工具の姿置きを進化させる、KTCの発泡樹脂トレイ
工具の姿置きについて、イメージではなく具体的なメリットを解説。今年のKTCの工具セットは、発泡樹脂トレイの新採用で「工具の姿置き」に注目すべき進化があった。単に並んでいるだけではない、マニアックなこだわりがわかる。
工具の姿置きのトレイを、発泡樹脂に変えたメリット
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「KTCの工具セットの限定色・パステルカラーが予想外の人気になっている理由」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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工具箱の限定カラーの話が先になってしまいましたが、今年のKTCのSKセールにおける一番のトピックは、「二層式発泡収納トレイ」を採用したことです。
●アドバイザー:KTC トリー研究員
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ハッポウ……トレイ?
●DIYラボ別館 ユキマちゃん
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工具箱の中で、工具を姿置きするトレイの材質の話です。従来は硬質系のプラスチックを使っていましたが、新しいタイプは発泡樹脂です。
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トレイの材質が変わったんだ。
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そうなんです。発泡樹脂にもいろいろと種類がありますが、例えばこの両開きメタルケースのトレイは、EVAという素材です。
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イー ヴイ エー?
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サンダルやビート板で使われたりする素材ですね。
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もしかして工具を水に浮かべる気?
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そんなわけないし。
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……そうではなくて、一番大きなメリットは、「二層式」にできたことです。
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二層式?
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よく見て頂くと、トレイが下層と上層に分かれていて、2色使いになっています。
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あ、ホントだ。表面は黒で、工具を入れる部分だけ赤になっている。
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これはどうして、2色なんでしょう?
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赤×黒でカッコいいからよ。
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それだけではなく機能的な意味があって、使用中の工具が一目見て分かりやすくなるのです。
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ほお。
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お出かけ中の工具がハッキリ分かる!
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む。
ということは…… -
ちょっとユキマちゃん、ラチェットハンドルどこやったのよ! また片付け忘れているじゃない!!
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あ……う。
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……という具合です。工具を戻していないことが分かるので、工具の紛失リスクを減らせます。
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素晴らしい工具箱!
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なんという、余計な機能……。
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まあ、工具の紛失は、DIYに限らず、プロの作業現場でもよくある話ですので。
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で・す・よ・ね。
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ユキマちゃんにそんなフォローはしなくていいですよ?
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それから、紛失と同じく多い失敗が、なくしたと思って、重複して購入してしまうケース。
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そういえば私、プラスドライバーの2番、何本も持ってるよ。
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……。
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そういう話は、工具をガサ入れしている収納だと、ありがちです。
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私は悪くない、ということね。
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DIYラボの総務課として、ガサ入れ廃止を提案します。
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姿置きには、そういったミスを防ぐ効果もあります。
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工具の姿置きって、カッコだけじゃなかったのか。
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もちろん見た目の美しさにもこだわっていまして、細かいことを言うと、ソケットレンチの収納スペースは段差が設けてあったりします。
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あ、本当だ。
トレイが階段状になっている。 -
ソケットレンチは、口径サイズによって高さが違うんですが、こうすることで並べたときに高さが揃います。
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う~ん、美しい〜〜!
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(……ソケット1個なくしただけで、大騒ぎされそうね。)
工具箱を移動させるときの音を吸収する発泡樹脂トレイ
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発泡樹脂トレイのもうひとつのメリットは、「音がしにくい」点です。
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音って?
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硬質系のプラスチックを使ったトレイは、工具箱を移動しているときに工具が当たると、音が出やすい。それがけっこう響くんです。
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そうなんだ。
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チェストタイプのような据え置き型の工具箱だと、気になるシーンは少ないですが、持ち運び前提の両開きケースなどですと、運ぶときにガチャガチャ音がしやすい。
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つまり、両開きメタルケースにとっては特にメリットが大きいのが、発砲樹脂トレイなんですね。
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でも、トレイの素材を変えたところで、工具同士が接触するところからは音は出るよね?
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もちろんそうなんですが、発泡樹脂は音を響かせず、吸収する効果もありますよ。
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へー!
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だから、工具同士の接触音もある程度は吸収して、耳障りな音はだいぶカットされますね。
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工具箱まで静音化の時代なのか。
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これは、べつに作業性を上げる話ではないんですが、人間のメンタル面への悪影響を減らす意味では重要です。
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工具を大切にしている人には、カチャカチャ音は精神衛生上よろしくなさそうだし。
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そんなのみんな気にしているのかな?
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……と思うかも知れませんが、実際に販売開始してみると、プロの現場の方からも「音がしないのが良い」という意見を、思いのほか多く頂いております。
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へぇ~。
意外とみんな音を気にしていたのか。 -
そのようです。
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その気持ち、わかります。気分良く作業に入れそう。
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姿置きのほうが、工具を取り出すときにモチベーションも上がるしね。
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使ったらちゃんと戻してよね? 今度から一目瞭然なんだから。
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うるさく言われそうなのは、姿置きのデメリットね。
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……。
家に持ち込むのにも最適な、両開きメタルケース「EK-10Aシリーズ」
DIY Laboアドバイザー:トリー研究員
KTC・ブランド戦略部に所属。『なるほど!工具ノート』でおなじみの「朝津かな」さんの先輩にあたり、工具のイロハを教えた師匠のひとり。多忙な中でも、工具のことについて質問されるとトークが止まらなくなる生粋の先生気質。
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