イルミ電源・IG電源・ACC電源といったアナログ制御の12V電源線は、近い将来なくなるかも?
イルミ電源・IG電源・ACC電源は、どれもあって当たり前のもの。今はそうとしか考えられないが、それらが消滅するかもしれない。これは遠い未来の話ではなく、すでにその方向性を備えた電気自動車が街を走っている。この現実に、電装DIYはどう対峙できるのか。
Honda e のドア内張りをバラしてみて、分かったこと
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近い将来「車の電源取り出しの概念」も変わりそうだ、という話をしたいと思います。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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ほほう。
確実に重たい話になりそうなテーマですな。●DIYラボ:イルミちゃん
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実は先日、球屋の常連のお客さんが、Honda e に乗ってきてくれたんですね。
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ホンダの電気自動車で、LEDカスタムですか~。先進的で面白そう♪
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で、「何か出来そうなことやってよ」と言われまして、そのお客さんの要望を踏まえ、アンビエントライトを仕込もうということになったんですね。
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アンビエントライトは、人気のLEDカスタムですね。以前にレポートしたことがあります。
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この技をやるためには、ドアの内張りをバラして、LED光源を仕込み、ドア内で電源を取りますが……
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そこで、Honda e のドア内張りをバラしたときの写真がこちら。
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バラしてみた結果分かったこととして「ドア内に、取れそうな電源の線がぜんぜんない」んですよ。
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全然ない?
そんなのアリ? -
ドア内には、イルミ電源・IG電源・ACC電源といった、従来の電源線がないのです。
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イルミ電源などは、ドア内で取れないことは今までにもあったのでは?
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いや。今の車に関しては、たいがい運転席ドア内にはイルミ電源もありますよ。助手席ドアや後部座席ドアは別にしても。
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ふむ……。
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ところが、Honda e には何も電源がないんです。
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でも最低限、パワーウインドウ用のIG電源は通っているんじゃないの?
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無いんですよ。
そもそも、そういう概念ではないんです。 -
そういう概念ではない!?
どういうこと?
アナログ的な12Vの電源線は、消滅に向かうのかも!?
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ドア内で電源が取れないといっても、配線が通っていないわけではないですよね。
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もちろん。
ドア内にも配線は通っているんだけど…… -
それはけっきょく、「ACCオンで12Vの電気が流れる」とか「IGオンで12Vの電気が流れる」といった、アナログ的な電源線ではないのです。
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つまり、そういう配線も含めてコンピューター出力の線に変わっている……?
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おそらくそういうことなんでしょうね。日帰りのお客さんだったので、時間がなくて正確なところまで調べてはいませんが。
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……さすが電気自動車。今までの車とは根本的に電装周りも変わっていそう。
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ですね。アナログ的な12Vの電源線っていうのは、今後どんどんなくなるんだろうな、という気がします。
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そうなったら、どうすればいいんだろう?
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何かを後付けするときは、常時電源をとって、専用の独立スイッチで制御することになる日も近いかもしれませんね(^^;
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では、そのHonda e のお客さんは、どうなったの?
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エンジンオンに連動して光るアンビエントライトをやりかたったけど、けっきょくその日はできなかったんです。
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なるほどね~。
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でも、「時間をかけてちゃんと調べたらできるかも?」とは言ってあるので、近いうちに車を預かって徹底的に調べる予定ではあります。
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続報を待ちましょう。
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まあ、でも……そろそろ一段階、ステージが変わりそうな感じはしますね。
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電源取り出しひとつとっても、今まで当たり前だったことが通用しなくなりそう。
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そうなったらなったで「新しい時代は、こういうやり方をしたら電源を取れるよ」というのを、DIYラボ上でもガイドしていけたら思います。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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