塗り分け塗装の知識
マスキングペーパーとは、どんな使い方をするのか?
大型パーツの塗装前のマスキングに登場するマスキングペーパー(マスキングロール紙)の使い方を、板金塗装のプロに取材。長年の経験上のアドバイスだけに、学ぶことは多い。
マスキングペーパーの使い方
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「塗装前のマスキングテープの貼り方講習(第3回)」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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マスキングテープの貼り方としては前回までに解説した通りですが……
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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フムフム。
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しかし、本番の塗装前のマスキングにおいては、「塗らない部分」はすべて覆っておく必要があります。
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そりゃそうですね。
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小さいパーツならともかく、サイドステップぐらいの大きさになると、太いマスキングテープ(40ミリなど)を重ねていくのでも手間です。
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確かにマスキングテープだけで……というのは、効率が悪そう。
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そこで使うのが、マスキングペーパー(マスキングロール紙)です。
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広い面積を一気に「がばーっ」とカバーできますね。
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これをマスキングテープに続けて貼るには、のりしろ(貼りしろ)がある程度ないと作業しにくいので、24ミリのマスキングテープなどで少し面積を稼いでおきます。
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ラインテープ→15ミリ→24ミリときて、次がマスキングペーパーね。
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ここで、僕のやり方としてはまず、マスキングペーパーを半分に折り曲げます。
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ほう。
二つ折りにするんだ。 -
というのも、マスキング用とはいえ紙なので、塗料を吸って滲んでしまう可能性もあります。モノにもよるでしょうが。
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だから折り曲げて二重にして使うんだ。
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そうですね。それと二重にする理由がもうひとつあって、マスキングペーパーには「ツルツル面」と「ザラザラ面」がありまして……
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触ってみると感触の違いで分かりますね。
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「ツルツル面」は塗料を弾くので、普通に1枚で使うとしたら、ツルツル面を上にして貼ることになりますが……
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フムフム。
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しかし、そうすると、塗り分けの場合は、すでに塗装済みの面に対して「ザラザラ面」を当てることになる。
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塗り分けのマスキングだと、そうなりますね。
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そのせいで、シンナーなどが浸透した場合に、ザラザラが下の塗装面にひっついたりすることがあるんですよ。
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……ど、どうなるの、ソレ!?
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いや、べつにシリコンオフで拭いたら取れるんですけど、余計な作業が増えるし、そもそも付着しないほうがいいでしょう?
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そりゃそうですね。
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塗り分け塗装時のマスキングは、両面とも「ツルツル面」にしたい。それでザラザラ面が内側に入るよう、折りたたんで使うんです。
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なるほどねぇ。
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ただ、これは決まりではなくて、あくまでも僕の場合は……という経験上のアドバイスです。
足付けとマスキングに9割の手間をかけるイメージ
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折りたたんだマスキングペーパーは、マスキングテープで貼り付けながら全体をカバーしていきます。
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細いマスキングテープだと貼りにくいので、24ミリのマスキングテープを使っています。
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アール(曲線)の部分は、マスキングペーパーを小さめにカットして貼るんですね。
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あとは、裏側まで巻き込んでしっかり固定して……
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塗り分ける部分以外は、すっかりくるみました。
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これでやっと塗装する準備ができたわけかぁ。
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逆に言うと、塗り分け塗装の手間は、ここまでの作業で9割以上です。
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……なるほど。
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塗るのはほんの一瞬……10分、15分の世界ですから。
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特に塗り分けによく使うマットガンメタの場合は、クリアも吹かないので、磨きも必要ありませんので。
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フムフム。
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3回ぐらいガンメタを重ね塗りして、終了です。
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最後は意外とアッサリ終わるのね。
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塗装が乾いたら、マスキングを剥がしますが……
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あとはバリバリ剥がすだけ!
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……。
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……違うの?
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塗り分け塗装は、最後のマスキングを剥がすところが一番重要なシーンですよ。「剥がし方」というものがある。
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塗り終わってもなお、油断はできないようです。
✔ 塗装方法は、「缶スプレー塗装に必要なもの。プロと同じ作業を身近なアイテムで」参照。
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