塗り分け塗装の知識
塗装前のマスキングテープの貼り方講習②
塗装をする前のマスキングをプロに学ぶ〈マスキングテープの貼り方講習〉の続き。今回は「足付け前のマスキング」と「塗装前のマスキング」の違いを、実際の作業の流れに当てはめて解説。各マスキングの果たす役割が明確にわかる。
足付け前のマスキングと、塗装前のマスキングは別モノと考える
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「塗装前のマスキングテープの貼り方講習(第1回)」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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前回貼ったマスキングは、正確に言うと塗装用ではなく、塗装前の足付け(※)用のマスキングです。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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そういえば塗装の前には、足付けをしなければ。
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足付けのときは、塗装する部分だけに傷を付けたいので、他の部分は保護しておく必要があります。
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「ペーパーがけから塗装面を守るため」にマスキングしていたんだ。
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そういうことです。なお、足付けは800番のサンドペーパーを使うことが多いですが、ガンメタのような濃い色の塗り分けなら600番でも問題ないです。
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で、僕の場合、足付けが終わったら、いったんマスキングテープを全部剥がしてしまいます。
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あれ?
まだ塗装してませんけど? -
改めて、もう一回マスキングを貼り直しますので。
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だったら剥がさなければいいじゃない!
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もちろん剥がさないでそのまま塗ってしまう人もいます。そういう人のほうが多いかも知れません。
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それのなにがダメなの?
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足付けというのは、ようするに表面に傷を付ける作業ですから、マスキングしている部分も触れればゲジゲジになるわけですよ。
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あー。
マスキングテープも削ってしまうから。 -
フチにはラインテープを使っているので、紙テープよりは削れにくいですが、汚くなるのは避けられません。
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ふむ。
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ということは、当然、そのまま塗装すれば境界線ラインも汚くなるリスクがある。
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そこにはペーパーが当たらないように、慎重に削ったらどうなの?
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そういうやり方だと、けっきょくフチの部分の足付けが甘くなります。
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……そういうことね。
※「足付け」は表面に傷を付けて、塗料の密着性を高めるための作業。足付けしないで塗ると、塗装が剥がれやすい。
✔ 基礎知識は、「FRPパーツの下地処理。〈足付け〉のやり方は?」参照。
塗り分ける境界線ギリギリこそ、しっかり足付けを
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塗り分ける境界線ギリギリのフチまでしっかり傷が入っていないと、あとでラインテープで塗装を切るときに、テープに持って行かれる(剥がれる)可能性があります。
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飛び石を別にすれば、塗装が剥がれ始めるのは、だいたいフチから。フチこそが重要なんです。
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フチは特にしっかり足付けを!
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そうなると、マスキングテープまでかかるようにペーパーを当てざるを得ない。
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確かに。
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その意味でも紙のマスキングテープではなくて、フチにはラインテープを使っておく、という点がまずは重要です。
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紙のテープだと、ギリギリのフチまで攻められません。
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結果、足付けが甘くなる。
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しかしラインテープといえど、ペーパーを当てたら無傷ではいられません。だから本番の塗装前に貼り直したほうが無難なのです。
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そうなりますね。
ちゃんとやろうとすると。 -
……で、どうせ剥がすんだったら、最初の足付け用のマスキングは、境界線付近だけでいいじゃないか、という考え方もありますよね。
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足付け用のマスキングとしては、これでもいっか。
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ただ、ペーパーを当てるときって、思ったより手の動きが大きいんですよ。
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けっこう必死にシャカシャカ磨いてるもんね。
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もしも、塗装面にペーパーを当ててしまったらアウトですから「保護」の意味では、全面的にマスキングするほうが無難です。僕の場合はやる、という話ですけど。
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そのかわり、境界線から離れた位置に貼る太いマスキングテープは、丁寧に貼る必要はないです。
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最後はキレイに貼る必要はないって、前回言っていたのはそういうわけか。
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きっちりキレイにやるべきなのは、本番の塗装前のマスキングですね。
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足付け用のマスキングと、塗装用のマスキング、それぞれの意味を考えて貼りましょう、ということですね。
最終的に、ラインテープを剥がしながら、塗装のフチを切る。
ラインテープ+18ミリのマスキングテープ。境界線のみ保護するシンプルなマスキング。
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