プロに教わるデッドニング講習
キットを使わないドアデッドニング方法②╱アウターパネルへの制振材の貼り方
ドアデッドニングキット不使用のデットニング方法。キットではないので説明書もないが、オーディオのプロの実作業を見せてもらって学ぶ連載だ。今回は制振材の貼り方で、まずはアウターパネル(外側の鉄板)の部分から。
制振材の貼り方(ほぼ全面貼り実例)
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●レポーター:イルミちゃん
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今回は制振材の貼り方です。デッドニングはまず、アウターパネル(外側の鉄板)に対して施工します。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
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アウターパネルとは、サービスホールの奥に見える鉄板のことです。
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制振材はほとんどのモノがブチルで貼り付けるタイプなので、まずはしっかり脱脂しておきます。
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油分を取らないで貼り付けると、剥がれてしまう、といういつもの注意点ね。
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そして今回は、ドアデッドニングキットではなく単品の制振材を使います。
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この場合、貼り方の説明書があるわけではないので、施工者によって貼り方が変わってきます。
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オーディオショップの見解もいろいろ、なんですよね……
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アウターパネルにはあえて少ししか貼らないお店もあるし、全面貼りするお店もあります。ここはプロの貼り方も分かれます。
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ただ、ピンポイントで効果を出す、っていうのはコツが分かっていないと難しそうですね?
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そうですね。今回はオーナーの希望もあって、全面貼りに近い貼り方でいきます。制振効果が高くなるのは間違いない貼り方ですね。
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なるほど。
ゼイタクコースね。 -
ドアのアウターパネル内を覗き込むと、補強の柱とかドアインパクトビーム(※)が通っていますよね。
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アウターパネルも、意外と凹凸が多い状況だ。
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全面貼りするといっても、大きな制振材でそのままベタっと貼るのはムリがあります。
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…ふむ。アウターパネルは狭い空間内での作業になるしな。
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そこで柱などを目安に、上下に区切って貼っていきます。
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フムフム。
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制振材をこのように細長く切り出して……
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制振材の裏にはブチルゴムが付いていますので、余計なところに付着させないように注意しながらサービスホールから奥に入れます。
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まずは柱より上の、平面的な鉄板部分に貼りました。
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鉄板の向こう側なので作業しにくいですが、ローラーなどを使って制振材を押して、鉄板に圧着させます。
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このとき、サービスホールの鉄板に手をぶつけてケガをしないように注意しましょう。
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平面に対してはまだ貼りやすいのですが、できれば補強の柱に対しても制振材を貼りたいところです。
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補強の柱をよけながら制振材を貼る、というわけではないのね。
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制振材で包んで、おさえるように貼ります。
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なるほど。細かく分割しながら貼れば、凹凸のある場所にも追従させやすいですね。
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ここは補強の柱自体を鉄板に押しつけるようなイメージで貼ります。
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柱の凹凸にピタっとフィットするように圧着させました。
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ドア内を通過しているドアインパクトビームはかわしながら、下の平面部分にも貼っていきます。
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広い面に対して、複数枚に切り分けながら、全面貼りしています。
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うまく切り貼りしながら埋めていくわけね。
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ただ純正でもともと貼ってあるような箇所は、貼らなくてもいいと思います。
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そこは上手くかわしながら貼っていきましょう。
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ここまでたくさん貼らなくても十分効果は得られると思いますが、忘れてはいけないのはスピーカー裏です。
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スピーカー付近は、とくに重点的に貼っておきます。
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ということでアウターパネルに制振材を貼り終えました。
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今回使った制振材と貼り方を例にすると、アウターパネルだけでもシート2枚分くらいは使いますね。
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参考までに今回のM&Mの制振材は、10枚入りの定価で2万7500円(※執筆時点の税込価格)だから、1枚あたり2750円です。
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キットを使わない場合は、部材のコストは増える傾向にありますが、高い制振効果が得られるのは間違いないです。
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次回はインナーパネル(車内側の鉄板)に施工します。
ドアの鉄板は二重になっているが、「奥の鉄板」が車体外側なのでアウターパネルと呼ぶ。
シリコンオフなどを使って油分と汚れを取り除く。
M&M Design SBM-500 ダンピングコントロールマット ※詳細は公式サイト参照。
※ドアインパクトビームは、側方衝突時に車内空間の変形を防ぐために通っている柱のこと。
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
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