ヘッドライトの殻割り(カラわり)方法
序盤のコツ
球屋では殻割りに段ボールを使わない!?
それってどういうこと?
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一般的にはヘッドライトの殻割りというと、段ボールにライトを入れてドライヤーで温めますが…
●レポーター:イルミちゃん
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球屋では段ボールは使わずにシーリング部分に直接ヒートガンをあてて開ける方法を取っています。ただし、この方法は馴れていないとレンズを割りやすい。DIYでやるのにオススメということではないです。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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……あくまでも球屋流ってことですね。中・上級者向けという感じ? あいかわらず最初から重たい話の気配ですね。
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慣れが必要という点ではそう言えるかもしれません。
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あの〜、なぜわざわざ難易度の高い開け方をするんですか? ドMだから?
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レンズ面には熱を与えずに済むからですよ。段ボールの中に入れて温める方法だとシーリングだけでなく、レンズ面にも熱を加えることになりますが、ヒートガンで直接あぶるなら必要な場所だけに熱を加えることが可能です。
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ムムム……なるほど、そういう理由か。ヒートガンってパワーがあるんですよね?
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そうですね。ドライヤーとは比べ物にならないです。
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とすると、かえって熱でレンズを痛めたりしないですかね?
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はい。プラスチックなどすぐ溶かす位のパワーがありますから、やり過ぎたらレンズが溶けますよ。至近距離だと5秒も当て続けたら溶けます。
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ひええ。もしそうなったら、レンズをいたわるために段ボールを使わなかった意味がゼロですね。
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そうなんです。だからそこは注意しながら短時間で必要な場所だけ温めていくのです。
というわけで皆さん、「初心者向きではない」という点を踏まえて球屋の殻割り方法をごらんください
殻割り前の準備
モデルヘッドライト»30アルファード
ネジを取るときの注意点
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で、どういう風に進めていくんですか?
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まずネジについて解説しておきます。レンズとハウジングはシール剤だけではなくネジ留めで固定されています。
こういうネジ固定が存在する
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ネジは熱をかける前でも外せますよね。
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そうなんですけど、レンズとハウジングを固定しているネジは、基本的にはシーリングのミゾにある場合が多いんですよ。
別の車種でのよくあるネジ位置例
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それがなにか?
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まだ熱をかけてないからシーリングは固いままです。この状態でネジを外そうとすると、ネジがもしシーリングにからんでいた場合に、固いままのシーリングをグイっと回すことになる。そうするとレンズ側のネジ穴(メス)がつぶれてしまう可能性があります。
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うーむ、なるほど。
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今回外す30アルファードには、そういうネジはなかったので先に外しても問題はないですけど、これはむしろ少数派。だから僕らは通常「温めてからネジを外す」という手順でやってます。
ネジ周辺を温めてから外すのが安全策
ちなみに球屋では殻割りにヒートガンを使っているが、ドライヤーよりパワーがあるので、ネジ付近の温め時間はせいぜい5秒以下。
殻割りに入る前にレンズ面を保護
ここからは実際の作業手順です。
まずやるべきこと。
作業中の傷付きを防止するために、レンズに養生テープを貼る。
これから熱をかける境界線付近にはるとテープが溶けますので、オモテ面だけ貼ります。
✖ダメパターン。
余計な場所まで貼ると熱でテープが溶けてベタベタになり、かえって汚くなるという顛末(てんまつ)が待っている。
ここまで貼ったらダメ!!!!
その代わりレンズ面は全面やったほうがいいです。どうせやるなら完璧にやっておかないと保険の意味がないです。
全面に
殻割り作業でさわっているうちにレンズに傷が付くので、コレは必ずやっておきたい。
ネジを外す作業
ハウジングとレンズを留めているネジを外しますが、今回の30アルファードの場合はシーリングにかかっていないので普通に外せます。
続いて
レンズを留めているネジは基本的には外周部にあるので、そういうネジは全部外します。
ココも
>>>外したネジはなくさないように小袋に入れておく
ネジってなくなる。
そして作業が終わると余っている…。
ココで注意。
ハウジングとネジを留めているネジを外すときは、電動工具は使わないほうがいい。
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ネジがささっているレンズ側は、ポリカーボネイトなので弱いのです。閉めるときもトルクをかけ過ぎたら割れてしまう。だから手作業がキホン。
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これで準備OK。
次のページで、いよいよ殻割りに取りかかります。