ワンオフパーツの作り方実習
板金パテの使い方のコツ。ファイバーパテとの違いは?
板金パテの使い方。この連載では3種類のパテの使い方&取り扱いのコツを学ぶが、板金パテの前に使ったファイバーパテ・板金パテの後に使うポリパテとの違いを、ここで押さえておく。種類の違うパテを使い分ける理由もわかる。
ファイバーパテの次に板金パテを使う理由はなに?
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「パテで〈曲線〉や〈曲面〉はどうやって作るのか?」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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ファイバーパテで造形(デザイン)が出来たら、次は板金パテの出番です。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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前回使ったファイバーパテの段階で、カタチは作ってしまうわけですよね?
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そうです。面が出る状態まではファイバーパテで作業を進めたほうがいいです。
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つまり、今回のシャークアンテナも、ファイバーパテを盛る・削るを繰り返して、デザインとしてはほぼカタチになっている。
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……そこまで出来ているなら、なぜまたパテを盛るの?
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板金パテを使う理由のひとつにはまず、ペーパーの目を埋めること。
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ペーパーの目を埋める?
なんのこと? -
ファイバーパテは厚盛りできるパテですが、削るのには40番・60番といった、かなり目の粗いペーパーを使っていました。
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……ということは、それだけ表面の目は粗い。ようは深い傷が付いています。
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あ~、なるほど。
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そこで、次に使う板金パテは、120番あたりのペーパーをメインで使って削るのです。
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今までよりは、ペーパーの目を細かくするんだ。
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それによって、40番や60番のペーパーで付けた傷を埋める(消していく)んですね。
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……でも、それなら、ファイバーパテを最後に120番で削ればいい話では?
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……と思うかもしれないけど、それではファイバーパテは固くて削るのが大変なんですよ。
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ムムム。
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ファイバーパテは、FRPに比べたらずっと柔らかいから削って造形できる、と言いました。でもそれは、かなり目の粗いペーパーを使うのが前提なんです。
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……なるほど。
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ファイバーパテを120番とか320番のペーパーで削ろうと思っても、いつまでたっても削れません。
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それで、使うパテを少し柔らかいモノに変えるってことか。
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そうです。少し目の細かい、120番でも削れる板金パテを盛り直して削るんです。
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なるほどね~! なぜ何種類もパテを使うのか不思議だったけど、そういう理由なんだ。
次の工程は板金パテ
板金パテの使い方と、そのコツ
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板金パテも使い方としてはファイバーパテと同じで、まず硬化剤とよく混ぜ合わせます。
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そして板金パテの段階は、薄く盛ります。
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ファイバーパテのように、モリモリとは盛らない。
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すでに、ある程度の面が出来ているので、そんなに盛る必要性がありません。
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表面に薄くコーティングするようなイメージで盛っていますね。
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カタチを変える目的ではありませんので、ここでの盛り方としてはこの位で十分です。
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これが乾いたら、板金パテは120番あたりのペーパーで削っていきます。
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あの~、板金パテを削っている段階で、「あーもっとカタチをこうしたい!」って気分になったら?
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その場合は、再びファイバーパテに戻って厚盛りします。
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戻るのはアリなのか。
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ハイ。板金パテを1回使ったあとからでも、やっぱりファイバーパテを盛ろうっていうのはべつに問題ないです。
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なるほどね。
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なんなら、面ごとに進行具合が変わってもOKです。
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それって、何だかワケが分からなくなりそうですけど。
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でも、こっちの面はファイバーパテ、こっちの面は板金パテ……というふうに進めると、色が変わって境界線がきちんと見えるので、あえてそういう使い方をすることもありますよ。
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それはまたプロっぽいテクニックですね。
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そして、次の段階では、120番の目を埋めるためのパテも出てきます。それがポリパテです。
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このパテは、さらに目の細かいペーパーで削るってこと?
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ポリパテまでいったら、使うペーパーの目は180番とか320番とかになります。板金パテを削るときにできた、120番の傷も消せます。
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そういうコトか~。
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ペーパーの目を細かくして傷を消すために、段階的に削りやすいパテに移行していくわけですね。
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パテの使い方の秘訣が分かった気がするぞ。
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このように、パテはどんどん柔らかくなるけど、ペーパーの目も細かくしていく分だけ、実作業としての苦労はあまり変わりません。
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……つまり、どんどんラクになるわけではない。
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……そういうことです。
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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