ワンオフパーツの作り方実習
ポリパテとは? その使い方と削り方(なぜ水研ぎするのか?)
ポリパテとは何か。ファイバーパテや板金パテの後に登場するポリパテがわかると、パテの全容の理解が一気に深まる。ポリパテの使い方・削り方、また、水研ぎについても実践的に解説する。
ポリパテとは? ファイバーパテや板金パテとの違い
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「FRPに穴が開いたらどうやって補修(穴埋め)するの?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日からいよいよ、仕上げのポリパテです。
(↓)●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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あのー。
本多研究員。 -
なんでしょうか?
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これまでにもファイバーパテとか板金パテとか、いろいろなパテが登場しましたが、ポリパテはどう違うんでしょうか?
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ポリパテとは、カンタンに言うと仕上げ用のパテですね。
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すでに、十分仕上がっているように見えるんですけど……シャークアンテナ。
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なのに、ここからまだパテを盛るんだ。
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ポリパテは「盛るパテ」ではありません。
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あん?
盛るの盛らないの? -
えーっと、だから、うっすらと付ける程度でいい、っていう意味ですよ。
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うっすらと付けて、また削る?
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そうです。
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薄くしか付けないで、また削るって……なんか、意味なくない? 形はもう出来ているのに。
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ポリパテは形を作るためのパテではなくて、表面を整えるために使うんですよ。
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……今はまだ整ってないの?
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そうですね。巣穴(小さい穴)なども無数に開いているし、造形段階で使った荒いペーパーの磨き傷も残っている状態なんです。
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あー。小さい穴とか傷を消すために、ポリパテを使うのか。
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そういうことです。だからポリパテは、薄くていいけど、全体に付ける必要があります。
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コーティングしているようなイメージですね。
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乾くまで、数時間放置しましょう。夏場は数十分でも乾きますが。
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次は、ポリパテの削り方を教わります。
黄色いポリパテ
ポリパテは薄付け
全ての「面」にくまなく付ける
ポリパテの削り方。なぜ「水研ぎ」するのか?
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そして、水研ぎするときは180番のペーパーにかえて、最終仕上げは320番を使います。
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水研ぎ?
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水に濡らしながら、サンドペーパーで磨くことですよ。
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なぜ、水を使うの?
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仕上げに使う目の細かいペーパーは目詰まりを起こりやすいので、それを防ぐために水で流しながら削るんです。
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あーなるほど。
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ペーパーの目が細かくなるほど、削りにくくなります。320番なんて、なでているぐらいの感覚しかありません。
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そんなに微力なんだ。
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そもそも削れている感触がほとんどない上に、すぐに目が詰まってしまいます。
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……それじゃあ、いつまでたっても削れませんね。
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だから水研ぎするわけですが、これはべつに絶対ルールではありません。水を使わずに仕上げるプロもいますから。
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へぇー、そうなんだ。
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私の場合は、板金屋の世界に入ったとき師匠にこうしろと教わったので、今でも水研ぎしていますが……ハッキリ言って、冬はかなりツライですね。水が冷たくて。
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お湯でやればいいんじゃないの?
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だって、ウチ(ほんだ塗装)の作業場の蛇口、お湯出ないもん。
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プロの世界は厳しい……。
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320番のペーパーで水研ぎしたあとは、表面の傷なども消えています。
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おお~。
確かに表面がトゥルントゥルンだ~。 -
そうでしょ? でも、例えば60番で削って造形したあとに、イキナリ320番に上げても、こうはならないのです。
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60番で付けた深い傷は、320番では消せないってわけね! だんだん分かってきた。
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その通りです。だから、ファイバーパテ、板金パテ、ポリパテと段階を踏みながら、ペーパーの目を320番まで細かくしてきたんですね。
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では、いよいよ塗装?
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いいや。まだです。次はサフェーサーを吹いて、さらに表面のアラ探しです。
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どこまでも自虐的な……。
いや、地道なプロの作業が続きます。
ポリパテを削るときは、まず120番のペーパーで削ります
180番で水研ぎ中
320番で水研ぎ中
✔ そもそも水を使うのは、摩擦熱を緩和するという意味合いもある。
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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