塗り分け塗装の知識
マスキングテープの剥がし方。塗装が剥がれる事故はなぜ起こるか?
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マスキングテープの剥がし方。マスキングテープは、注意して剥がさないと塗装が剥がれる可能性がある。ここまでやってその結末は痛恨の極みなので、マスキングテープの理想的な剥がし方&ダメな剥がし方の例を覚えておきたい。
マスキングテープを雑に剥がすと、塗装も剥がれる
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マスキングテープの貼り方は以前に勉強しましたが「貼る知識」だけでは、不十分かもしれません。
●レポーター:イルミちゃん
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塗装が乾いたあとの「マスキングテープの剥がし方」にもコツというか、注意点があります。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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それではマスキングテープを剥がすときの注意点を教わりましょう。
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まず「もう塗装が乾いているから」と、ぶわーっと一気にはがすのはNGです。
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しかし塗装が完全に乾いていれば、どう剥がしても、結果は同じような気がするんですけどね……?
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いやいやいや。塗料は、マスキングの上にものっている状態ですよね。
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ふむ。
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つまり塗装面とマスキング面は、塗料でつながっているのです。こんな風に(↓)
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だからマスキングテープを剥がす作業は、「塗装(塗膜)を切る」作業でもあるのです。
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あ~。
そういうふうには考えてなかったな。 -
境界線の部分は最終的に「塗装を切る」ことになります。切れてもいないのに、めくり上げる方向の力が加われば、残すべき塗装まで剥がれる可能性があります。
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恐い……。
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それを防ぐために重要なのは、マスキングテープを貼ったときとは、逆の順番で剥がすということです。
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ホー。
塗り分け塗装直後のサイドステップ。マスキングを剥がす前。
マスキングテープの理想的な剥がし方
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マスキングをどういう順番で貼ったのか、思い出してみましょう。
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一番最初はラインテープを貼って、その上から15ミリのマスキングテープ→24ミリのマスキングテープ→マスキングペーパーの順番に貼りました。
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……ということはまず、マスキングペーパーから剥がす、ということです。
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なるほど。
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今回のサイドステップ塗り分け塗装のマスキングを例にすると、まずはマスキングペーパーを最終的に巻き込んで固定した、裏面の固定から剥がします。
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マスキングしたときの最後の作業が、剥がすときの最初の作業になる。
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そして、その後も、なるべく段階を分けて剥がしていきましょう。
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特に注意すべきなのは、ラインテープに重なっているマスキングテープなどを剥がすとき。
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ふむ。
重なり部分に注意。 -
このマスキングテープをブワーっと乱暴に剥がすと、ラインテープもいっしょに持って行かれて、塗装がベリベリっと剥がれかねません。
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ラインテープだけを残すように、慎重にマスキングテープを剥がましょう。
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だからこそ、最初にマスキングテープをラインテープに重ねるときは、半分くらいにしておきたいのです。
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重なる面積が広すぎると、いっしょに剥がれやすい。これを覚えておきましょう。
工程① | ラインテープを貼る |
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工程② | 15ミリのマスキングテープを貼る |
工程③ | 24ミリのマスキングテープを貼る |
工程④ | マスキングペーパーを貼る |
マスキングペーパーを剥がす
24ミリのマスキングテープを剥がす
15ミリのマスキングテープを剥がす
マスキングテープの剥がし方として、ダメな例
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……フーム。
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あれ?
なにか疑問でも? -
一気にブワーっとマスキングテープを剥がすのはダメ、というのは分かりますけど……
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……けど?
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べつに逆の順番で剥がさなくても、最初からラインテープをそーっと丁寧に剥がして、塗装を切っていけばいいんじゃないの?
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最初からラインテープまで、まとめて剥がすってことね。
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そうそう。
あくまでも丁寧に、そーっとね。 -
あえてそういうやり方をしてみましょう。一気にまとめて剥がそうとするとどうなるか。
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お、なにも問題なく塗装が切れていますよ! このほうが早いし!
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しかし、このまま剥がしていくと、すぐにこんな状況(↓)になっていきます。
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この剥がし方のなにが問題って、まずマスキングペーパーがジャマなんですよ。ガサガサガサガサ!
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はうっ。
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1本のマスキングテープを剥がす作業なら、そのテープの幅だけを剥がせばいいけど、いっぺんに剥がそうとすると、剥がれたものがどんどんジャマになっていきます。
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確かにそうだ
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そのうちに、変な方向から力をかけて引っ張ることにもなっていきます。
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……それはマズイ。
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だから先に、ジャマなマスキングペーパーを剥がす。そのあとマスキングテープを貼った逆の順番で剥がす。そうすれば、無理な力をかけずに、ラインテープのみの状況まで近づけるのです。
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なるほどね。
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そして最後の「塗装を切る」重要な作業は、すっかり邪魔者がいなくなって、もっともやりやすい環境を作った上でやります。これがマスキングテープの剥がし方のコツ。
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剥がし急がないように。
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……そして、いよいよラインテープで、塗装を切るように剥がします。
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