塗り分け塗装の知識
塗り分け塗装の段差を、小さくしたいなら…
塗り分け塗装では、境界線に段差ができてしまう。しかし塗料は色によって重ね塗りする回数が違うので、段差を小さくすることは可能。塗り分けに精通したプロがよく使う、段差が付きにくい色とは。
トマリがよく、クリアも塗らないマットカラーは塗り分けに有利
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「塗り分けにガンメタを使うのは定番だが、そこには理由がある」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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ガンメタや黒のような濃い色は「トマリが良い」ので、重ね塗りする回数が少なく、塗膜を薄くできるメリットがあるのは前回お話した通りです。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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それによって、塗り分けた境界線の段差を小さくできる。
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そうですね。だから塗り分けに向いていると言えますが、もっと有利なのがマットガンメタです。
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マットガンメタって?
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マットカラーとは艶消し。マットガンメタは「艶消しガンメタ」という意味です。
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フムフム。
それが有利なのはなぜ? -
艶消しということは、クリアを吹かなくていいからですよ。
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その差は、大きい?
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クリアだけでも、3回位は重ね塗りして艶を出していくことが多いですからね。
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黒・ガンメタのように濃い色は、3回位の重ね塗りで塗れるケースが多いですが、黒もガンメタも「艶ありカラー」なのでクリアを吹く。その分の厚みまでは減らせません。
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それぞれが3回の重ね塗りだったとしても、合計6回分の塗料の厚みが、段差になるってことですね。
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しかし、クリアを吹かなくていいマットガンメタなら……
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クリアの3回分もなくなり、トータル3回程度の厚みで済む、という話になってくる。
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段差が半減するんだっ!
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マットガンメタであれば、境界線の段差はごく小さなものになります。
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だから、ほんだ塗装では、エアロの塗り分けにマットガンメタを用いるのは定番なんですよ。
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ナルホドぉぉ。
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ただし、マットガンメタにはメリットもあればデメリットもあります。
オレンジのサイドステップを、艶あり黒で塗り分けした例。
マットガンメタ塗り分けの例。平面部分を至近距離で見ても、塗膜の段差をほとんど感じさせないレベル。
マットガンメタ塗り分けのメリットとデメリット
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マットガンメタ塗り分けのメリットを、全部言っておきましょう。まず「補修がしやすい」。
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それはなぜ?
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理由はやはり、クリアを吹かなくていいですからね。修理したあと、その部分だけシューッとガンメタを吹けば済みます。
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補修の工程がシンプルになる。
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通常のガンメタや黒のようにクリアを吹く場合は、艶が出てくるからムラも気にしないといけない。クリア塗装のあと、磨きなどの作業も必要になります。
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クリアって、いろいろ工程が増えるんですね。
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そうなんです。先に補修のことを考えるのもなんですが、エアロの塗り分けでは意外と重要な話です。
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……エアロは擦ったり割ったりするから、ね。
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ましてや、エアロで塗り分ける部分は、リップ部やフラップ・ディフューザー等、位置的に下のほうが多い。
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言われてみればそうだ。
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地面からの打撃を受けやすいポイントを塗り分けるなら、補修しにくいのはデメリットになりますよ。
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さすがほんだ塗装は、エアロの塗り分け経験が豊富なだけあるなァ。
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いっぽうマットガンメタにも、デメリットはあります。
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艶がないこと?
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まあ、艶アリ・艶消しは、好みのモンダイだから横においておくとしても……
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……ふむ。
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ガンメタは、その名の通りメタリック塗装ですから、本来は仕上げにクリアが必要です。
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そういうもんなんだ?
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だって、メタリック・パールなどは粒々が入っていますからね。クリアで保護しておかないと、雨や風でだんだん粒が飛んでいってしまいます。
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……あらま。
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これを、業界用語で「メタリックが飛ぶ」などと言ったりします。
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リアルに飛んでいってしまう。
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長い目で見ると、そんなデメリットもあります。
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でもマットガンメタは補修がラク、というメリットでカバーできる問題ではありますね。
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そうですね。そして、その点を除けばマットガンメタ塗り分けは万能です。ベース色が黒でもシルバーでも白でも、何にでも似合うし。
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白×マットガンメタっていうのもアリなんだ。
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白ベースに黒の塗り分けはコントラストが強すぎるから、少し抑えてガンメタを使う人は多いですよ。
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なるほどね。
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ガンメタは、黒とシルバーの中間的な存在だから、ほとんどのベース色に対して、塗り分けに使える色と言えます。
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マットガンメタはいろいろな意味で、塗り分けに最適なようです。
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