ワンオフパーツの作り方実習

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FRPに穴が開いたらどうやって補修（穴埋め）するの？

FRPに開いた穴の補修のやり方。FRPでパーツを作っている最中に、穴が開いてしまったら埋めればよい。穴埋めができるのも、FRP素材のポイントだ。本来のワンオフパーツ作りの工程から少し脱線して、補修作業の補習の巻。

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  「FRP自作で穴が開く原因と対策」の続きですが……。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  FRPに穴が開いたときの補修（穴埋め）方法を解説しましょう。

  ●アドバイザー：ほんだ塗装 本多研究員

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  状況はこんな感じ（↓）。
  コレ……本当に、直るんですか？



ダクトではない。

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  なんだかもう……。
  素人目には、作り直すほかないような。

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  FRPは、補修できますよ。
  それがFRPというものです。

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  どうやって穴を埋める気ですか？

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  裏からFRPを貼ります。
  単純な話ですよ。

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  ……ふむ。

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  そのためにはまず、足付け作業をしないといけません。

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  アシツケ？

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  足付けとは、カンタンに言うと表面に傷を付ける作業のことです。普通にただ「ペタリ」と貼っても、FRPがくっつきません。傷をつけて、食いつきを良くするんです。

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  なるほど。

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  FRPの場合は硬いので、ベルトサンダーで裏面を削って傷を付けます。


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  ここは補修目的なので、裏面全体に傷を付ける必要はありません。補修用のFRPを貼りたい場所だけでOKです。

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  フムフム。
  足付けが終わったら？

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  小道具を使います。ほんだ塗装でよく使うのが、薄いアルミ板です。


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  アルミ板を細かく切り出して（↑）、オモテ面から穴を塞ぎます。

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  ほほう。

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  アルミ板の固定は、ガムテープ（布製）などでOKです。

簡易的にアルミ板を固定


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  こうやって表から穴を塞いでおけば、裏からFRPを貼っても、表側には出てこないでしょ。



裏から見ると…


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  なるほど。
  こうやるのか。

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  薄いアルミ板を使うメリットは、曲面でも曲げてフィットさせられるところです。


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  薄いアルミ板なら、自由度が高いんだ。

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  次に、裏から貼るFRPガラスマットを切り出します。これも穴が埋まるサイズでOKです。


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  ガラスマットを切り出して、置いてみたところ（↓）


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  ただ、このまま裏にFRPを貼るだけだと、穴の内部にはFRPは入りません。そこがちょっと問題ですね。

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  ……ん？
  なんの話？

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  一般的には、裏からFRPガラスマットを貼ると思いますが、それだと穴の向こう側をフタするだけなんです。

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  ああ……穴の内部にまで、FRPが入るわけではないって意味か。

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  そうなんです。
  ……ということは、段差ができますよね。

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  表から見て、補修したFRPの面が一段低くなる。

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  そう。そこはファイバーパテで埋めればいいのですが……またパテを厚盛りしないといけません。それでもできるけど、手間が増える。

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  ……他に手があるの？

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  ほんだ塗装では、こういう場面では例のアエロジルを使っています。

再び登場、魔法の粉



✔ アエロジルをFRPの溶剤に混ぜると、FRPの溶剤がパテのような粘土状になる。

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※詳しくは、「FRPをパテ化する!? 「アエロジル」とは何者か？」参照。

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  アエロジルを使ってFRPをパテ化すれば、穴の内部も粘土状のFRPで埋められるので。



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  これなら、狭い場所でもFRPが入り込む。

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  その上で、裏面からガラスマットを使って貼れば、完全にFRP（だけ）で穴が塞がります。

その上からガラスマットも貼る


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  でも、アエロジルが無い人は？ てゆーか、普通の人は持ってないよね。

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  その場合はFRPが固まったあとで、表からファイバーパテで埋めます。普通はそういうやり方になると思います。

FRPが固まったら、表のアルミ板を外します



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  穴が塞がっている～。

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  今回は「FRPパテ」で穴の中まで埋まっているので、すぐに削る作業に入れます。

ベルトサンダーで削ってならす


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  ここは、平らにならす程度かな。

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  基本的にはそうなんですが、厳密に言うとほんの気持ち、パテの面より低くなる程度に削ります。

少しだけ周囲より低くする


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  それはまたなんで？

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  うっすらと、パテを入れたいからです。


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  ここで使っているパテの種類は？

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  板金パテを薄付けしているだけです。今回は穴をアエロジルで埋めたので、ファイバーパテのような「盛れるパテ」は不要です。


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  なお、この場面で穴埋めにファイバーパテ等を使った場合は、粗い目のペーパーでないと削れません。

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  40番・60番あたりのペーパーに、逆戻りになってしまうんだ。

  ※「パテの使い方」参照。

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  そうなんです。となると、その傷目を消していくために、板金パテの工程も必要になる。

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  つまり、パテで穴埋めするやり方のほうが、工程が増えて手間がかかる。

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  ハイ。そういう意味では、FRPパテで穴を埋めるほうが効率的なんですよ。

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  ナルホド。
  効率も大切です。

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  なお板金パテなら、120番・180番くらいのペーパーで削ります。


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  というわけで、FRPに開いた穴は無事に塞がりました～。

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  ……どうなることかと思ったけど、軌道修正の速さはさすがプロ。

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  穴が開いても焦る必要はありません。

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  そのわりには前回焦っていたように見えましたが、あれは……？

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  ……。はいっ！
  “補修”授業はここまで！

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  ……。

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  次回は本来の工程に戻って、仕上げ用の「ポリパテ」の使い方です。