タイヤの空気圧の知識
タイヤの空気圧は「見た目」で分かるのか、実験してみた
タイヤの空気圧はエアゲージで測るが、「エアゲージなんて持ってない」人がほとんど。そこで「見た目」で空気圧が判断できるかどうか、実際にタイヤの空気を抜きながら実験してみた。
タイヤの空気圧の見方。「見た目」でも分かる?
-
タイヤの空気は自然と抜けていくものだから、空気圧チェックが大切。それは、誰でも分かっていることですが……
●レポーター:イルミちゃん
-
しかし現実には、怠りがちな人が多いとは思います。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
-
減っているのが分かれば、誰だって、補充すると思うんだけどなァ……。
-
エアゲージで測るのは、簡単なんですよ。
-
問題はそこ!
-
?
-
佐藤研究員のような、プロのタイヤ屋さんの人は手持ちのエアゲージですぐ測れるけど、一般ユーザーは、そんなの持ってない人が大半でしょう?
-
でもガソリンスタンドでも測れるし、セルフでも備え付けてあったりしますよ。
-
しかし、ガソリンスタンドに入るときは、先を急いでいるから給油してすぐ行ってしまうんですよ。
-
……。最近はセルフが多いから、スタッフの人に指摘されることもないし、本当に危ないです。
-
そこで! ズボラな人でもできる、タイヤ空気圧チェック方法として、「見た目」診断というのはどうなんでしょうか?
-
う~ん。
見た目かぁ。 -
見た目では、空気圧低下の判断はできないの?
-
まあ、純正タイヤサイズなら、タイヤのたわみなどでも分かったりはしますが。
-
たわみ?
-
ようは、タイヤの下側がつぶれて、横ツラがふっくらしてきます。
-
それから、もうひとつの「見た目の変化」。ホイールとタイヤ設置面の距離も、近くなってきますよね。
-
そっか。
タイヤの上下の厚みが、変わってくるんだ。 -
例えばノーマルタイヤサイズで、指定空気圧が2キロ(kgf/㎠)のタイヤだったとしましょう。
-
フムフム。
よるある空気圧ですね。 -
それが1.5キロまで減ったら、まあ、見た目でだいたい分かりますね。
-
それって、一般ユーザーでも気づけますか?
-
う~ん。どうでしょう。気にして見ている人なら分かるかも知れませんが。
-
半分の1キロまで減ったら、誰でも分かるかな?
-
ある程度の人は、分かると思います。
-
空気圧が半分になったら、何センチくらいタイヤがつぶれますか?
-
さあ、そんなの測ったことないから、知りません。
-
では!
実際に実験してみましょう。
タイヤ空気圧2キロ・1.5キロの「見た目」の違い
-
ここでは軽自動車のノーマルタイヤ(155/65-14)を例に、空気圧で見た目がどう変わるかチェックしてみます。
-
まずは、指定空気圧通りの2キロ(kgf/㎠)の状態から。
-
この状態でも、タイヤを真横から見ると……真円ではないんですね。
-
そりゃあ、車重がかかっていますからね。試しに、タイヤの下側の厚みを測っておきましょう。
-
今回のタイヤだと、適正空気圧の2キロの状態で、6.5センチ位の厚みですね。
-
そして、タイヤの空気を抜いて、空気圧を1.5キロほどまで下げます。
-
なぜだかワクワクしますね♪
-
そ、そう?
-
空気圧が1.5キロになった状態で、タイヤを横から見ると……
-
つぶれていることはつぶれているけれど、最初の2キロでもつぶれていただけに……うーん、まだ分かりづらい?
-
しかし、タイヤ下部の厚みを測ってみると、明らかに差が出ていますよ。
-
1.5キロまで減らしたら、タイヤの厚みが6センチ位になりました。
-
5ミリほどつぶれましたね。
-
それって……車高が5ミリ下がったってこと?
-
そこで喜んでいる場合ではありません。タイヤのたわみで、横方向に膨らんでいるのも見た目で確認できます。
-
ちなみに、たわんでいると、タイヤのひび割れの進行も早くなりますよ。
-
タイヤのひび割れ問題は、以前にやりましたね。
-
でも、ひび割れっていうのは、タイヤのゴムの経年変化だったはずでは?
-
しかし、空気圧が低い状態で走ると、タイヤがかなり発熱するんです。それがタイヤの劣化を早めます。
-
……なるほど。1.5キロでも十分リスキーな状態ですが、さらに減らしてみます。
シュー
写真では分かりにくいが、目視だともっとハッキリ分かる。
タイヤ空気圧1キロの「見た目」は明白だが、気付くのが遅過ぎる
-
ここまでくると、真横から見ても、明らかにタイヤがつぶれているのが分かります。
-
測ってみると、タイヤの厚みがさらに5ミリ減って、5.5センチほどになっています。
-
つまり2キロから空気圧を半減させたら、1センチつぶれたってことか。
-
今回のタイヤサイズだと、そういうことになりますね。
-
ここまで来れば、見た目のたわみでもハッキリ分かるし!
-
そうなんですが……しかし、空気圧がここまで下がっていると、タイヤ内部のダメージもかなりあるので、正直気づくのが遅いです。
-
……あらま。
-
空気圧が減っているとセパレーション(内部剥離)が起こりやすい、という話は前にもやりましたよね。
-
空気圧不足で起こるセパレーションの先には、バーストが待っている……という恐い話か。
-
そうなんです。こういう状態で走るから、それが起こってしまう。
-
ナルホド。
-
危険だし、車は重たいし、燃費は悪いし、タイヤは偏摩耗するし。いいことは何もありませんよ。
-
せめて0.5キロ減ったくらいのところで、見た目でも気づけるといいんだけど……
-
しかし、見た目の変化の度合いはタイヤサイズによりけりなので、事前にテストでもして把握していない限り、注意が必要です。
-
ウーム。
-
今回例にしたタイヤは60扁平だから、分かりやすい例と言えます。インチアップして扁平タイヤを履いている人は、今回やったような見た目診断では無理ですね。
-
見た目には、最初からペタンコだから?
-
それもあるし、タイヤの剛性が高いから、ちょっとくらい空気が減ってもつぶれないんです。
-
それって、30扁平とか35扁平の世界の話でしょうか?
-
そこまでいくと、いよいよ分かりにくい。軽自動車サイズの165/45-16あたりでも、すでに、見た目では空気圧の変化が分からない人が多いと思います。
空気圧を最初の半分の1キロまで減らしました
シュー
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
関連記事