はないもよう。本丸そのものの、アクリルヘッドライト加工方法の連載が始まる。
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アクリルLEDヘッドライト加工で有名な「球屋」が、その作り方を包み隠さず大公開するという、とんでもない連載がスタートしました!
●レポーター:イルミちゃん
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アクリルを埋め込んで面発光させるだけでなく、アクリル製イカリング(SEリング)の付け方も説明します。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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いいですねぇ。
アクリルイカリング♫ -
アクリルをスモール点灯させるなら、純正スモールは不要になるので、純正スモール部は流れるウインカー加工しようと思います。
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つまり今どきのヘッドライト加工のフルコース。それ全部、作り方を教えてくれる気ですか?
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もちろん。球屋が普段やっている、そのままの加工手順を公開しますヨ。
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……というわけで、DIYユーザーの皆さんはもちろんのこと、セミプロやプロの方にも、参考になる連載記事になると思います!
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モデルに使うヘッドライトは、86(ハチロク)です。
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ヘッドライトの殻割り方法については、過去記事(↓)がたくさんあるのでそちらをご覧ください。
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86のヘッドライトの開け方は、普通の熱分解です。以前に紹介したプリウスの開け方などとキホンは同じ。
まずはヘッドライトを殻割りする
で! 殻割りができたら、なにから始めますか?
86のヘッドライトはインナー側面に空きスペースがあるので、アクリルを埋め込もうと思います
メッキのインナーに触る前の注意点
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殻割り後は、さらにメッキのインナー部分をバラします。
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ヘッドライトのインナーのメッキは、触るときは手袋をしましょう。
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指紋が付くから?
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そうですね。指紋が付いたら拭かないとダメですし、拭くことで傷がつきます。非常にモロいものなので。
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最初から、汚さないようにやるのが大切ですね。
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ハイ。極力触りたくないのが、インナーのメッキです。
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アクリル埋め込みとは関係ないインナー部品については、クッション材を巻いて保管しておきましょう。そのまま置いておくとホコリが付着します。
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アクリルを埋め込もうとしているインナーについても、関係ない部分はクッション材で覆って保護しておきます。
レンズとインナーを固定しているネジを外す
レンズとインナーが外れた
アクリル埋め込みとは関係ない部品は…
クッション剤でくるみ、保管モード
埋め込む部分だけ残して保護
型取りに使う道具
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まずは型取りに使う道具を紹介しましょう。
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型取りに使うボール紙は、球屋では表が白で裏面がグレーのものを使っています。
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どっちの面も白のものでは、ダメなんですか?
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僕らの場合は、ボール紙で型取りしたらスキャンしてデータを取り込み、それを元にアクリルをレーザーでカットします。
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フムフム。
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でもスキャンするときに白だと上手く読み込めないので、裏面がグレーのタイプを使っています。
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そういうことかー。
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マジックは2色を用意。これはレンズカットが入っているような場合に、候補ラインを2種類引くこともあるので、そのためです。
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マジック以外に、ボールペンもありますね。
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ボールペンは細いものを用意します。マジックではペン先に幅があるうえ、浸透してラインが広がる。最終の厳密なラインは引けません。
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なるほど、なるほど。
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定規は短めのほうが使い勝手がいいです。ヘッドライト自体がそれほど大きいモノではないので、直線で長いラインを引くことはまずないです。
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マスキングテープにもこだわりがありそうですが……?
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マスキングテープは細めです。球屋が使うのは1センチ幅。目安にもしやすく、使い勝手がいいですよ。
型取りに使う道具
ボール紙、カッター、カッターマット、マジック、ボールペン、ハサミ、定規、マスキングテープ
マスキングテープをインナーに貼るときの注意点
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アクリル埋め込み加工の型取りをするために、まずはマスキングテープをインナーに貼っていくんですが……ここで注意点があります!
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来ましたね。注意点。お待たせしました。森田研究員の重たい話です。みなさん。
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さきほど言った通り、ヘッドライトのインナーメッキは非常にモロい。マスキングテープをそのままペタっと貼ると、剥がすときにメッキがいっしょに剥がれます。
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え〜!!
メッキってそんなにモロいの? -
そうなんですよ。マスキングテープを貼った状態でインナーをカットするので、なおさらカットした断面のところから剥がれやすい。
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それは困る。
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だからマスキングテープを貼る前にまず服などにペタペタ貼ってはがして……を何回か繰り返して、粘着力をわざと落とします。
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粘着力を極限まで落としてから、メッキインナーの埋め込み予定地に貼っていきます。
ペタっと貼ってベリっと剥がす……を数回行う
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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