パドルシフトスイッチの移植方法を、加工のプロが明かす…!
パドルシフト移植は〈球屋〉の人気カスタムメニューだが、パドルシフトがない車種のステアリングに、どうやってパドルシフトスイッチを付けているのか? プロの加工者に作業工程を見せてもらうレポート・パドルシフト移植編。
パドルスイッチ移植の方法を球屋が詳細に解説…!
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「球屋が90系ヴォクシーのパドルシフト移植に成功…!」でお伝えしたパドルシフト移植。球屋の得意メニューですが、その極意に迫ってみましょう。
●DIYラボ:イルミちゃん
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ひと言で言えば、超音波カッターを使ってステアリングの背面カバーを加工して、パドルシフトスイッチを埋め込む……という作業ですね。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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今回モデルにするステアリングは、カローラクロス。これにクラウン用パドルシフトスイッチ(↓)を埋め込む作業工程を、詳細にレポートします。
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まずは車からステアリングを外して、スイッチ類と背面のカバーも外します。
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もともとパドルシフトが付いていない車種のステアリング背面には、取り付け穴もありません。
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そこでこのあたりに穴を開けて、パドルシフトスイッチを埋め込みます。
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なんのガイドもない中で、穴を開けるのって難しそうですけど…。
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球屋でお客さんの車を加工するときには、独自の専用ガイドをはめて、マーキングして切りますが、これはすでに同車種で埋め込んだ例があるからできるやり方です。
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ふむ。加工実例データがある車種ならば。
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はじめて埋め込む車種の場合は、少しずつ切り進めながら、合わせていくほかありません。
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今回のやり方は、データがない「はじめて挑戦するステアリング」の想定です。でないと参考にならないので。
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ステアリング背面カバーの裏側には、いちおうガイドらしきものがあります。
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このガイド内に、パドルシフトスイッチを収めるイメージでカットします。
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ただしこれはイメージです。実際にこのラインで切っていいかどうかは、この段階ではまだ分かりません。
部品として用意したのはクラウン用のパドルシフトスイッチ。
ステアリング背面カバーを切って、パドルシフトスイッチを移植する
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おそらくは裏面のガイドの間にスイッチが収まるのではないか? と予想されるだけで、正確な位置は分からないので、まずは超音波カッターで小さめに穴を開けます。
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使う工具は超音波カッターですね。ヘッドライト加工やテールランプ加工では、必須の道具です。
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最初に切るときの注意点は「切りすぎないこと」です。
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これはあくまでもベースです。このサイズの穴では、まだまだパドルシフトスイッチが入りません。
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ここから少しずつ、穴を切り広げていくんですね。
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そうですね。ただ、ひとまずこの段階でステアリング側に背面カバーを戻します。
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え…? まだベースの穴を開けただけなのに、もう付け直すの???
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ステアリング側のネジ穴と、パドルシフトスイッチ側のネジ穴をピッタリ合わせる必要があるからですよ。
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ネジ…?
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パドルシフトスイッチはネジで固定するものなので。
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しかし、もともとパドルシフトスイッチが付いてなかったステアリングですが……
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それでも、ステアリングの骨組み側には「ネジ穴」があります。これは80ハリアーに移植したときも同じでした。
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なんと…そういうことか。
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いっぽう、パドルシフトスイッチ側には「受け」がありまして…
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この両者の位置が一致する位置関係で、パドルシフトスイッチを埋め込まななければなりません。
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そうなるように、背面カバーをくり抜くってこと……?
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単にスイッチのカタチにくり抜くだけでは、固定ができませんからね。
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埋め込み位置がちょっとでもズレたら、ネジ固定できなくなるんだ。
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ですので、まずは小さな穴を開けて、両者のネジの位置関係も見ながら、慎重に切り広げていく必要があります。
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ひえぇ。だいぶ難しそう。やってみないと分からない感が半端ない。
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楽しいですよね。でもこういう加工はまさかいきなりお客さんの車ではできませんので、デモカーで試すわけです。
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……ナルホド。そうやってデータを取って、型通り切れるようにして「パドルシフト移植」がメニュー化できているんですね~。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。