アクリルヘッドライト加工方法(第7回)
アクリル板のきれいな曲げ方
ヘッドライトのインナーは、曲面の部分が多い。しかし埋め込む側のアクリル板は、カッチカチの平面。そこで両者を合わせる前に、アクリル板の曲げを実行。インナー曲面にピッタリ沿った、きれいな曲げ方のコツを教わった。この微妙なアール(↑)が、完成度に圧倒的な差を付ける!
ヘッドライトインナー曲面に沿わせたい
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前回までの記事で、ヘッドライトに埋め込むアクリル板の切り出しができました。
●レポーター:イルミちゃん
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型紙に沿ってアクリル板を切り出すことができたら、次は「曲げ加工」をします。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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曲げるんですか?
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だって、ヘッドライトのインナーは平面ではなく湾曲しているじゃないですか。
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確かに。曲面部分が多そうです。
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板状の真っ直ぐなアクリルを曲面に埋め込んだら、出っ張り方が均一ではなくなってしまいます。
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なるほど。
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完成度という面では、インナーから出っ張るアクリル断面が均一に見えたほうがいいですよね。
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でも……どうやって曲げるんですか? いきなり難易度が高そう〜。
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アクリル板は、熱をかければ曲がりますよ。ただ、自作でやるとすれば5ミリ厚ぐらいまでが現実的。
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あまり分厚いと、曲がらない?
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8ミリ厚のアクリル板でも曲げられますが、大変なんです。5ミリ厚ぐらいまでなら現実的にやれる、という意味でオススメ。
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切るにしても曲げるにしても、5ミリ厚のアクリル板って使い勝手がいいんですね。
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そうですね。そして曲げるときは、球屋の加工ではヒートガンを使っています。
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ドライヤーではダメなんですか?
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できるとは思いますけど、かなり時間がかかるでしょうね。
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パワーの違いですね。
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それと、ヒートガンを使ったとしても、普通にこんな風にあぶっていてもあまり熱がかかりません。
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このやり方では、ヤケドしそう……。いくらドMな森田研究員でもムリっぽい。
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継続的に、手で持っていられないですよね。そこで小箱にアクリル片を入れて、温めます。
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このようにヒートガンで熱をかけると、アクリルに熱が集中します
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この状態で、何分くらい温めるんですか?
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ヒートガンなら、温め時間は何分もかかりませんよ。アクリルの質量とか、気温とか、ヒートガンのパワーにもよるので、時間を計ってやるわけじゃないです。
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フム。
でも曲げ時が分からないなー。 -
手に持ってみて、少し柔らかくなっていて、曲げられそうな気配がしたら、当ててみます。
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当てるって、どこに?
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実際に埋め込もうとしている、インナーに当てるんです。
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あー!
こうやって曲げるんだ! -
対象物に当てて曲げるのが、一番正確なアール(曲面)が出せますからね。
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間違いなくピッタリになりますね。
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インナーに当てている間は、指で押さえ続けます。
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指が熱そうですね。
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まあ、押さえる指を入れ替えたりとかしつつ。とにかく押さえ続けます。
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当ててすぐ離したら、ダメってことですね。
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離すと戻ってしまいます。熱を持った状態のアクリル自体が不安定なもの。同じ形状を保持してくれません。
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熱で不安定になっているから、曲がるんですもんね。
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少し冷えるまでは、インナーに当てて、手で押さえておく必要があります。
5ミリ厚以下のアクリル板が曲げやすい
球屋が使っている、5ミリ厚のアクリル板。
ヒートガン
このやり方はイマイチ
こんな風に温めるとよい
インナーの埋め込み位置に当てる
冷えてくるまで押さえ続けることで曲がる
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冷えてきたらアクリル板が固まって、こんな感じ(↓)に曲がります。
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おお〜!!
微妙に湾曲してますね。 -
この方法なら、確実にインナー曲面に揃います。
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なるほどぉ。
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今回は全部で5本のアクリルを埋め込むので、それぞれの埋め込み位置に合わせて繰り返します。
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ヘッドライトインナーの曲面に合わせて、全部キレイに曲がりました〜。
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一番短いアクリル板も、見た目にはほぼ真っ直ぐですが、微妙にインナー曲面に沿って曲げてあります。
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このへんも、完成度の高さの秘密と言えそうですね〜!
曲げ加工後のアクリル板
2本目は、2本目の埋め込み位置に当てて曲げる
5本とも曲げ終わったところ
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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