クルマを便利にする電装DIY
車のシガーソケットが足りない時に有効な「電源裏取り」
通常一つしかない車のシガーソケットを巡って、今や争奪戦が不可避な状況。使いたい電装品が増えてきて、シガーソケットが足りないのだ。ここで提案したいのが、電源の裏取り。単純なシガーソケット増設とは違って、車内がスッキリする。
シガーを使う電装品が増え、ソケット争奪戦が不可避
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シガーソケットは、車から簡単に電源を取れるので、便利なんですが……
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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最近は、不足気味の人も多いと思われます。
●レポーター:イルミちゃん
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ドライブレコーダーを付けたり、スマホ充電用のUSBポートを付けたり……
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レーダー探知機や、ポータブルナビもあるし……
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う〜ん。
全部はつなげませんので、優先順位の低いモノは…… -
あーッ!(`ロ´)ノ
てゆーか、私の空気清浄機、勝手に抜かないでッ!! -
という風に、シガーソケットから電気を取る電装品が増えたせいで、シガーソケットの争奪戦が避けられない状況であります。
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シガーソケットを増設する(増やす)方法なら、以前に教わりましたね。
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でも、今日提案したいのは、単純なシガーソケットの増設方法ではないんですよ。
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ホホウ?
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1個や2個はともかく、単純に電装品の数だけシガーソケットを増やすのは現実味がないし、スマートな車内は作れません。
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確かにね。
どんどん配線だらけになると、所帯じみていきそう……。 -
……。まあ、車内はスッキリキレイにしているに越したことはありません。
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じゃあ、どうするの?
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まずは、電源の取り方の見直しを検討してみましょう。
※「シガーソケットの増設方法」参照。
つなぎっぱなしの電装品は、電源裏取りに変更する
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まず、シガーソケットから電源を取る利点。それは「カンタンに抜き差しできる」点にあります。
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まあ、そりゃそうですね。
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逆に言うと、「抜き差しをしないなら、オモテ側のシガーソケットを塞ぐ必要はない」とも言えます。
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ふむ。
言えてる。 -
例を挙げると、ドライブレコーダー、レーダー探知機、ポータブルナビなどは、一度つなげてしまえばつなぎっぱなしです。
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このような電装品の電源は、優先的に電源裏取りに変更しましょう。
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オモテから配線を消すわけですね〜。
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どこから取りましょう?
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最も分かりやすい方法としては、シガーソケットの裏の電源線を分岐させて電源を取る方法です。
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これは文字通りの、電源裏取り。
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ただ、もしも、消費電力の大きい電装品を複数同時に使うつもりがあるなら、別の場所から取ったほうがいいかも知れません。
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それはなぜ?
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シガーソケット裏から電源を取るということは、けっきょく純正シガーソケットと同じ電源元から取るということですので……
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同時に使う電装品の電気が、すべて純正のシガーソケットの電源ラインを流れることになります。
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ああ〜。
そういうことか〜。 -
純正のシガーソケットのヒューズが、飛ぶかも知れない。
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そのあたりは、「シガーソケットからの電源取り出し。何アンペアまで?」でも触れている話ですね。
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ただ、今回冒頭で触れた、ドライブレコーダーやレーダー探知機の消費電力は大きくはないので、普通にはシガーソケット裏からの取り出しで問題ありません。
✔ ひとくちメモ
車の電源取り出しポイントは、実はシガーソケットだけではない。ヒューズボックスの他、ナビ裏、シガーソケット裏などの純正配線からも、電源を取り出すことができる。ACC電源またはIG電源を、裏から取る
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シガーソケット裏以外の場所から電源を取る場合は、電源の種類に注意しましょう。
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電源の種類って?
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まず純正シガーソケットは、電源の性質的には「エンジンオフで電源が遮断される」タイプ。(※国産車の場合)
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エンジンオフで遮断されないと、バッテリーが上がってしまいますからねぇ。
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そうなんです。エンジンオフで遮断される電源は、ACC電源(アクセサリー電源)や、IG(イグニッション)電源があります。
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だから別の場所から電源を取る場合も、電源の種類としてはACC電源またはIG電源が必要になる、という点には注意しておきましょう。
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別の場所って、どこですか?
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難易度が低いのは、ヒューズボックスですね。
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あるいは、ナビ裏からもACC電源は取り出せますが……
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最近の車は、内装パネルをバラす難易度が上がっているので、そういう意味ではヒューズボックスのほうがオススメです。
予備知識は、「ACC電源とIG電源の違いは?」参照。
※やり方は「ヒューズからACC電源を取り出す方法」参照。
裏取り用の電源ソケットを使う
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電源を裏取りした場合は、電装品のシガープラグではつなげません。
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プラグは、ソケットにしか挿せませんからねぇ……配線をチョキンと切ればいいのかな?
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ただ、それをやってしまうと不具合の出る電装品もあるのです。
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電装品の電源ケーブルは基本的に加工せず、メス型のソケットに切りっぱなしの線が付いている、こんなアイテム(↓)を使います。
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このソケットを中継すれば、反対側は切りっぱなしの線なので、ギボシ端子やエレクトロタップが使えます。
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例えばエレクトロタップを付けて、シガーソケット裏の純正配線にかませることが可能ですね。
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あるいはギボシ端子オスを付けて、ヒューズ電源とつなぐことができます。
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ヒューズから電源を取るときのポイントは、「増設用シガーソケットの電源を、ヒューズから取るときの注意点」にまとめてあります。
✔ ひとくちメモ
ドライブレコーダーなどは、根元のプラグで12V→5Vに変換して、ドライブレコーダー自体は5Vで動作するケースもある。その場合、途中の線を切って12Vを流しても、動作しないばかりか故障の原因になる。電源ソケットのプラス線の先はギボシ端子を付けてヒューズ電源をつなぐ。マイナス線にはクワ型端子をつけてボディアース。
USB充電ポートは、シガーソケット経由である必要はない
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ドライブレコーダーやレーダー探知機の電源を「裏取り」に変更できたら、次はUSB充電ポートも見直します。
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でも、これは頻繁に抜き差しするから、シガーソケットのオモテ側でないと困りますよね?
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USBについては、別の場所にUSBポートを増設する手があります。
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この中から、好きな方法で増設すればいいんですね。
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その時に役立つのが、やはり電源裏取りの知識なんです。
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電源裏取りをマスターすると、シガーソケット経由で電源を取る必要がなくなり、車内をスッキリと仕上げることが可能になります。
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空いた純正シガーソケットは、私の空気清浄機専用で使わせてもらおうっと。
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……。
空いたスペースに置き型のポートを増設
空きスイッチパネルに増設
パネルを切って埋め込み増設
ヒューズから電源を取る場合の配線図。
シガーソケットを増設するときはまず、電源ソケットの選び方に注意しましょう。どれでも同じと思っていたら大間違い! そのあたりの注意点はDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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