発泡ウレタン講習③
発泡ウレタンの使い方╱発泡させる前のコップ作りが重要
発泡ウレタンの使い方を学ぶために、発泡実験をやってみる。なお発泡する前の発泡ウレタンは液体なので、まずは発泡ウレタンを流し込むコップ(入れ物)が必要。これはカタチ作りが自由な段ボールを用いるが、ここからコツがあるのである。
発泡ウレタンを流し込むコップ(入れ物)には段ボールが使える
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「発泡ウレタンの使い方╱発泡させる前に用意するアイテム」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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発泡ウレタンを発泡させるときには、なんであれコップ(入れ物)が必要になります。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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発泡する前の発泡ウレタンは、液体(※)ですもんね。
※固形状にしたものもあるが、ここで使うのは2液の発泡ウレタン。
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で、実際にほんだ塗装のワンオフ加工で使っているのが、段ボールです。
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なぜ段ボール?
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作ろうとするモノ(パーツ)に合わせて、自由なサイズ・形のコップができるので、段ボールが便利なんです。
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ブリスターフェンダーでさえ、できちゃうんだもんなー。
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ただし、段ボールだけでは、上手くいかないんですよ。
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隙間から液体が漏れるから?
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隙間は当然ながらガムテープで塞ぐ必要がありますが、そういうモンダイだけではありません。
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……と言うと?
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単に段ボールでコップを作って発泡ウレタンを流し込むと、硬化したあとで段ボールを剥がすときに困るんです。
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……どうなるの?
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発泡ウレタンが段ボールにくっついてしまうんです。
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マイナスドライバーのような工具でこじったとしても……
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段ボールが破けてしまうだけで、キレイに剥がれてくれません。
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なんか、イマイチでしょ、これ。
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段ボールは紙だから、染みこんで一体化しちゃうんでしょうねぇ。
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そこで、登場するのが布のガムテープです。
布ガムテープを段ボール内壁に全面貼りする
段ボールを展開図的に切り出す
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まずは箱にするのに都合のいい段ボールを用意します。
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ここから段ボールを折り曲げて〈箱〉にしていきますが、段ボールの面が重なると〈段〉ができてしまいます。
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できるだけキレイな状態の発泡ウレタンを作るために、重なり合う面は切り落とします。
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発泡ウレタンの表面はどうせ削ってしまうとはいえ、可能な限りキレイな箱をベースに使うほうがいいに決まってますので。
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つまり、展開図のような形にするのが理想ってことですね。
不要な面は切り落として……
使えそうな面だけ残した
内側に段差のない、キレイな面の箱を作る
箱の内側の面に対して、布のガムテープを全面貼りする
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そして、ここからが重要。箱の内側になる面に、布のガムテープを貼る。
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部分的に貼るのではなく、布のガムテープを全面に貼っていきます。
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ちなみにこの過程でも、できるだけキレイに貼るに越したことはありません。
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ふむ。
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例えば、こんなふうにナナメに貼れば、その線がそのまま発泡ウレタンの壁にできてしまいます。
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こんなふうに空気が入るのも、同じこと。
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どうせ削ってしまう面ならまあ、問題はないですけど、キレイな面を作っておけば、それはそのまま面のキレイな発泡ウレタンになります。
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この段階から汚い面だと、それがそのまま形になるんですね。
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そうです。……だから、できるだけキレイに、ガムテープのパネルのような状態にしましょう。
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ここまでできたら、あとは箱にするだけですが……
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カドの部分などは隙間がある状態ですので、液体は必ずこぼれてしまいます。
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そりゃそうですね。
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そうすると、わけのわからない場所でモワーってなりかねません。
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確かに。
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隙間がないように内側からガムテープを貼りましょう。
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これで、内側の面がガムテープの箱ができました~。
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同じ段ボールの箱でも、この違いは重要です。
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下準備はここまで。
いよいよ発泡ウレタンを流し込みますよ~。
こう貼りながら
隙間をなくしてカドを作る
発泡ウレタンを流し込むコップ(箱)完成
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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