ワンオフパーツの作り方実習
発泡ウレタンを使った「型」の作り方
発泡ウレタンで型を作る工程。ここで発泡ウレタンのかたまりから、作ろうとしているワンオフパーツの形が見えてくる。不要部分のカット・削り方のコツ・サンドペーパーの番手など、発泡ウレタンの「型」の作り方をプロに取材。
車に付いた状態で発泡ウレタンが発泡したら、段ボールを剥がす
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「発泡ウレタンを〈車の上〉や〈車の横〉に接地させて発泡させる方法」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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屋根の上で、発泡ウレタンが固まりました。このような状態(↓)です。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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段ボールを剥がしていきます。
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……おお。
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上手くいったようです。
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こうやって、リアルに屋根の上で発泡させた発泡ウレタンは、当然ながら底面のアールと屋根のアールが、ピッタリ沿ったものになります。
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車の屋根の上に、白い食パンが載っているかのような、どう見ても不思議な光景ではありますが……
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この状況ができたら、発泡ウレタンを削りながら、シャークアンテナの「型」を作っていきます。
ドン!
まずは発泡ウレタンの不要部分をカットする
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まず、明らかに不要な部分は、カッターや糸ノコで切り落としてしまいます。
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けっこう高く盛り上がったけど……こんなに高さはいりませんね。
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だいたいのラインを、エンピツで描いてみましょう。
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すでにデザインが始まっているもよう。
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とりあえず、ザックリでいいのでシャークアンテナの目安のラインを描きます。
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描けたら、それをガイドにして、不要な部分を切り落とします。
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カッターでも切れますが、サイズが大きいので刃の長い糸ノコを使っています。
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背面にも角度を付けたいので、ナナメに落とします。
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この加工のしやすさは、改めて発泡ウレタンの長所ですね~。文字通り「サクサク」進んでいきます。
ザク!
車のパーツの「型」は、車にくっついた状態のままで削るのが基本
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サイズがある程度整ったら、削って造形していきます。ここからがデザイン。
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削るときも、車の屋根に発泡ウレタンをのっけたまま削るんですね。
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それが理想的なやり方ですね。
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作業はしにくそうですけど……。ず~っと脚立の上だし。
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しかし車の屋根も平らではありません。よく見ると、かなり屋根が尻下がりなラインです。
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リアに向かって、傾斜していますね。
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ということは、発泡ウレタンを外してしまうと、屋根との平行ラインもよく分からなくなってきます。
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あー。
確かに。 -
机や地面などの平面の上に置いた状態でデザインを作ると、車の屋根に載せたときに「思っていたのと角度が違う!ライン合わない!」ってなりかねません。
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言われてみればそうだ。
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エアロパーツのマスター型を作るときも、ワンオフオーバーフェンダーを作るときも、車体に付いた状態の発泡ウレタンを削ってデザインしていきますが、それと同じことですね。
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なるほどね。
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今回は屋根の上だから、特にやりにくいっていうのはありますけど、「発泡ウレタンで造形してFRPを貼る」ところまでは屋根に載せたままいきます。
発泡ウレタンを削りながら「型」を作る方法。サンドペーパーの番手選びは?
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発泡ウレタンを削るときの注意点があります。
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なんでしょう?
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削っているときに、そこばかり見ていて、サンドペーパーのフチが車体に触れる……というのは、あり得る話です。
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……ウ。
周囲のボディに傷を付けたら大変。 -
そう。だから、周囲に布ガムテープを貼って養生しておきます。
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準備OK。
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ここから先は、サンドペーパー(紙ヤスリ)で削っていきますが、必要に応じてカッターなども併用します。
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シャークアンテナの側面のような、逆アールを作りたいときは、丸い木にサンドペーパーを当てて削ります。
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すると、こういう感じ(↓)に削れるんですね。
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ところで、発泡ウレタンを削るときって、サンドペーパーの目は何番くらいがヨイのでしょうか?
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初期段階は40番、60番あたりのサンドペーパーを使ってガサガサ削っていますが、荒いので削り方も大きくてボロボロ取れてしまう感じです。
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どんどん、えぐれていきますね。
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ある程度形が決まってきたら、120番とか180番あたりのサンドペーパーに変えて、削るといいと思います。
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ナルホド。
外装パーツの「型」ってこうやって作るのか~。 -
なんとな〜く、それっぽい形になってきたようです。どうなる・ワンオフシャークアンテナ!?
まとまった量を落とすならカッターで削ぐ
基本は当て木とサンドペーパーで削って形を作る
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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