アクリルヘッドライト加工方法(第6回)
アクリル板の種類。LEDで光らせるならどれ?
アクリルLED加工に使う、アクリル板の種類を解説。透明・ブラスト加工後の透明・乳白色・ダイヤカット・カラーのアクリル板に光を当てて、導光具合をテスト。光り方の違いを知ると、効果的な使い方やアイデアもふくらむ!
透明と乳白色アクリルの光り方の違いに注目!
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今日はアクリルLED加工に使う、アクリル板の種類についての解説です。どれを使えばいいんでしょう〜?
●レポーター:イルミちゃん
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球屋のヘッドライトアクリル加工で使うのは、主に「透明」「乳白色」「ダイヤカット」「カラー」ですね。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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4種類を使い分けているのか〜。
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ただし!
透明アクリルは、そのままでは面発光はしません。 -
試しに、LEDの光を当てると(↓)……、
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透明アクリルを「アクリルの形に面発光」させるためには、表面をブラスト加工しないといけません。
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ブラスト加工とは、表面に傷を付ける加工ですね。
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内部は透明のままで、表面だけ削ります。するとアクリルの表面だけが、光を拾って光るようになります。
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面発光させる目的で主に使うのは、ブラスト加工を施した透明アクリルですね。
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でも森田研究員、乳白色アクリルなら、最初から光るのでは?
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確かに。最初から乳白色になっているから、光ることは光りますが……、
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ただ、乳白色アクリルは、面発光はするもののLEDの光を弱めてしまいます。
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ほほう。
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乳白色だと、どうしてもブラスト加工より暗くなる。特に車のヘッドライト加工などはスペースに制限があるので、近くに光源(LED)を設置できるとは限らない。
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ライト内は狭いですからね。特に側面とか……。
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そうなんです。で、離れた位置にしか光源が置けない場合は、乳白色アクリルを先端まで光らせるのが難しかったりする。
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なるほど〜。
実際に実験してみよう。 -
今回のアクリル板も、長い辺を片側光源で光らせようとすると、乳白色アクリルよりブラスト加工のほうが遠くまで光が走るのが分かります。
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ホントだ! 導光っぷりは、断然ブラスト加工アクリルが有利なんですね〜。
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……というわけで、球屋では「面発光させたい場所」は、主に透明アクリルのブラスト加工を使っているのです。
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じゃあ、球屋のヘッドライト加工では、乳白色は使わないんだ。
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いいえ、使いますヨ。ただし見える場所には使わないだけです。
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あん?
見える場所に使わないって、使う意味あるの? -
ちょっと特殊な使い方なので、次回「アクリルをキレイに光らせる方法」の解説で紹介しますね。
透明アクリル
透明アクリルは断面しか光らない
ブラスト加工した透明アクリル
LEDの光を当てるとキレイに面発光
乳白色アクリル
LEDの光を当てると光るが……
ブラストVS乳白・導光バトル直前(光らせる前)
導光は乳白よりブラストの方が有利
ダイヤカットアクリルは後ろから光源を当てる
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次は、きらびやかなダイヤカットアクリルの出番です。
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例えばサイドマーカー風にしたいときなど、もともとレンズカットの入っているアクリルで、それっぽく(純正っぽく)見せたい場面で使います。
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確かに、レンズカットが入っていると純正っぽく仕上がりそう。
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ただ……このアクリルの難点は、光源が横からだとキレイに光らないんですね。
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まあ、光っていることは光ってますが、キラキラ感はいまひとつ?
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そうなんです。ダイヤカットアクリルは、後ろから光源を当てないとキレイには見えないんです。
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実際に車のヘッドライト加工で使う場合は、真後ろに光源が置けないことも多いので、そういう意味ではダイヤカットアクリルは使う場所を選びます。
ダイヤカットアクリル
横から光源入れてもイマイチ
後ろに光源を置けばキレイに光る
カラーアクリルの使い方
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色を入れたい時に使うのが、カラーアクリルですね。
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これは要するに、色付きのアクリル板ですね。
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そうですね。ただし、そのまま使うとあまりしっかり光らない。そこは透明アクリルと似ています。
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……ということは、コレもブラスト加工の出番?
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ハイ。球屋のLED加工でも、カラーアクリルを使うときは、基本的にブラスト加工しています。
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青いカラーアクリルにブラストをかければ、この通り、青でキレイに面発光します。
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あの〜。
森田研究員? -
はい?
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ちょっとギモンなんですけど。光源を青LEDにすれば、透明アクリルブラスト加工だって青く光りますよね?
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そうですね。
それでも青く光ります。 -
とすると、青いカラーアクリルを使うのと、どう違うんだろう?
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カラーアクリルなら、光源が白一色でもいろいろな色に光らせることができますからね。例えばLEDは白のみで、部分的に白と青に光らせたいときなどは、透明アクリルブラスト加工とカラーアクリルを組み合わせたりもします。
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なーるほど。青LEDを使ってしまうと、そういう風にはできませんね。
カラーアクリル
ブラスト加工したカラーアクリルで面発光
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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