足まわりコラム
ローダウン車のタイヤ交換時期は、どこで判断するべきか?
この前タイヤ交換をしたのは何年前だっけ? そういえば覚えていない! という人は、そろそろ気にした方がいいかもしれない。「まだスリップサインが出ていないから大丈夫」……は大丈夫じゃないことが、ローダウン車ではけっこうあり得るのだ。
一般車ならスリップサインや、ヒビ割れを見るが…
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一般的には「スリップサイン」が出たら交換ということにはなりますが、スリップサインが出ていないからまだ使える、と考えるのは早計です。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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と言うと?
●レポーター:イルミちゃん
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タイヤの山は残っていても「ヒビ割れ」してきていたら、経年劣化での交換時期と言えます。
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それって年数が経っているから?
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車の保管状態にもよりますが、タイヤ交換してから5〜6年経っているとか。あとは、空気圧が少ない状態で走っていると、ヒビ割れしやすかったりもしますよ。
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ヒビ割れしたタイヤは、もう交換時期と思ったほうがいいんですね。
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ひどくなると、エア漏れの原因になる。早めに交換しましょう。
ローダウン車の「内減り」にサインはない
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車高調やダウンサスを付けてローダウンしている車だと、「スリップサイン」や「ヒビ割れ」の問題以前に、「内減り」で内側の山を使い切ってしまうケースがほとんど。
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スリップサインが出るまでタイヤが持たない?
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というか内減りしている車は、逆に外側は減らない。スリップサインなど見ていても、ダメってことですね。
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なお、内減りはローダウン車に限った話ではないです。純正でも1度程度はキャンバー角が付いていたりする。車種によっては、もともと内減り傾向にはあります。
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内減りの場合は、オモテ側からタイヤを見ていても分かりませんね。
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そうなんですよ。外側のミゾを見て、『まだ大丈夫♪』とかやっているのって、ほとんど意味がないですからね。特にドレスアップカー的には。
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どうやってチェックすればいいんでしょうか?
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フロントタイヤの内減りチェックは、ハンドルを切って見てみましょう。
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そしてタイヤの内側に、ライトなどをあてて見てみます。
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おぉ。こうして切った状態で見ると、タイヤの外側と内側で、ミゾの深さが全然違うのが分かりますね。
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内減りでミゾが半分位まで減ってきたら、裏組(内外入れ替えローテーション)するのがいいと思います。
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でも見ていなかったら、そのまま内側だけ使い切って終了ですね。
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そうなんです。
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フロントはまだハンドルが切れるからいいですけど、リアは……、
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リアタイヤの内減りチェックは、のぞきこむしかないですね。
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こうやって見ないとダメなんですね〜。
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そうなんですよね。普通に立ち目線でタイヤを見ていても、けっきょく全然意味がないのです。
スリップサインを見ていてもダメ
タイヤ外側
タイヤ内側
こうやって見るのだ
暗いのでライトで照らす
タイヤのワイヤーが出ているって、どういうこと?
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内減りをチェックするとき、「手で触る」という人がいるんですけど、もし内側のワイヤーが飛び出ていたら刺さります。危険ですよ。
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ワイヤーって?
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タイヤは単なるゴムの輪っかではありません。形状を維持するために、骨組みとなるワイヤー(カーカス)が内部にはりめぐらされているんですね。
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フムフム。
本来はオモテからは見えないものですね。 -
それが内減りすることで、オモテに飛び出てきたりする。
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これ、手に刺さると本当に痛いです。電気が走ったみたいな痛みをともないます。
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刺さったことがある、経験者の言葉ですね。
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だから、内減りタイヤの内側を、うかつに手で触らないようにしたほうがいいです。目でチェックしましょう。
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ちなみにワイヤーが出ているタイヤって……、
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もちろん即交換です。ワイヤーが出た状態で乗り続けたら、ワイヤーがなくなり、骨格を失って形状を保てなくなって、タイヤが変形します。そして接合している部分が剥がれて、バーストします。
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ひええ。
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ワイヤーが出ている時点でもう、かなり危険な状態ですよね。
金属の針みたいのがトゲトゲ出ている
内減りを放置したタイヤの末路
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最後に、内減りを放置して、ワイヤーが露出してきて……それでも気づかずに走っていた実例です。
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なんと。
実例がある? -
コレ(↓)です。
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……これはヒドイ。
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引っ張りタイヤだったので、エアーが抜けることでタイヤが外れて、リムが地面に接触し、こうなりました。
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そのときの火花が目に見えるかのようです。
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内減りの段階で気づいていればいいんですが、ワイヤー露出までいくともういつバーストするか分かりません。
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ホイールがパーですね。
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その程度で済んでまだ良かった例かも知れません。高速道路でフロントタイヤがいきなりバーストすると、大事故にもつながりかねませんよ。
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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