電装DIYの知識
サブバッテリーの充電をシガーソケットから行う方法
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廃バッテリーを充電して、サブバッテリーとして使いたい。しかも充電は、シガーソケットでお手軽に。それならアウトドアに出かける途中、ドライブしながら充電できる。そんな好都合なことが可能なのか、実験してみた。
シガーソケットからサブバッテリーを充電するための簡易ケーブル
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「サブバッテリーを安く用意するために廃バッテリーを再利用?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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簡易的なやり方で、シガーソケットからサブバッテリーを充電する方法を考えてみたいと思います。
●アドバイザー:DIYライフ 藤本研究員
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フムフム。シガーソケットから充電、というのがポイントですね。
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そうです。それなら、アウトドアに出かける途中にできますんで。
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フム。
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そのために、こういう簡易的なサブバッテリー充電ケーブルを作ってみました。
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まず、片側はシガーソケットに差せるようにシガープラグになっています。
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フムフム。
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シガープラグは、単品でも買える部品ですね。
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例えば、DIY用品定番のエーモン製もあるし。
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そして電気の逆流を防止するために、整流ダイオードという部品を途中に入れてあります。※容量は3アンペア
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フムフム。
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あとは途中にギボシ端子をかませて脱着可能にしておいて、延長コードの先にワニグチクリップを付けただけ。
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使った部品を整理すると、こんな感じ(↓)
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いわゆる昇圧回路みたいなものも、入れていません。
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つまり、シガーソケットの電圧そのままで充電するんですね。
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そうですね。昇圧回路を入れないとバッテリーを満充電にはできませんけど、部品が増えるとコストも増えるので。
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フム。
そりゃそーだ。 -
今回は満充電を目的とした充電ケーブルではなく、あくまでも「廃バッテリーのアウトドア活用」を目指したケーブルです。
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なるほど。
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注意点としては、まず、外れないようにする必要があります。走行中に、サブバッテリーを充電するのですから。
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振動でワニグチが取れたら困ります。
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仮に、大型のワニグチでバッテリーの端子を挟むだけだと、取れてしまう危険があります。
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だから、DIYライフで製品版として作ったやつも、あえて小さいワニグチにしてあります。
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でも小さいと、バッテリーの端子を挟めないのでは?
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ワニグチが外れないように、こういうターミナルを付けてほしいんです。
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その上でワニグチを挟めば、簡単には外れません。そのために小さいワニグチクリップを使ったのです。
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なるほど。バッテリーターミナルは、なかったら別途用意しましょう。
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あとはまあ、端子がムキ出しだとショートが心配な状況であれば、プラス端子を覆うカバーなども付けておくと安心ですね。
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ショートの注意点については、下記記事をご覧ください。
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で、あとはバッテリーを車内のどこかに、倒れないように置きます。
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サブバッテリーを足元に設置して、充電ケーブルをシガーソケットに差しました。
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ここまでセットしたら、あとは走るだけです。
✔ この簡易充電ケーブルは、完成形をネット通販のDIYライフで販売している(簡易サブバッテリー充電ケーブル)。 1280円なので、部品をゼロから揃えて自作するよりお手軽。
これは取れる危険があるのでNG
バッテリーターミナルを付ける
シガーソケットから充電を行う上での注意点
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確かに、ここまではカンタンお手軽。しかし、本当にこれでサブバッテリー充電できるのか?
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注意点もあります。
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なんでしょう?
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あまり長いことつなぎっぱなしにするのはNGです。配線が、熱をもったりもするので。
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そういえば、特に電源遮断機能などは付いてませんよね。
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ですね。
あくまでも、簡易的な充電ケーブルですので。 -
フムフム。
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シガーソケットからの電源供給で、何十アンペアも流れたりはしないです。それでも念のため、休ませながら行いましょう。
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バッテリーも人間も、休憩をはさみながらのドライブがよいようです。
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……とは言うものの、そもそも、このやり方ではバッテリー満充電にはならないので、そんなに危険はないんですけどね。
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念のため、という意味ですね。
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そうですね。例えば10時間も走りっぱなしで充電し続けるのは、危険だから止めましょう。
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ときどきは、外せさなければいけない?
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電源供給元がシガーソケットなんで、国産車の場合はACC連動またはIG連動になっていますから、エンジンを切れば電源は遮断されます。
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あー、そっか。基本的にはエンジンオフが、充電遮断の役割になる。
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例えばアウトドアに向かう時、高速道路を走りながら充電しているとして、サービスエリアに入っていったんエンジンを切れば、そこで止まります。そのように使う分には、問題ないですよ。
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連続充電可能な目安って、どのくらいですか?
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4時間を超える連続充電は、しないでください。
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なるほど。
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それから、バッテリーには密閉型のシールドバッテリーと、キャップの開く開放型がありますが、基本的にこの充電方式はシールドバッテリー用です。
※ディープサイクルバッテリーも使用不可。
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開放型のバッテリーは、充電中に化学反応で水素ガスが発生します。走行しながら充電なんてすると……
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引火性のある水素ガスが溜まる。……言うまでもなく危険ですね。
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シールドバッテリーなら水素ガスが発生しないわけではないですが、窓を開けて換気しながら充電すれば、問題ないレベルです。
※ 欧州車などではシガーソケットが常時電源を供給している例もあるので、例外的に注意が必要。
密閉型のシールドバッテリー
実験結果。本当にシガーソケットからサブバッテリーの充電はできたのか?
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……で、今回の方法でサブバッテリーに充電できるのが実験してみたところ……
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バッテリーの比重計の表示も、要充電でしたが……
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数時間ほど走行しながら充電してみると、「良好」まで回復しました!
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バッテリーの劣化具合や、車種によっても充電電圧にバラつきがあるので、走行何時間でどの程度回復するかは、一概には言えませんが……
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少なくとも、電球すら光らなかった状況からすると……
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どうやら本当に充電されているようです。
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ちなみにエンジン始動できるレベルまで回復するかどうかは、数日かけてやってみたものの、無理でした。
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まあ、昇圧回路なしの簡易充電ケーブルではやはりそこまでは厳しそう。
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とはいえ、あくまでもアウトドアで12Vの電気製品を活用するためのサブバッテリー充電としては、簡易充電ケーブルでも使えます。
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なるほどね。
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仮にですが、昇圧回路なども組み込んで、満充電を目指す充電ケーブルを作るとなると、満充電になったら電源を遮断する回路などもないと危険ですので、こんな簡易的な方法ではできなくなります。
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あ〜、そっか。いろいろ保護機能も必要になってくるんだ。
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そうなんです。今回の方式だと、そこまでは充電できない変わりに、ローコストで手軽に充電できる、ということですね。
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以上、「シガーソケットでサブバッテリーに充電できるのか?」の実験結果でした。
充電前
充電後
充電前
充電後
実験に使ったアイテム
✔ DIY用品のネット通販・DIYライフで販売している 簡易サブバッテリー充電ケーブル
DIY Laboアドバイザー:藤本壮啓
某カー用品メーカーに長年勤務し、車業界にDIYを広めた伝説の広報マン。現在は独立して、DIY用品を扱うセレクトショップ「DIYライフ」を設立。単なる製品の宣伝トークではない、DIYユーザー側に立ったアドバイスが持ち味。通称「フジモン」。
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