デッドニング完全ガイド
ドアデッドニング施工方法④╱アウターパネルへの制振材の貼り方
デッドニング施工方法の続き。ドア鉄板にはアウターパネル(車体外側)とインナーパネル(室内側)があるが、まずはアウターパネルに制振材を貼る工程だ。効果的な貼り方のコツを解説する。
ドアデッドニングはまずアウターパネルの制振から施工
-
「ドアデッドニング施工方法③╱ブチルゴムの除去はどうやるのか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
-
前回までで下準備が終わったので、今回からいよいよデッドニング施工作業に入ります。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
-
サービスホールの型取りもできたから、制振材で穴を塞ぐぞー!
-
……ちょっと待った。
その作業は後です。 -
え!?
前回の続きじゃないの? -
サービスホールの型取りまでは先にやる必要があったからやりましたが、デッドニングの施工はドアのアウターパネル(外側の鉄板)のほうが先です。
-
先に手前のサービスホール(穴)を塞いだら、奥のアウターパネルのデッドニングができなくなってしまいます。
-
それもそーだ。
やらかさないように注意してね。 -
で、アウターパネルに貼る制振材が、この耐熱制振シートです。
-
耐熱の制振材なんですね。
-
ドアのアウターパネルは、かなり熱を持ちますからね。
-
なるほど。
-
まずはこの、アウターパネル用制振材の切り出しから始めましょう。
✔ エーモンの「デッドニングキット ハイグレード・ドア用(8302)」に入っている耐熱制振シート(アウターパネル用)。
アウターパネル用制振材は細長くカットする
-
用意するものは、長いスケール(定規)・マジック・ハサミです。
-
「デッドニングに必要なもの(道具・工具)は?」でも触れましたが、制振材の裏は粘着剤が付いているので、普通のハサミでは刃にネバネバが付いて切れません。
-
ふむ。
-
フッ素コートしてあるハサミか、デッドニング用のはさみを使いましょう。
-
ここではエーモンのデッドニングはさみ(8388)を使っています。
-
まず、だいたいの目安として7.5センチ間隔で、制振材の裏に線を引きます。
-
そして、こんなふうに(↓)長方形に制振材を切り出していきます。
-
8センチじゃダメなんですか?
-
べつにいいですけど、エーモンのアウターパネル用制振材の場合は、7.5センチで切り出していけば、均等に切り分けることができる、という意味です。
-
そういうことね。
同じサイズで、6枚切り出せた。
アウターパネルへの制振材の貼り方
-
次は制振材の貼り方です。
-
アウターパネル用の制振材を細長く切り出したのは、理由があります。
-
フムフム。
-
サービスホール越しに覗き込むと分かりますが、ドアのアウターパネルにはインパクトビーム(補強の棒)とか……
-
その他の補強なども入っています。
-
凹凸があるわけですね。
-
ハイ。で、出っ張っている部分には制振材は貼れません。凹凸の間の「平面」に、制振材を貼ります。
-
ようするに、鉄板のヤワそうな平面を補強するんだ。
-
そうですね。それによって、アウターパネルのビビリを消すのが目的です。
-
6枚をどうやって貼ればいいかな?
-
なるべく均等に配置することを考えましょう。
-
……均等といっても、アウターパネルって奥の鉄板だし、よく見えないんですけど?
-
例えばね、今回のモデル車だと、インパクトビームの他に、補強が2本入っています。
-
つまり、合計で3本です。
-
ふむふむ。
-
ということは、それらの補強で仕切られた平面部分は、4エリアあるってことです。
-
……ふむ。
それで? -
4つのエリアに対して、それぞれに制振材を貼りたいところですね。
-
なるほど。でも、切り出したアウターパネル用制振材は、6枚あるけど。
-
今回のドアは、最上段に1枚貼って……
-
2段目と3段目には、2枚ずつ貼っておきましょう。
-
あとは下段に1枚、ですね。
-
真ん中付近のほうがヤワそうだから、優先ってことか。
-
それもあるし、今回は、ドアデッドニングの後で、スピーカー周辺のデッドニングもする予定なので、下段のスピーカー裏は吸音材を貼るために開けておきます。
-
なるほどね。
じゃあ、下段は1枚でよしと。 -
制振材はペタリと貼るだけではダメです。制振シート圧着ツールを使って、グリグリと圧着させます。
-
ヘラだと、狭い空間では押しにくいけど……
-
この制振シート圧着ツールは、手が入りさえすればグリグリ押せるので便利なんです。
-
確かに。
-
注意点として、この作業は長袖の服を着てやりましょう。
-
それはなぜ?
-
ドアの鉄板のサービスホールのフチって、けっこう鋭利な状態だったりするので、半袖だとケガをする可能性があります。
-
……デッドニングは長袖と手袋が必須、ということで。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
関連記事
- エーモン(オーディア)の新型デッドニングキットを徹底解説
- デッドニングとは? その目的を初心者向きに解説すると…
- デッドニングとは?(後編) スピーカー周りをデッドニングする目的
- デッドニングに必要なもの(道具・工具)は?
- ドアデッドニング施工方法①╱ドア内張りの外し方
- ドアデッドニング施工方法②╱サービスホールの型取り
- ドアデッドニング施工方法③╱ブチルゴムの除去はどうやるのか?
- ドアデッドニング施工方法⑤╱アウターパネルへの吸音材の貼り方
- ドアデッドニング施工方法⑥╱サービスホールの塞ぎ方
- ドアデッドニング施工方法⑦╱大きなサービスホールを塞ぐには?
- ドアデッドニング施工方法⑧╱ドア内張りの「カタカタ異音」防止策
- ドアデッドニング施工方法⑨╱インナーパネルの制振と補強
- スピーカー周りのデッドニング方法①╱スピーカー背面の吸音と制振
- スピーカー周りのデッドニング方法②╱スピーカーの防音
- プラスチック専用の制振材や吸音材。デッドニングは鉄板だけじゃない
- ドア内張りパネルのデッドニング方法
- エーモンがカーオーディオブランド・Aodea(オーディア)を再始動!
- 車の「スピーカー交換」入門
- バッフルボード(インナーバッフル)とは?
- 車のスピーカー交換方法╱純正スピーカー(リベット)の外し方
デッドニング完全ガイド〈ドアデッドニング編〉
デッドニング完全ガイド〈スピーカー周り編〉
デッドニング完全ガイド〈ドア内張り編〉
その他