発泡ウレタン講習②
発泡ウレタンの使い方╱発泡させる前に用意するアイテム
発泡ウレタンの使い方を学ぶ連載。ここでは業務用の2液の発泡ウレタンで実践しているが、DIY用途ならより少量の発泡ウレタンも手に入るので、初心者でも大丈夫。発泡させる前に、まずは用意しておく材料の解説から始めよう。
2液の発泡ウレタンの使い方を学ぶ
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発泡ウレタン講習の2日目。
※1日目は「発泡ウレタン講習スタート╱DIYにもおすすめの造形術をプロに学ぶ」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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今日は発泡ウレタンの、基本的な使い方を解説します。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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面白そう。
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前回の話で、発泡ウレタンのメリットはざくざく削りながら造形できる点にある、と言いましたが……
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ふむ。
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その前にまず、発泡ウレタンを上手に発泡させられないと始まらない。
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そりゃそうだ。
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最初から板状になっている発泡ウレタンを買ってくれば、いきなり削って造形を始められますが……
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しかし、この講習ではより自由度の高い工作のために、液体の発泡ウレタンを使います。
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発泡させるところからだ。
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発泡ウレタンは、最初は液体です。だからこそ、好きな形に発泡させることができる。
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なるほど。
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ここでは業務用としてはスタンダードな、2液の発泡ウレタンを使って説明していきます。
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2液?
なんの話ですか? -
2液とは、2種類の液体を混ぜ合わせるタイプの発泡ウレタンのこと。
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これは業務用の缶なので、DIYならもっと少量のを買えばいいですね。
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2種類の液体の違いは?
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「主剤」と「硬化剤」に分かれています。
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それで2液って言うのか。
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で、両者を1対1の割合で混ぜる。そうするとボワーって膨らみます。
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同じ量をミックスさせればいいんですね。
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ハイ。ただし、ここで注意しないといけないのは、「厳密に同じ量を混ぜる」こと。
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ふむ。
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目で見てだいたいの分量で混ぜる、というやり方だと、ビミョウな結果になります。
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ビミョウって?
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発泡することはするけれど、しっかりと固まらなかったり……。
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そのへんはシビアなんですね。
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そうなんです。いい発泡ウレタンを作ろうと思ったら、ドンピシャの分量を守ることが大切です。だから必ずハカリを使います。
✔ 固形の発泡ウレタンも売られている。
業務用の2液型・発泡ウレタン
発泡ウレタンを発泡させるために必要なアイテム
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それでは、発泡ウレタンを発泡させるために必要なアイテムから。
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まず、ハカリね。
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ハカリの上にのってる段ボールはなんですか?
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それは、発泡ウレタンを使うとハカリが絶対汚れるから。それがイヤなので、段ボールでカバーを作っただけです。
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汚れが気になる人は、こうするとヨイですね。本多研究員は、DIYラボきってのキレイ好きだからなー。
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あとは、発泡ウレタンの液体を入れるための容器がいりますね。
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ほんだ塗装で使っているのは、ペイントポットという容器です。
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板金屋さんが塗料を計って入れたりするのに使う容器ですねー。
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大きい缶から直接混ぜようとすると微調整が難しいので、まずは2液それぞれを容器に小分けにしておいて、その状態から混ぜるほうが確実です。
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それで、ペイントポットを3コ用意しているんだ。
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それから混ぜるために棒のようなものを使いますが、毎回使い捨てるので割り箸などでいいです。
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あとはハカリで測りながら、混ぜればいいんですねー。
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いやいやいや、まだ混ぜたらダメでしょ。発泡させる前にやることがある。
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???
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他には、こんなモノも用意しまして……
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段ボール、布のガムテープ、カッター?
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そうそう。
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なにを始める気でしょうか?
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今回使う発泡ウレタンは、最初は液体です。
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……ふむ。
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ということは、2液を混ぜたあと、その液体を流し込む〈箱〉が必要です。「地面で発泡させてどうすんの?」っていう話なので。
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そっか。
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例えば、車のオーバーフェンダーを作るときは、どうしているか。
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前回チラっと出てきましたね。
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オーバーフェンダーのラインを作る前に、まずはこんな風に(↓)フェンダー部分で発泡ウレタンを発泡させないといけない。
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そういえば、元が液体なのに、どうやってこんな風に盛ったんだ?
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そこで使っているのが段ボールです。ようは段ボールで囲いを作っておいて、そこに発泡ウレタンを流し込んでいるんです。
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段ボールで、ブリスター形状の大きなコップを作っているような状態です。
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なるほどねー!
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そして、上から発泡ウレタンを流し込みます。
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発泡したあとで、段ボールを取るんだ。
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こうやってオーバーフェンダーに必要な高さで、発泡ウレタンが盛れるんです。
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まさに段ボールのコップですね。
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このように、まずは段ボールで箱を作りますが、ひとまず車のパーツ作りの話は置いといて、シンプルな小箱で発泡の練習をしましょう。
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いきなりフェンダーは、敷居が高すぎますからね。
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とりあえずは、こんなカンジの箱を作って、ここで発泡させてみようと思うんですが……
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小さな箱ならすぐできますね。
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そうなんですけど、ただ単に、段ボールで箱を作るだけじゃダメなんですよ。
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……え?
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後先のことを考えると、もうひと工夫必要です。
フェンダー作成に入る前の状態
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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