ルーフデッドニング完全ガイド(第5回)
車のルーフ(天井)デッドニング方法
ルーフ(天井)デッドニング方法・最終回。工程は至ってシンプルで鉄板の脱脂をして、制振材と吸音材を貼ればよい。難しくはないのだが、天井に施行するので肉体的にはややハード。
天井の鉄板がムキ出しになったら脱脂作業
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●レポーター:イルミちゃん
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前回までの作業で、ルーフ(天井内張り)がようやく外せましたね。
(↓)●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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内張りのなくなった天井は、「まさに鉄板!」という感じです。
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純正でも少しばかり制振材が貼ってありましたが、これは剥がしてしまいます。
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例によって、まずは鉄板を脱脂しておきましょう。
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脱脂ができたら、ルーフ(天井)デッドニング開始ですね~。
パーツクリーナー等で油分を除去する。
ルーフ(天井)デッドニング用の制振材を用意
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まずは、ルーフデッドニング用の制振材を用意します。
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なぜこの制振材を使うのかは、以前に解説しました。
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この制振材は1枚モノなので、切り分けて使います。
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どう切ればいいんだろう?
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ここでは一例として、12等分にカットします。
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まず縦に半分の線を入れたあと、7.5センチずつで横線を入れると、12等分できます。
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おお。
なるほど。 -
といっても、切り方が決まっているワケではありません。あくまでも参考例です。
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ふむふむ。どう切っていいか分からないときの参考に、ってことですね。
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ハイ。ようするに、ある程度細かく切り分けることで、天井に平均的に制振材を貼りたい、ということです。
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しかし、12枚の制振材では、車のルーフ(天井)全体に貼るには足りない気がしますね。
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そうですね。今回のモデル車(スペーシア)は軽自動車ですが、それでもシート2枚分ぐらいはほしいところです。
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……ということで、今回は制振材を2枚用意して、合計24枚に切り分けました。
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ミニバンクラスになると、制振材は3シートぐらいが理想的かもしれません。
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さて!
これでようやく、天井に制振材を貼れるぞ。 -
といっても、いきなり本貼り圧着するのではなく、まずは「仮」で貼りながらレイアウトを考えましょう。
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確かに。先にバランスを考えないと、足りなくなったり余ったりしそうだ。
ルーフにも使える制振材
チョキチョキ……
✔ 制振材のカットは粘着剤が付着しないよう、フッ素コートされたハサミで切る。ここで使っているのは、エーモンのデッドニングハサミだ。
ルーフ(天井)鉄板への制振材の貼り方
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ところで中塚研究員……よく見ると天井の鉄板には、凹凸がありますね?
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強度を出しつつ鉄板を薄くするために、このような凹凸があるんです。
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なるほど。
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傾向として、最近の車の天井はどれもこんな感じになっています。エコのために軽量化優先で、鉄板がどんどん薄くなっているので。
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なるほどね。天井の鉄板に制振材を貼るときは、この凹凸をよけて、タテ向きに貼るのでしょうか?
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凹凸といってもこの位の段差であれば追従できるので、このようにヨコ向きに貼ることもできます。
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天井の鉄板の凹凸を、またぐように制振材を貼っていますね。
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補強という意味では、純正の補強(凹凸方向)とは向きを変えて貼るほうが、より効果的だとは思います。
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ナルホド。
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まずは、運転席&助手席の真上あたりに、このように6枚貼ってみました。
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柱はよけて、貼っていけばいいですね。
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天井の柱のところは強度があるので、制振材を貼るのはあくまでも「平面部分」が優先です。
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では、柱をまたいで、次の平面ゾーンに貼ります。
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お次は、ラゲッジルームの上空エリア。ここにも、6枚の制振材を貼りました。
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……おや?
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どうかしましたか?
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1エリアに6枚ずつ貼ってきたところ、合計で18枚。……まだ6枚も余ってしまいますが?
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……フッフッフ。
それも計算に入っていますよ。 -
(ほ、本当だろうか?)
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え~っと、そのような余りが出た場合は、やはり運転席&助手席に近い、フロントの静音性を重視しまして……このような場所(↓)にも貼ります。
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最初に貼った場所よりさらに前だ。柱と柱の間にも貼りました。
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さらに、スペーシアの場合、この太い柱の中にも手が入りますので……
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この穴(ルームランプの穴)から制振材を入れて、内部にも貼っておきましょう。
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ふむ。ここまで来て、余らせるぐらいなら、貼れる場所を探したほうがいいですね。
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これで、24枚の制振材(2シート分)を全て貼りました。
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終わり~!
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では、ありません。
まだ圧着していないじゃないですか! -
そ、そっか。
まだ「仮」で貼っただけだった。 -
圧着作業は、ドアデッドニングやフロアデッドニングと同様、制振シート圧着ツールなどを使ってグリグリ押せばいいわけですが……
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別に難しくはない。
カンタン、カンタン。 -
しかし、ルーフ(天井)デッドニングの場合は、上を向いて圧着作業をするので、首が痛くなってきます。
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……ううっ。
そういえば。 -
腕も上がらなくなってくるし。
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そういう意味では、フロアデッドニングよりルーフデッドニングのほうがハードと言えそうです。
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できれば誰かに手伝ってもらって、2~3人で作業するのが現実的でしょうね。
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……ようやく、24枚の制振材をすべて圧着しました。
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仕上げは、吸音材を貼ります。
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まだ貼るのか~。
首が……。
吸音材はなるべくルーフ(天井)鉄板の全面に貼る
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吸音シートはフロアデッドニングで使ったのと、同じモノを使います。
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ただ、天井の場合は広いので、カットせずにそのまま貼ります。
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ほお。
大胆な貼り方ですね。 -
ひとまず、アルミガラスクロステープで点付けしながら四方を固定。落ちないようにします。
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このテープは、デッドニング時には持っておくと何かと便利です。
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仮固定したうえで、じっくりと外周部を貼っていきます。この方法ならひとりでもできます。
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ルーフデッドニングの吸音材の貼り方としては、なるべく全面に貼るほうがいいですね。
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これでルーフデッドニングは完成です。
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うーむ。
ここまでやると、雨が降るのが楽しみですな。
エーモンの静音シート・フロア(8359)
エーモンのアルミガラスクロステープ(8316)
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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