パドルシフトスイッチ移植加工方法②(埋め込み穴の開け方)
パドルシフトスイッチ移植を成功させた〈球屋〉で、その作業工程を見学する連載。今回はこの技の難関・埋め込み用の穴開け加工。移植するパドルシフトスイッチがピッタリ収まる穴にするべく、極めて少しずつ、削ぐように切り進めるための工夫がわかる。
パドルシフトスイッチ移植のための穴開け加工
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●アドバイザー:球屋 森田研究員
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球屋がどうやってパドルシフトスイッチ移植(埋め込み)をやっているのか。その仕組みというか理屈は、前回説明しました。
●DIYラボ:イルミちゃん
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パドルシフトの設定がないカローラクロスでも、ステアリングの骨組みにはパドルシフトが取り付けできる「ネジ穴」が開いています。
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これを利用して、パドルシフトスイッチ側のネジ穴(ネジの受け)と、ステアリング側のネジ穴が一致する位置関係で埋め込みます。
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その理屈は理解できましたが、実際にそんなピッタリの穴が開けられるものなのか……? なんのガイドもない中で。
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まず小さめの穴を開けて、そこから先は様子を見ながら、切り広げていきます。
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こちら(↓)が最初に超音波カッターで開けた穴。パドルシフトスイッチに対して、かなり小さめです。
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ここからどう広げていくのでしょうか。
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マスキングテープを使って、おおむねで水平垂直のラインを引きます。
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それから、指でカバー裏側のガイド位置も確認しながら、切っていきます。
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む? しかし、このラインの四角もまだまだ小さい気がするよ。
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そうですね。マスキングテープのラインは「少しずつ切るための目安」に過ぎません。
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そうなんだ。
いきなりゴールを目指さない。 -
そして超音波カッターで穴を広げるときは、少しずつ、削ぐように切っていきます。
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アップで見ると、ものすごく薄く少しずつ削いでいるのが分かります。
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ガイドとして貼ったマスキングテープぎりぎりまで削いでいきます。
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マスキングを貼ってからは、厳密に切っています。
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マスキングをして1回目のカットが終わったところ(↓)ですが、パドルシフトスイッチを当ててみても、まだまだ入りません。
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さらに少しずつ穴を広げていきますが「切っているラインと裏側のガイドの位置関係」、そして「ネジ位置」は常に意識しながら作業を進めます。単に穴を広げる……ではNGです。
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それを踏まえて、1回目に貼ったマスキングからは少しズラして、2回目のマスキングテープを貼ります。
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次はこのオフセット分を削いでいくんだ。
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なおこの段階では上下の線はあまり広げ過ぎたくないので、左右のラインだけを広げていきます。
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削いだところと、削いでいないところのビミョウな違いが分かるでしょうか。こんなに慎重に切り広げていたんですね~。
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これを繰り返していくと、あるところでスポッと入ります。……が、このまま進めるだけでは失敗パターンが待っていると(経験上)分かっています。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。