タイヤ交換コラム
スタッドレスタイヤへの交換を自分でやる前に、おさらいすべき知識③
スタッドレスタイヤ交換を自分で(DIYで)でするにあたって、最初の関門は「正しくジャッキアップできるかどうか」。事故のリスクはもちろんあるし、細かいことを言えば「ジャッキポイントを潰すリスク」などもある。久しぶりのジャッキアップ作業だとしたら、なおさらおさらいを!
自分でスタッドレスタイヤ交換するときにジャッキポイントをつぶすのは定番
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「スタッドレスタイヤへの交換を自分でやる前に、おさらいすべき知識②」のつづき。
●レポーター:イルミちゃん
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平らな場所に車を停めたし、輪止めも置いたし、車載ジャッキも発見できたので、準備おっけー!
●DIYラボ別館:ユキマちゃん
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ではジャッキポイントを確認しましょう。
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ジャッキポイントとな…?
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いや、ちょっとアンタ、どこにジャッキをかける気だったのよ。
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え~っと、車のサイドをなんとなく持ち上げようかと。
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なるほど。スパイス・佐藤研究員が言っていた「フロアベコベコの車をよく見かける」とはこのことだったのか…。
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え、ジャッキアップのせいでフロアがベコベコになるの?
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そうならないために、正しくジャッキポイントに当てましょう、ということです。
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で、ジャッキポイントはどこにあるのよ? 見たところ、それらしい場所がないんだが?
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タイヤを一輪ずつ持ち上げる場合のジャッキポイントは、ココ。
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フレームの途中にヘコミみたいのが2箇所ありますが、この間がジャッキポイントです。
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なんか分かりにくいんだけど?
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見えにくかったらLEDライトなどで照らして確認してね。
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べつにジャッキポイントでなくてもフレームだったら頑丈そうだけど、ダメなの?
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いやいや、ジャッキポイントからズレた場所で持ち上げると(↓)フレームが曲がったりすることもあるらしい。
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見た目には違和感ないのだが、ダメなのか。
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いや、どう見ても違和感しかないから!
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では正しいジャッキポイントにジャッキをかけて……
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ではジャッキアップしまーす!
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ちょっと待った!
まだグイグイ上げるのは早い! -
え?
……まだなにか注意点があるの? -
この時点ですでに「タイヤ交換の手順」は始まっているのです。
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あん?
NGパターン
正しいジャッキのかませ方
完全に浮く前にホイールナットを少しゆるめる
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今回はスタッドレスタイヤへ交換するのだから、まずは夏タイヤを外そうとしているわけでしょう?
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そうだけど、それが何か?
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少しだけ車体を浮かせた段階(タイヤはまだ接地している状況)で、ホイールナットを少しゆるめておくのがポイントです。
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え? 完全にジャッキアップしてからゆるめるんじゃないの?
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タイヤが完全に浮いてからだと、タイヤが回ってしまって、ホイールナットがゆるまなくなりますので。
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そういうことか。だったら最初にゆるめておけばいいじゃない?
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タイヤが完全に接地している状態でホイールナットをゆるめるのは、ハブボルト側に負担がかかるので避けたほうがいい、とプロに教わりました。
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ということで、タイヤが浮く直前ぐらいのところで、先にホイールナットをゆるめておくのがベスト。
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ふむ。これは忘れそうなポイントね。
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次に、ホイールナットをゆるめるときのコツをおさらいします。
ホイールナットをゆるめるときのコツ
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まずはホイールナットをゆるめるときの工具についてですが……
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車載ジャッキといっしょにこんなのが入っていたよ。
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だけどホイールを社外品に交換している人は、こんな分厚いボックスレンチだとナットホールに入らなかったり、入っても傷を付けます。そこは注意ね。
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あくまでも純正ホイール用なんだ。
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社外ホイールに交換している人は、薄口のクロスレンチなどを用意しましょう。
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そしてホイールナットをゆるめるときのコツですが、自分がしゃがむ位置がけっこうポイントだったりする。
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しゃがむ位置って……タイヤの前しかないのでは?
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ホイールナットをゆるめるときは、こういうポジションで作業すると「ゆるめる方向に体重をかけられる姿勢」になるのでラクだ、と教わりました。
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なるほどね。
そんなコツがあるんだ。 -
反対に「持ち上げる力でゆるめる」ことになると、体重がかからないから、けっこう大変になる。
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へ~。座る位置が重要とは思わなかった。
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それから、この段階では「ゆるめる」までで止めていくおきます。
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なんでよ?
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まだジャッキアップしていないからよ!
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そういや、少しだけ持ち上げたところだった。
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この段階で完全にホイールナットを取ってしまったら、それはそれでハブボルトに負担がかかる。
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では、次はいよいよジャッキアップね。
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そうそう。この順番は忘れそうだけど、交互に少しずつ進めるようなイメージなんだよね。
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うーん。
けっこう繊細な手順がある。 -
それからこれは常識の範疇だけど、ホイールナットをゆるめるときは、1本ゆるめたら次は対角線上のナットをゆるめます。
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隣接するナットではなく対角上に飛ぶ。
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ネジをゆるめたり締めたりするときのキホンだから知っている人が多いと思うけど、ねんのため。
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じゃ、ホイールナットをゆるめ終わったから、バーンっと全開ジャッキアップしていいね。
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待った!
その考え方は、間違っておる。 -
え〜〜? 私はいつになったら、マトモにジャッキアップさせてもらえるのでしょうか。
✔ 車載工具
① 荷重がかからない程度まで浮かす
② ホイールナットをゆるめる
③ タイヤが浮くまでジャッキアップ
④ ホイールナットをゆるめる
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